国連が定めた「世界子どもの日」の11月20日、パキスタンの英字紙ドーンは、自国の子どもたちが直面する問題を社説で採り上げた。
幾重にも立ちはだかる壁
社説は、世界子どもの日にあたり、パキスタンの子どもたちの現状についてこのように書いた。
「パキスタンに住む子どもたちは、大人になるまでにさまざまな問題を乗り越えなければならない。それには、母親の栄養不良という、生まれる前に直面する問題も含まれている。パキスタンでは、10人に4人の子どもが適切な栄養を摂取できていないと言われており、その結果、発育不全の子どもたちが4割に上る。栄養不良のほかにも、感染症の病なども乗り越えなければならない」
社説によれば、パキスタンでは毎年9万2000人の子どもが肺炎で亡くなっている。幸いにして栄養失調や感染症、肺炎などの病気にかからず、あるいは乗り越えた子どもたちが、成長して学校に進むが、ユニセフによれば、パキスタンでは、5歳から16歳の子ども2280万人が学校へ行けない状態にあるという。この人数は、世界で二番目に多いという。
今年の世界子どもの日のテーマは、「すべての子どもにより良い未来を」だった。しかし、社説は憤りを込めて「パキスタン政府は子どもたちの未来に投資をしていない」と、糾弾している。
なくならない児童労働
社説は、「パキスタンは総人口の6割以上が30歳以下で、年間440万人の子どもが生まれている。政治家は、この国の子どもたちに健全な未来が訪れるように、社会的、経済的、そして人間開発の観点から政策を再考し、子ども政策に対する投資のロードマップを包括的でクリアなものにしなければならない」と、指摘した。
なかでも多くの子どもたちが栄養不足に陥っていたり、十分に教育を受けられなかったりする状況は喫緊の課題だと社説は指摘し、具体的に改善できる例として児童労働を挙げる。
児童労働は、子どもたちから教育を受ける権利を奪うだけでなく、劣悪な環境下の労働を強いることで心身に深刻な影響を及ぼす可能性もある。「法律上は児童労働が禁じられているにもかかわらず、今もなくならない。政府と地方行政が、専門家の助言下で子どもの権利を侵害するようなことをやめさせることが必要だ」と、社説は主張する。
言うまでもなく、子どもはその国の未来そのものだ。パキスタンにおける女性1人あたりの出産率は3.45(2019年)と、日本などに比べると高いが、それでも、毎年、数字は低下傾向にある。世界のどの国も、子どもたちを大切にする社会につくりかえていかなくてはならない。
(原文https://www.dawn.com/news/1659142/supporting-the-young)
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