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Uber(ウーバー)は第2四半期に予想を上回る損失を計上した。パンデミックによるドライバー不足を解消するため、4月に2億5000万ドル(約275億円)の大規模な刺激策を実施したことが大きな要因だ。

調整後EBITDAは5億900万ドル(約560億円)の損失だった。一方、Lyft(リフト)は前日、当四半期の調整後EBITDAを2380万ドル(約26億円)の黒字で計上した。Uberの損失は、アプリベースの配車業界が抱えるより大きな問題を指し示している。それは、ドライバー供給の遅延、ドライバーを集めるためのコスト、迫り来る新型コロナウイルスのデルタ変異株という3つの脅威だ。

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「ドライバーたちが道路に戻りたいと思う気持ちは強くなっています」とCEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、米国時間8月4日の決算会見で述べた。「6月には、活動休止中のドライバーの60%が、1カ月以内に運転を再開するつもりだと回答しました。4月の40%から増加しました。また、90%のドライバーが9月までに運転を再開すると回答しています。さまざまな指標が複数の市場で上昇しながら通常の水準へと回復し、マイアミ、アトランタ、ダラス、ヒューストン、フェニックスでは待ち時間がほぼ正常に戻りました。しかし、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスなどの大都市では需要が供給を上回る状態が続いており、遅い時間帯の価格は快適な水準を超えています」。

コスロシャヒ氏は、Uberがドライバーに対する「ポスト・パンデミック」のインセンティブを縮小したとしても、ここ数カ月で回復してきたドライバーの勢いは続くと予想していると語った。だが問題は、パンデミックはまだ終わっていないということだ。米国でのワクチン完全接種は人口の50%にとどまる。CDC(米疾病予防管理センター)によると、7月の最後の2週間で、感染力の高いデルタ型が米国内の新型コロナ感染者の80〜87%を占めた。多くのコンピュータモデルは、8月中旬〜9月上旬に感染者数がピークに達し、1日あたりの感染者数が45万人に達すると予測している。

ドライバー不足の原因はロックダウンだけではない。ドライバーらは、微々たる報酬で、パンデミック中に命をかけてまで働きたくないと考えている。Uberが損失を出しながらもドライバーを増やそうとしているのは、Uberがギグワーカーの働く権利を脅かす存在として再び注目されているからだ。Uberは、アプリベースの配車やオンデマンド配送を行う企業連合の一員であり、マサチューセッツ州で今週、ドライバーを従業員ではなく独立した契約者であると定義する投票法案を通すための請願書を提出した。2020年のカリフォルニア州での提案22号と同じことが起こっている。

2013年から運転しているジェイというUberのドライバーはTechCrunchに「私は、人を呼び戻すために使われたインセンティブを受け取りました。脳みそがあるドライバーならほとんどが同じことをしたと思います」と語った。「インセンティブがなくなったところで私は運転をやめました。今や運転をすれば持ち出しになってしまうからです。Uberが料率を大幅に引き下げたので、もはやUberで働くことは意味をなしません。Uberの車をつかまえるのが難しい理由はここにあります。途方もなく遠い存在である億万長者たちが、この会社を潰しつつあるのです」。

こうした状況にもかかわらず、コスロシャヒ氏は、同氏はおそらくジェイ氏がいう「遠い存在である億万長者」の1人だと思われるが、Uberが年内に会社としてEBITDA黒字化を達成する見込みだと投資家に請け合った。同社は「働き手の体験」と呼ぶものへの投資が、労働者のつなぎ留めに役立つと期待している。

「アプリの品質向上に力を注ぐことから、ターゲットを絞り個々人にあわせた関係再構築キャンペーン、安全に稼ぐという目的のためにこれまで以上に簡単かつ迅速になったオンボーディングフローの全面的な再設計、ロゼッタストーンを利用した無料の語学学習、ASU(アリゾナ州立大学)を授業料無料で利用できることなどのユニークなプログラムの展開まで、当社が提供する働き手のためのスーパーアプリは、世界中のドライバーや宅配業者に提供できる収益機会の深さと幅広さにおいて独自性があります」とコスロシャヒ氏は話す。

豪州のシドニーなどの都市での最近のロックダウンのように移動手段が打撃を受け続けることになっても、Uberは貨物、Uber Eats、宅配便などの他の事業に頼ることができるとコスロシャヒ氏は語る。同氏によると、乗車数が減るとUber Eatsや宅配便の注文が増える傾向にあるという。

Uberは2020年11月、オンラインフードデリバリーアプリのPostmates(ポストメイツ)を買収した。同社によると、買収により約500万人の利用者が加わり、16万人の宅配業者と2万5000以上の加盟店がPostmatesからUber Eatsに移行した他、ロサンゼルスとニューヨークでUberがカテゴリーリーダーとしての地位を確立するのに役立ったという。

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また、Uberは最近、食料品、コンビニエンス、アルコール類の配達など、新たな分野にも進出しており、6月の米国でのグロスブッキング(予約総額)は2020年12月の水準から約3倍、英国とフランスでは2倍に増加した。

「私たちが持っている差別化要因はオーディエンスとUberプラットフォームです」とコスロシャヒ氏は述べる。「私たちは、Uberブランド、マーケットプレイスマッチング技術、価格設定技術、ルーティングなどを基盤にデリバリー事業を立ち上げた、最も新しいプレイヤーの1社です。【略】私たちは、他の誰よりも大きなデータセットを持ちあわせています。これにより、マッチング、ルーティング、インセンティブ、マーケティングなど、より個々人に合わせたエンジンを構築することができますし、他の誰よりも優れた機能を備えています」。

「Uberはすべての市場にオペレーションチームを配置しているため、市場ごとに適切な在庫を把握することができます」と同氏は語る。

「その結果、顧客獲得コストの削減、ライフタイムバリューの向上、間接費の削減、技術力の向上が可能になります。これらが差別化につながるのです」。

第4四半期までにEBITDAの目標を達成することに加え、コスロシャヒ氏によると、Uberは会社全体のグロスブッキングが220億〜240億ドル(約2兆4200億円〜2兆6400億円)となり、調整後EBITDAは第3四半期の1億ドル(約110億円)の損失から改善すると見込んでいる。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uber新型コロナウイルス労働問題

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi