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☆「首相は模範示せ」菅氏、批判受け陳謝 夜の会食、大勢で何度も…
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/674076/
2020/12/17 6:00
西日本新聞 総合面 前田 倫之
「国民の誤解を招くという意味では、真摯に反省している」。新型コロナウイルスの感染リスクが高まると専門家が指摘する「5人以上の飲食」を夜に続け、批判が出ていた菅義偉首相が16日夜、陳謝した。
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政府の感染症対策分科会は10月23日、クラスター(感染者集団)が発生した自治体の分析などを基に「会食の人数が、例えば5人以上と多くなると大声になり、飛沫(ひまつ)が飛びやすくなるから控えてほしい」と注意喚起した。「新しい生活様式」の一部として世間にも浸透しつつある。ところが-。
首相動静によると、分科会の提言翌日の10月24日以降、首相が夜に5人以上で会食した回数は少なくとも9回に上った。
いやが上にも目立ったのは今月14日夜。観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止を公表した後、企業経営者ら15人前後とホテルで会食。さらに、自民党の二階俊博幹事長やプロ野球ソフトバンクの王貞治会長、俳優の杉良太郎さんら7人以上が集ったステーキ店での「忘年会」もはしごしていた。
首相周辺は「席の距離を離して『密』を避けるなど、万全な感染対策を取っている」とし、問題ないと予防線を張ってきた。
これに対し、与党・公明党の山口那津男代表が15日に「国民に対するメッセージ性もある。よく配慮しながら今後、検討していただきたい」と苦言。野党も、「首相として(国民の)模範になっていただくべきだ」(立憲民主党の福山哲郎幹事長)と攻撃材料と見定めボルテージを上げ始め、放置すれば傷口が広がりそうな気配が濃くなっていた。
官房長官時代から、幅広い分野の民間人と積極的に会食して情報収集し、政策と政局に生かしてきた首相。16日夜は、官邸で記者団の取材に対し率直な反省を表明したものの、今後、多人数の会食を見直すかまでは明言しなかった。西村康稔経済再生担当相は、この日の国会答弁で「『5人以上が一律に駄目』というわけではない」と述べた。
(前田倫之)
☆GoTo停止、首相に逆風 説明不足露呈、“身内”も距離置く
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/674077/
2020/12/17 6:00
西日本新聞 総合面 森井 徹 一ノ宮 史成
菅義偉首相に吹き付ける逆風が急に厳しく-。新型コロナウイルスの猛威が止まらない中、16日の衆院内閣委員会の閉会中審査では観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止のタイミングがやり玉に挙げられた。首相の「人の移動では感染は拡大しない」発言も、追及を受けてエビデンス(根拠)がぐらつく。身内の与党もじわり、距離を置き始めた兆しがある。
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政府が感染封じ込めを国民に訴えた「勝負の3週間」が終わったこの日も、東京都で過去最多の678人の新規感染者が確認されるなど、ウイルスは情け容赦なく拡大を続けた。
「政府の感染症対策分科会の提言を踏まえ、11月末からさまざまな対策を講じてきましたが(感染が)高止まりの状況であり、真摯(しんし)に受け止めています」
夜、官邸エントランスで記者団の取材に応じた首相はこう述べ、感染抑制がままらない現状を認めた。「国民の命と暮らしを守るため、全力を挙げて取り組んでいきたい」と続けたものの、力強さには欠けた。
昼間の閉会中審査では、野党がこの3週間を「やってきた対策が不十分だった」「効果がなかったと言わざるを得ない」と総括し、政府に集中砲火を浴びせた。28日からのトラベル事業の停止判断についても、「年末年始の医療逼迫(ひっぱく)を回避する目的であれば、今からただちに停止するべきだ」(共産党の塩川徹也氏)などと鋭く指摘し、追い込んだ。
首相が11日に出演したインターネット番組で、分科会から「移動は感染(のリスク)が低いと提言をいただいている」と発言したことも俎上(そじょう)に。参考人として出席した尾身茂分科会長は、答弁で「人の動き、接触を抑えないと感染は沈静化しない」と提言したことを紹介し、首相との食い違いが明らかとなった。
立憲民主党の大西健介氏は「『旅行に行け』と言っているのか、『移動するな』なのか。メッセージが不明確だから混乱が起きている」と、首相の説明不足を印象付けた。
政権発足から3カ月を境に、歯車が逆回転を始めたような首相。自民党の閣僚経験者は「国民の声をくみ取れていない、と思われても仕方ない。批判されて当然だろ」。政府関係者も声のトーンを落とす。「この内閣支持率の急落ぶりは危険だ。もうプラスになる要素がちょっと思い付かない」
(森井徹、一ノ宮史成)