東レは2021年11月24日、食品飲料製造やバイオ分野で、精製/濃縮工程に用いる高耐久性の中空糸限外ろ過膜モジュールを開発し、サンプル提供を開始したと発表した。製造プロセスでのCO2排出量の大幅な削減に貢献する。
分離性に優れ、膜の集積度が高く、設置面積を縮小できる中空糸膜は、高面積利用効率の点から液体ろ過に広く使われている。同社の中空糸膜は、独自の高強度PVDF(ポリフッ化ビニリデン)中空糸膜技術で高い耐久性と優れた分離性を有することから、水処理用途分野にて広く採用されている。
今回、水処理向けに培ってきた高強度中空糸膜技術を活かし、新規に外圧式クロスフローろ過モジュールを開発。外圧式モジュールは、食品分野で従来使用されている内圧式モジュールに比べて圧力損失が3分の1で済み、これまでの膜ではろ過の難しかった高濁度、高粘度の液体もろ過や濃縮できる。
従来食品分野の濃縮操作に用いられている熱濃縮法と比較して、CO2排出量で8割以上の削減となる省エネルギー化が期待でき、カーボンニュートラルへの対応に貢献できる。また、大膜面積化技術の適用により、膜モジュールの本数を減らすことができ、50%の省スペース化、洗浄/設備コストの20%以上の低減ができる。
さらに蒸気(125℃)や温水(90℃)に対する耐熱性も有し、熱殺菌や高温ろ過に対応。開発品を用いた高濁度微生物培養液のろ過テストでは、長期安定したろ過に加え、蒸気滅菌によって雑菌汚染が20日以上生じないことも実証している。
本格的な量産化に向けた開発を加速し、今後は国内外の各エンジニアリング会社と協力関係を構築して、これまで珪藻土ろ過や遠心分離等の固液分離技術が用いられていた高粘度/高濁度原水用途や、製造ラインの熱殺菌が必要な食品製造/バイオ生産プロセス等、幅広い用途への展開を進めていく。
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