【ヨハネスブルク=深沢亮爾】新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が初めて報告された南アフリカで、3日の新型コロナの新規感染者が1万6055人を記録した。1週間前の5倍以上、2週間前と比べると20倍以上の急速な増加となった。
南アでは、既に感染の7割以上がオミクロン株によると考えられており、急増の原因になっている可能性がある。ワクチン接種後に感染する「ブレイクスルー感染」の事例も確認されている。
現時点で死者数の急増には至っていないが、3日の死者数は25人で、1週間前の12人、2週間前の7人から徐々に増えている。ワクチン接種が完了した人は国民の25%にとどまっており、南ア政府は国民に繰り返し接種を訴えている。
ただ、外出制限や飲食店の営業規制などの措置は取られておらず、最大都市ヨハネスブルクのレストランやナイトクラブは3日夜も多くの人でにぎわった。
一方、南アのシリル・ラマポーザ大統領は2日、訪問先のコートジボワールで「各国による渡航制限は遺憾で、不当で、非科学的だ」と述べ、改めて撤回を訴えた。南アでは「既に世界に広がっていたオミクロン株を検出しただけ」という見方が強い。
【ジュネーブ=森井雄一】世界保健機関(WHO)の感染症専門家は3日、オミクロン株は重症化しにくいとする情報が一部で出ていることについて、「(判断は)時期尚早」との見方を示した。
WHOによると、オミクロン株が確認されたのは38か国に上るが、これまでに死者は確認されていない。WHOの感染症専門家マリア・ファンケルクホーフェ氏は「変異株の種類によらず新型コロナは軽い症状から始まる」と指摘。「感染者が増えると入院患者も増え、死者が増えることにつながる」と述べ、感染防止対策の徹底を改めて訴えた。