もっと詳しく

 世界各地で新型コロナワクチンの3回目の接種が始まっている。しかし、途上国の中にはまだ未接種か、1回しか打っていない人たちが多くいる。11月25日付のネパールの英字紙カトマンドゥポストは、社説でこの問題を採り上げた。

(c) Mehmet Turgut Kirkgoz / Pexels

「片方の靴」

 社説によれば、カトマンズ盆地の人口のうち約10%が、アストラゼネカ、またはベロセルの2回目の接種を受けられずにいるという。

 「ネパール政府は何人が2回目のワクチン接種を受けていないか、いまだに把握できていない。本来2回接種すべきワクチンを1回しか接種していないということは、いわば靴を片方しかはいていないのと同じだ。しかし、国民の健康や生命にかかわるだけに、事態はもっと深刻だ」

 社説によれば、医療関係者たちはワクチンの接種がいきわたっていないことに対して「1回しかワクチンを接種していなければ、感染予防ができているとは言えない」と、一様に警告を発しているという。

 「この不都合な事実は、来年4月までにすべての国民にワクチン接種を実施するという政府の宣言を、あざ笑っているかのようだ」

政府と国民のミスコミュニケーション

 社説は言う。

 「政府は、ワクチンを受けていないのは、接種に来なかった国民が悪いと言うかもしれないが、国民と政府の対話が不十分であることは明らかだ。ワクチン接種の記録をきちんと把握できていないという事実からも、政府がいかにいい加減でずさんな体制で取り組んでいるかが分かる」

 さらに、そうした政府と国民のミスコミュニケーションは、「今に始まったことではない」と指摘し、「オリ政権が突然、ロックダウンを宣言したことで、国民は何の準備もできないまま、長きにわたり経済活動が停滞した」と、振り返る。

 なかでも、ワクチン接種に関するミスコミュニケーションは、大きな混乱をもたらした。1回目にアストラゼネカのワクチンを受けた人が、2回目にベロセルの接種会場に行ってしまったり、1回目の接種を受けた後、2回目の通知がなかなかこず、本当にもう1回接種を受けられるのかと不安を抱いたりする人々が相次いだ。

 社説によれば、ネパールではワクチン接種を警戒する人々はほとんどいないという。「政府は、ためらうことなく、ワクチン接種計画に基づき行動する国民に感謝が必要だ」

 世界では、はや3回目のワクチン接種が始まっている国もある。しかし、ネパールでは2回目を終えた人も多くない。公平なワクチンの分配が叫ばれて久しいが、ギャップが埋まる気配はない。

(原文:https://kathmandupost.com/editorial/2021/11/25/once-is-not-enough)

The post ネパールの社説が政府のワクチン対策を批判 first appeared on dotworld|ドットワールド|現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト.