H-IIAロケットによる打上げ輸送サービスを展開する三菱重工は、日本時間23日、H-IIAロケット45号機(H-IIA F45)により、移動体衛星通信サービス大手である英国インマルサット社(Inmarsat)の第6世代通信衛星「Inmarsat-6」シリーズ初号機衛星(I-6 F1)を所定の分離軌道に投入することに成功しました。鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたロケットは計画どおり飛行し、打上げ後約26分で衛星分離を確認しました。
インマルサット社が提供する第6世代通信衛星(I-6)は、Lバンド通信とKaバンド通信を同時に実現する世界で初めての通信衛星シリーズです。I-6によるこれらの通信機能は、世界中で利用されている衛星通信サービスの利便性を飛躍的に向上させるととともに、インマルサット社独自のグローバルかつ多次元でダイナミックなネットワーク通信網構想「ORCHESTRA (オーケストラ)」実現に向け、重要なピースになると期待されています。I-6 F1は、欧州のエアバス・ディフェンス・アンド・スペース社(Airbus Defence and Space)が製造した、過去類を見ない最も洗練された商用通信衛星です。
当社の打上げ輸送サービスは、今回の打上げ成功によりH-IIAにおいては97.8%、H-IIA/H-IIB合わせると98.1%以上という高い打上げ成功率に達しました。お客様の事業が計画どおりに開始できるよう、これからも「高い信頼性で」「約束の日時に」「確実に」打上げを実施していきます。
今回の打上げ成功を受け、インマルサット社CEOのRajeev Suri(ラジーヴ・スリ)氏は次のように述べています。「本日のI-6 F1打上げ成功により、インマルサット社は、世界を牽引する技術の新たな道筋を切り拓きました。I-6 F1は、今後3年間で打上げが計画されている7つの衛星のうち最初の衛星です」。また同氏は「世界を牽引するダイナミックな通信ネットワークとなるインマルサット社の「オーケストラ」計画は、今よりもさらに革新的な通信サービスをお客様にお届けするものであり、I-6 F1はその重要な一翼を担います。本日のこの素晴らしい打上げ成功に際し、インマルサット社の全ての従業員に、そして三菱重工、エアバス・ディフェンス・アンド・スペース社の各チームに、さらには種子島の住民の皆様の温かいおもてなしとご理解に、心より感謝いたします」と続けています。
また、三菱重工宇宙事業部長の西ヶ谷 知栄は次のように述べています。「今回の打上げ輸送サービス契約を受注した2017年9月以降、継続的なご支援をいただいたインマルサット社、そしてエアバス・ディフェンス・アンド・スペース社、ならびに基幹ロケットによるI-6 F1衛星の確実な打上げに際して多大なご理解・ご協力をいただいた関係府省や関係機関、地元関係者の皆様に深く感謝申し上げます。インマルサット社の最新通信衛星初号機であるI-6 F1を無事に所定の分離軌道に投入できたことに安堵しています。今後、I-6 F1が所定の運用軌道に到達し、インマルサット社によるI-6事業が予定どおりに開始され、世界中の人々によってより革新的な通信が可能となることを祈念します。当社は、インマルサット社をはじめとする国内外の関係者との間で築いてきた信頼関係を大切にし、引き続きお客様に寄り添った打上げ輸送サービスを提供していきます」。