焦らずに見ていこう。
- オミクロン株濃厚接触者の受験不可と文科省が大学入試指針改定
- 「やりすぎ」「若者の青春を奪うな」などの怒りがあるが99%大学が別日程対応
- 従来の大学入学者選抜に係る新型コロナウイルス感染症に対応した試験実施のガイドライン
- オミクロン株で過剰反応ではないかという指摘はなお有効と思われる
オミクロン株濃厚接触者の受験不可と文科省が大学入試指針改定
オミクロン接触者の受験不可 文科省が大学入試指針改定 – 産経ニュース
文部科学省は24日、国公私立大の個別入試における新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを改定し、オミクロン株感染者の濃厚接触者は症状の有無にかかわらず受験を認めないことを決めた。同日付で各大学に通知した。来年1月15、16日に実施される大学入学共通テストでも同様の対応になるとみられる。
政府がオミクロン株感染者の濃厚接触者に14日間の宿泊施設での待機を要請することに対応した。文科省は各大学に対し、コロナの影響で受験できなかった受験生のために追試や日程の振り替えなどを求めており、「引き続き配慮を検討してほしい」としている。
タイトルでは「接触者」とありますが、濃厚接触者のこと。
また、「受験不可」とありますが、「追試で対応」という見出しをするメディアも。
オミクロン株、接触者は追試で 大学入試、文部科学省 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
「やりすぎ」「若者の青春を奪うな」などの怒りがあるが99%大学が別日程対応
ざっとTwitterを見てみると、著名人ら含め、「やりすぎ」「若者の青春を奪うな」といった怒りの声が上がっています。
ここでは彼らの主張をどうこう言うつもりは無いので、事実関係を見ていきます。
まず、「文科省は各大学に対し、コロナの影響で受験できなかった受験生のために追試や日程の振り替えなどを求めており」という部分を無視している人が多い。
そうであっても大学の対応が不透明であるから不安だろう、と言う指摘は理解できます。そこは報道がどうにかして欲しかったです。
実は、事前調査で99%の大学が別日程への受験の振替等に対応していることが明らかになっています。
したがって、文科省はインパクトは抑えられると考えたのでしょう。
従来の大学入学者選抜に係る新型コロナウイルス感染症に対応した試験実施のガイドライン
今回改訂されたのは令和4年度大学入学者選抜に係る新型コロナウイルス感染症に対応した試験実施のガイドライン 令和3年6月4日決定です。
以下のいずれの要件も満たし、本ガイドラインで示す感染症対策が講じられている場合には、無症状の濃厚接触者から他の受験生や試験監督者に感染するおそれは極めて少ない(日常生活の様々な場面で感染する可能性よりも比較的低い)ことから、各大学の実情等を勘案の上、無症状の濃厚接触者の受験を認めることができること。当日受験させないこととする場合は、追試験による対応等を提示すること。
①(行政検査))の結果陰性、②受験当日も無症状、③公共の交通機関(電車、バス、タクシー、航空機(国内線)、旅客船等)を利用せず、かつ、人が密集する場所を避ける、④終日、別室で受験
従来はこれらの要件に該当すれば当日受験は可能であると書かれています。
ただ、各大学が必ずしもこれに準拠できるとは限りません。
1%の大学が追試や別日程の受験の振替に対応できない(事前調査では別の対応9大学、対応無しが2大学)という状況で仮にオミクロン株の濃厚接触者が出た場合、どうするか。
このガイドラインは法令ではなく法的拘束力は無いので、大学側がオミクロン株の濃厚接触者も当日受験可能(ただし上掲の要件を満たして終日別室で)としたり、別の方法を講じることが考えられます。その場合の大学へのサンクションは無しにして頂きたいが、果たして。
オミクロン株で過剰反応ではないかという指摘はなお有効と思われる
ただ、追試の場合は日程変更による受験者の調整に負荷がかかる上、難易度の平準化が為されているのかどうかに不安が出るため、不利になることは確か。
オミクロン株でここまでの差異を設けるのは過剰反応ではないか、という指摘はなお有効と思われ、今回の判断が妥当だったのかは今後、オミクロン株の特性が解明されることで評価されていくのでしょう。
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