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MVNOサービスのy.u mobileが、かけ放題オプションの料金改定を発表しました。2022年1月から、「10分かけ放題」が月額858円から月額550円に、「無制限かけ放題」が月額2970円から月額1400円に値下げされます(記事内の価格はすべて税込)。

 

y.u mobileは、ヤマダホールディングスとUSEN-NEXT HOLDINGSの共同出資会社であるY.U-mobile株式会社が運営しているMVNO。3プランに絞るなどサービス内容をシンプルにしたり、ギガの永久繰り越しができたりといった特徴があります。

 

同社は2021年10月にも、「シングルプラン」(5GB/月額1639円)を月額1070円に値下げしたばかり。今回のかけ放題料金の改定には、どんな背景やねらいがあるのか。Y.U-mobileの代表取締役社長である鹿瀬島礼氏に話を伺いました。

↑Y.U-mobileの鹿瀬島礼 代表取締役社長

 

NTTドコモの音声卸料金値下げをユーザーにダイレクトに還元

―― まず、かけ放題の料金改定の背景についてお聞かせください。

 

鹿瀬島礼社長(以下、鹿瀬島) 従来のかけ放題サービスは、お客様からやや敬遠されていました。実際に「高くてこれでは使えない」という声もいただいていたので、その要望に応えた形です。また、NTTドコモが音声卸料金を下げたことも大きいですね。

↑現行の通話サービス。2022年1月から「10分かけ放題」が月額550円に、「無制限かけ放題」が月額1400円になる

 

 

―― 無制限かけ放題にいたっては半額近くになるなど、かなり思い切った値下げかと思います。一方で、10月のシングルプランの値下げ時には「相当きつかった」と話されているのも目にしました。今回なぜここまで値下げできたのでしょうか?

 

鹿瀬島 正直、シングルプランの値下げ時よりもきつくはありません。仕入れ値(音声卸料金)が高いので、従来の価格になっていたためです。今回は、仕入れ値の値下げをそのままダイレクトにお客様に還元しようと。ですので、利益幅でいえば大きくは変わりません。

 

―― 現行プランについてもお聞かせください。10月にシングルプラン、そして今回かけ放題を値下げしたことで価格勝負ができるほか、通信品質が安定しているなど、見どころの多いプランになっていると感じます。

 

鹿瀬島 いまのプランのラインアップが現時点でベストのものであると考えていますし、シングルプラン、シングルU-NEXTプラン、シェアU-NEXTプランの3プランでは当然異なるターゲット、ニーズを想定しています。

 

シングルプランは、5GBの容量で月額1070円。月額990円で提供されているMVNOもありますが、実際Webの比較サイトなどを見ても、多くの方に選んでいただけています。競争力の高いプランだと自負しているので、しっかりとアピールしていきたいです。

↑月額1070円で5GB使えるシングルプラン

 

シングルU-NEXTプランはわかりやすさを重視し、NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」と同じ月額2970円に設定しました。U-NEXT自体は、独自コンテンツや1200ポイントの付与など魅力がありますが、動画・電子書籍サービスとして月額2189円は高いという声もあります。

 

そこを逆転の発想で、U-NEXTは高いと感じる方に「月額2970円で10GBの音声SIMも使える」とアピールしたい。U-NEXTの約240万人の既存ユーザーにも、グループの力を使って訴求していきたいですね。「プラス781円で音声SIMが使えますよ」と。

↑月額2970円で10GB使えるシングルU-NEXTプラン。動画・電子書籍サービスであるU-NEXTの月額料金が含まれている。また、毎月もらえるU-NEXTポイント(1200円分)を使って10GBのチャージも可能

 

シェアU-NEXTプランは、月額4170円で20GBのプランです。最近はギガをシェアできるプランが少なくなり、スマホは“一人使い”の流れが強いですが、そこをぜひご家族で使っていただきたい。U-NEXTは最大4人で使えるファミリーアカウントを作れるので、それにあわせてSIMも4人まで利用できます。

↑月額4170円で20GBを最大4人で使える「シェアU-NEXT」。こちらも毎月もらえるU-NEXTポイント(1200円分)を使って10GBのチャージが可能

 

↑2人でシェアすると、1人あたり月額2085円の計算になる。4人なら約1318円となる

 

―― シングルの2つのプランとシェアプランでは、ユーザー層が大きく異なりそうですね。ターゲットという点では、プランの拡充は考えていないのでしょうか?

 

鹿瀬島 料金プランは、いまの3つが最大値と考えています。y.u mobileは「シンプルさ」を第一にプランを設計してきました。プランを増やせば選択肢が広がるぶん、逆にどれが良いのかわからなくなってしまう。実はお客様のプラン変更も非常に少ないんです。契約したプランを使い続けるお客様が多いので、ご満足いただけていると感じています。

 

オンライン専用プランを出せるなら、キャリアは接続料をもっと下げてほしい

―― 今回の発表をサービス戦略の節目と位置付けているとお聞きしましたが、それはなぜですか?

 

鹿瀬島 y.u mobileは2020年3月にサービスインしましたが、料金や端末の面でMVNOならあって当然のサービスを出せていなかったところがありました。ですが、プランとかけ放題を値下げし、iPhoneの取り扱いもしています。MVNOとして提供できていないサービスはほぼなくなり、ようやく1人前になったと感じています。

↑個別のインタビューに応じる鹿瀬島氏

 

―― その端末販売に関して、現在取り扱いはリユースのiPhoneのみです。今後は拡充の予定はあるのでしょうか?

 

鹿瀬島 市場を見ると、やはりiPhoneを使いたい人が多い。ほかの機種を増やしてほしいという声も少なからずありますが、われわれとしては安くて良い状態のiPhoneを提供するのが基本路線です。iPhone 11や12を取り扱いできる状況にいち早くもっていきたいと考えています。

↑端末販売は、iPhone 8やiPhone X、iPhone SE(第2世代)などを取り扱っている

 

―― Androidスマホに関してはいかがですか?

 

鹿瀬島 現時点では要望が少ないので、予定はありません。実はサービス設計の段階で、コストパフォーマンスやサポート体制といった点でファーウェイの端末を考えていました。ただGMSの問題もあり、実現はしていません。もちろん、今後お客様から強い要望があれば、Androidに関しても躊躇なくやっていきたいと思っています。

 

―― サービスとしては1人前になったものの、MVNO全体で見ると最近は元気がない、目立っていない印象があります。そのあたりはどうお考えですか?

 

鹿瀬島 それは単純に、キャリアに支払う接続料が高すぎるからです。キャリアすべてに言えることですが、3000円以下の格安プランを出せるなら、接続料を下げてほしい。今後段階的に下げるよりも、ずばり一足飛びに(1Mb/sあたり)1万8000円ぐらいに下げてもらわないと、MVNOは生き残れません。

 

―― それほどキャリアの新プランは衝撃だったということですか?

 

鹿瀬島 衝撃でしたし、それができるならやはり接続料を下げてもらいたい。これは懸念しているところでもあります。私たちに限らず、MVNOにもっと目を向けてもらいたいと心から思っています。

 

5GとeSIMへの取り組みは強化する。ただし、まずはy.u mobileを知ってもらいたい

―― 2022年以降はどのような展望をお持ちですか?

 

鹿瀬島 たくさんのお客様に使っていただきたいというのが第一です。y.u mobileを知らない方も多いので、まずは認知してもらうこと。まだそのスタートラインにも立てていません。しっかりとプロモーションをかけて、各プランのターゲットにアプローチしていきます。

 

―― 今後サービスを拡充していくとすれば、どこを強化していきますか?

 

鹿瀬島 節目とは言いましたが、現在できていないところでは「5G」と「eSIM」の2つがあります。5Gは現状、キャリアはSA(スタンドアローン)方式、MVNOはNSA(ノンスタンドアローン)方式ですので、お客様からすれば「結局4Gじゃないか」と思われるのではないかという懸念もあります。

 

※5GのSA/NSA方式についてはこちらの記事をご覧ください。

 

eSIMに関しては、今後絶対に必要になると認識しています。具体的な時期はお話できませんが、意欲的に取り組んでいきたいと考えています。

 

―― ヤマダデンキとの連携では、何か予定されていることはありますか?

 

鹿瀬島 いま考えているのは、テレビ売り場との連携です。U-NEXTのサービスと絡めて、月額781円出せば10GBの音声SIMが使えますという案内ができないかと考えています。単にモバイルコーナーだけで展開するのではなく、お客様との接点、入り口を増やせればと。

 

また最近取材を受けていてもあまり聞かれないのですが、修理費用保険もお客様にご満足いただけているサービスのひとつです。SIMを挿せる端末なら幅広く対応可能ですが、あまり知られていないサービスですので、今回ぜひともお願いいたします(笑)

 

↑年間最大3万円までの修理費用を補償。プランやギガの永久繰り越しに隠れがちかもしれないが、じゅうぶんに魅力のあるサービスだ

 

 

―― サービス開始当初はキャッシュバックキャンペーンがかなり話題を集めていました。今後は予定されていますか?

 

鹿瀬島 当初は後発ということで、マーケティングコストを投下しないと厳しいという実感からキャッシュバックを実施しました。評判は良かったのですが、今後はキャッシュバックよりも通信品質、サービス品質の訴求に投資していきたいです。「MVNOだから安かろう悪かろう」ではないと、しっかりお客様にアピールしていきたいと考えています。

 

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