もっと詳しく

クオリティが高かったり、設定が斬新だったりする韓国ドラマもいいけれど、やっぱりキュンとするラブストーリーが観たい。韓流ナビゲーターの田代親世さんに、年末年始におすすめドラマを紹介してもらっている短期集中連載。今回は、田代さんも大好きなラブストーリーを紹介。

ヒロインに共感してしみじみしちゃう『海街チャチャチャ』

◆反則レベルの笑顔にやられます

Netflixシリーズ『海街チャチャチャ』独占配信中

『海街チャチャチャ』の主人公のホン班長は、海辺の街の何でも屋。困っていることがあったら、なんでもやってくれる。誰に対しても距離を作らないで、するするーっと心に入り込んじゃう優しい男。

ホン班長を演じているキム・ソンホの、反則レベルの笑顔にやられます。くりっとして愛嬌がある、少し垂れた目もいいんです。

ヒロインは、ソウルから来た歯科医のユン・ヘジン(シン・ミナ)。最初はホン班長を、なれなれしくて失礼な男! って思っている。だけど、頼っていくうちに、かけがえのない相手になっていくわけなんです。

韓国でドラマとして放送され、日本でもNetflixで同時配信されました。

◆ふたりの愛にも、海街の人々にもしみじみ

Netflixシリーズ『海街チャチャチャ』独占配信中

それぞれ事情を抱えながらも必死に頑張って生きている人たちの、悲喜こもごもや、三角関係もある恋愛ストーリーが進んでいきます。

徐々に気持ちが育っていく、ハートウォーミングラブストーリー。ああ、こういうのが観たかったんだとしみじみします。海街に住む人々を丁寧に描いていて、彼らの笑顔に幸せな気持ちにさせられます。

なにかあると、あっという間に事情が知れ渡って、みんなが心配したり助けてくれたりする。その距離感もうらやましかった。悪い人がひとりもいなくて、ヒーリングになるーっていう世界です。海の景色も重なって、1年の疲れが取れる気がします。

◆都会で肩ひじ張って働いていたヒロインに、共感

Netflixシリーズ『海街チャチャチャ』独占配信中

Oggi読者の皆さんも、自分の身に重ねられる部分があるでしょう。ヒロインのヘジンは、ヒールの高い靴をはいて、個人主義の都会で、肩ひじ張ってるところもあった。それが、海街に来て、なんだかんだ言いながらもホン班長に支えてもらってほっと安らぐ。こういうの、いいよねって思えます。

女性歯科医を演じたシン・ミナが、すごくチャーミングなんです。キュートでかわいい。美人なんだけどかわいいアヒル口。『オー・マイ・ビーナス』の時もそうでしたが、女性が共感できる女優さんです。

Netflixシリーズ『海街チャチャチャ』独占配信中

年下男子の告白にキャー♡『私がいちばん綺麗だった時』

◆ひとりの女性を争っていく兄と弟

©2020MBC

『私がいちばん綺麗だった時』も、私こういうの好きだった! と思わされます。不幸な生い立ちのひとりの女性をめぐって、兄弟が争っていきます。韓国で兄弟がひとりの女性を争うなんて、タブーの極み。それが、狂おしく描かれていました。

兄ジンを演じているのは、『愛の不時着』で主役ヒョンビンの兄役として特別出演していたハ・ソクジン。弟の高校生ファンを演じているのは、ジス。

弟の通っている高校の教育実習生としてやってくる年上の女性がイェジ(イム・スヒャン)。彼女は、兄弟の父親である陶芸家の大ファン。弟は彼女を家に招くのですが、カーレーサーの兄ジンも、彼女に好意を抱き…。彼女も兄を選びます。

◆「兄さんとキスしたりしないで」という弟の告白にキャー

©2020MBC

大人のこなれた世界にいる兄と、純粋な世界にいる弟の愛が描かれていく。兄弟の対比もよかったんですね。

兄は、煮詰まっている状況を打破したくて、女性に救いと癒しを求める。弟のほうは、純粋に彼女を守ってあげたいということで、常にナイトのように支えていく。

ハ・ソクチンがちょっと大人な、清いだけではない男を演じています。『愛の不時着』とはまた違う、事情を抱えた複雑な愛も経験済みの男。一方のジスのもっさりしたしゃべりかたが、また実直さを感じさせていいわけです。耐え忍んで、一人の女性を守り続けようとする思いもよかった。

私は、ジスの演じた弟がよかったなぁ。なんで僕はもっと早くあなたに会わなかったんだ、なんで僕はまだ若いんだって、歯がゆい思いをぶつけるわけです。大人ぶりたくて「僕のことを怖がってください。子どもじゃないんだ。兄さんとキスしたりしないで。誰とも抱きあったりしないで」って。

なんてまっすぐな告白なんだろう! キャー♡ ってなります。

水彩画のようなトーンの中で、激しく切ない思いが描かれるのが素敵でした。結局、弟は自分の思いを封印して、兄とヒロインの幸せを願います。ところが、兄と彼女の結婚から、またドラマが一転していきます。

◆二人の間の切ない空気感が、恋愛ドラマの醍醐味

©2020MBC

弟が一途な思いを持ち続ける7年間が描かれます。何があっても忘れられない愛のカタチがよかった。兄と結婚しているからどうにもならない。でも、二人の間に漂う切ない空気感がすごくいいんです。兄より弟のほうが合うじゃない! って思わされます。魂が近いという空気感がすごくいい。

これこそが、恋愛ドラマの醍醐味だと思うわけです。ノスタルジックで、名作『夏の香り』を彷彿とさせられました。

最後の余韻もよくて、ひたれるドラマです。ヤンピョンという緑豊かな地方が舞台で、景色も素敵でした。旅行に行けない今、癒されますね。

©2020MBC

* * *

たくさんの話題作があった2021年だけど、その中でも一番好きだったという人が多い『海街チャチャチャ』。田代さんがもうひとつ、すっごく好きだったとおすすめの『私がいちばん綺麗だった時』。素敵な1年を始めるために、素敵なラブストーリーにひたるのはいかがでしょうか。

取材・文/新田由紀子