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Security forces on the streets of Almaty

画像提供, Getty Images

年明けから反政府の抗議行動が続いているカザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領は7日、治安部隊に「無警告の発砲」を許可したと発表した。同国では、燃料価格の高騰をきっかけにデモ活動が全国に広がったが、治安当局が暴力的に弾圧している。

トカエフ大統領はまた、最大都市アルマトイを「2万人の強盗」が襲ったと説明した。

政府は6日、燃料価格の上限設定を半年間復活させると発表。しかし抗議行動は収まらず、他の政治的な不満へと抗議の幅は広がっていた。

トカエフ氏は混乱について、証拠を示さずに、外国で訓練を受けた「テロリスト」の仕業だと主張している。

テレビ演説でトカエフ大統領は、抗議参加者らとの対話を求める声を「ナンセンスだ」と一蹴。「犯罪者や人殺しとどんな対話が持てるというのか?」と述べた。

「我々は国内外の、武装して準備万端の強盗を相手しなければならない。もっと正確に言うなら、連中はテロリストだ。壊滅させなくてはならないし、もうすぐ完了する」

反政府派のグループは、自分たちの行動をテロと呼ぶ政府側の批判を否定している。

内務省によると、抗議デモが始まってからの数日間で、「武装犯」26人と、治安部隊の18人が死亡。また、3000人以上が拘束されたとしている。

「秩序はおおむね回復」

トカエフ大統領は7日、「憲法の秩序は国内全土でおおむね回復された」、「地方当局が状況を掌握した」とする声明を発表した。さらに、「武装勢力が完全に排除される」まで、作戦は続くとした。

CSTOはロシア、カザフスタン、ベラルーシ、タジキスタン、アルメニアの各国で構成している。

ロシア国営RIA通信によると、カザフスタンに派遣された外国部隊は兵士2500人規模。CSTOは、カザフスタンの政府や軍の施設を守る平和維持部隊だと説明している。数日から数週間、同国にとどまるという。

各地に検問所を設置

カザフスタン国内ではインターネットの遮断が続いており、客観的な情報がほとんど発信されていない。

ロイター通信によると、アルマトイの主要広場では7日、武装した人々の姿が見られているという。現地メディアは、国内各地に計70カ所の検問所が設置されたと報じた。

アルマトイにある大統領公邸と市長庁舎では6日、炎が上がった。国内最大の空港は抗議参加者が占領していたが、軍が掌握した。

前日の5日には、トカエフ氏は内閣の総辞職を命じ、反政府デモを鎮静化しようとした。さらに、国家安全保障会議の議長として強大な権力を握っていたヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領を解任した。

カザフスタンは専制国家とみなされることが多い。ほとんどの選挙は与党が勝利し、投票率は100%近くに上る。影響力のある野党は存在しない。

米国務省は、ロシア部隊の動きを注視しているとしている。報道官は「アメリカや、率直に言えば世界が、いかなる人権侵害にも目を光らせている」と述べた。

「カザフスタンの国家機関の掌握につながるような、いかなる動きに対しても警戒している」

国連や欧州連合(EU)、アメリカ、イギリス、フランスはすべての当事者に対し、暴力をふるわないよう求めている。

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<解説>アブドゥルジャリル・アブドゥラスロフ特派員、BBCニュース(アルマトイ)

カザフスタンの最大都市アルマトイは、世界の終わりを描いた映画のようなありさまだ。自動車が燃えた臭いが残り、街にはほとんど人がいない。

軍隊と警察が街の主要施設を封鎖しており、我々が近づくと、これ以上近づくなと叫び、空中に威嚇(いかく)発砲を行った。

アルマトイは普段、とても賑やかな街だ。緑も多くあり、レストランなども多い。しかし今、店舗や銀行は破壊され、盗難被害に遭っている。回復には時間がかかるだろう。

我々が取材したアルマトイの住民は、ショックと怒りをあらわにした。今回のような抗議活動はカザフスタンでは前例がなく、多くの人がその急激な広がりと暴力に驚いている。

中には、ロシアをはじめとする隣国の部隊の到着を喜び、秩序を回復してくれるのを期待する声もある。

一方で、抗議参加者に同情する住民もいた。デモ参加者の多くは地方出身で、低賃金で厳しい生活を強いられているという。

インターネットが切断され、電話回線もつながりにくい今、アルマトイの外で起きていることを知るのは難しい。あらゆるうわさが拡散されているが、それを確かめるすべもない。

現時点では、街の状況は落ち着き、当局が秩序を回復したかに見える。しかし今回の抗議が収まっても、不満の声は残るだろう。また新たな火種が燃え上がるかもしれない。

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カザフスタンの基本情報

地理:北はロシア、東は中国と接している。面積は広大で、西ヨーロッパ全体に相当する。中央アジアの他の旧ソビエト連邦構成国よりはるかに大きい

重要性:豊富な鉱物資源を有する。原油は世界の埋蔵量の3%を持ち、石炭やガスでも重要な国となっている。イスラム教が主流の共和国で、ロシア少数民族が多い。中央アジアの他の国でみられるような内乱はほぼ起きていない

ニュース性:燃料をめぐる暴動が政府を揺るがしている。内閣が総辞職し、抗議行動を治安当局が暴力で抑え込む流血の事態となっている

Map of Kazakhstan and neighbours