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 新型コロナウイルスの感染急拡大が続く沖縄県で、自宅療養者は11日現在で4543人に上り、1週間前の約80倍になった。県は宿泊療養施設の確保を急いでいるが、家庭内感染を防ぐために、車中泊をする感染者も出始めた。防災や医療の専門家でつくる学会は11日、車中泊は「エコノミークラス症候群」の危険があるとして注意を呼びかけた。

 県内のウイルスは感染力の強い変異株「オミクロン株」にほぼ置き換わっているとみられ、爆発的な感染拡大に伴って自宅療養者も急増した。

 今月1日に32人だった自宅療養者は、11日には4000人を超え、過去最多を更新した。現場の対応も間に合っておらず、ほかにも入院か療養かを調整中の2827人が自宅で待機しているという。

 県によると、県のスタッフによる自宅療養の健康観察で、複数の感染者が療養場所について「車の中にいる」と回答した。20~30歳代が多く、「基礎疾患を抱える家族がいる」「家に個室がない」といった感染拡大防止を理由に挙げたという。県の担当者は「車中泊の人がどのくらいいるのか、把握が難しい」としている。

 エコノミークラス症候群は、脚を長時間動かさないことで血の塊(血栓)ができ、肺の血管を詰まらせる病気。静岡社会健康医学大学院大の浦野
哲盟てつめい
副学長によると、新型コロナに感染した場合、ウイルスが血管内皮を傷つけて血栓ができやすくなるという。

 こうした事態を受け、一般社団法人「避難所・避難生活学会」は11日、ホームページを通じて「できるだけ早期に車中泊をやめるのが最善の策」と訴え、脚の痛みや息切れなどの症状があれば、速やかに医療機関や保健所に連絡するよう求めた。

 県は宿泊療養施設として、8ホテルの計852室を確保しているが、6~7割が埋まっている。今後、不足するのは確実で、新たな施設の確保を急いでいる。