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「プロテイン」というと、従来は筋肉を増強したい男性が飲むパウダータイプ、というイメージでしたが、健康や美容の源としても注目を浴び、ここ5年ほどで急速にラインナップが広がっています。パウダータイプのほか、ヨーグルトやカフェオレ風飲料、チョコレートバーなどさまざまで、コンビニエンスストアでも手軽に手に入るようになりました。

 

今なぜ、プロテインがトレンドとなっているのでしょうか? また、プロテインのメリットや、効果的にとる方法、そしておすすめのプロテイン食品とは?

 

「プロテインマイスター」として商品開発も行なっている、プロテインひろこさんに解説していただきました。

 

なぜプロテインをとるべきなのか?

プロテインとは、日本語でタンパク質のこと。炭水化物、脂質、タンパク質の“三大栄養素”のひとつに数えられるほど、体にとって大事な要素。一日に必要なタンパク質量は、体重(kg)×1gで算出できます。平均体重に換算すると、女性は50g程度、男性は65g程度となります。

 

「タンパク質はガソリンのように、体を動かすためには常に必要な栄養素。私たちの体のおよそ2割はタンパク質でできていて、毎食握りこぶしひとつ分のお肉や魚、卵などが必要だと言われています。コンビニで売っているサラダチキン1本に含まれるタンパク質が20gなので、一日にサラダチキン3本分のタンパク質が必要になるという計算です。どうでしょうか? 足りていますか? タンパク質は体に貯めておけない成分なので、毎食とる必要がある、ということも注意しなくてはならないポイントでしょう。たとえば朝食がパンやコーヒーだけの人や、夜はダイエットのためにサラダだけという人は、タンパク質が足りていません」(プロテインマイスター・プロテインひろこさん、以下同)

 

そこで、プロテイン食品で足りない分を補う必要があるわけです。

 

プロテインは、筋トレに励む人がトレーニングの前後に飲むもの、というイメージがあるかもしれません。たしかに以前は、一部の健康志向な人やアスリート、筋肉を効率的につけたい人に向けての商品が多かったのですが、近年ではガラリと様相が変わっています。

 

「粉末をはじめ、さまざまなプロテイン入り食品が販売されています。運動する方だけでなく、食事からお肉や魚、卵、大豆などのタンパク質がしっかりとれていない方にもおすすめです」

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タンパク質摂取量が少ないとどうなる?

では、タンパク質をきちんと必要量とれていないと、どうなってしまうのでしょう?

 

もっとも大きな影響は、エネルギーが燃えないので代謝が落ちてしまうという点です。代謝が落ちると体の機能が低下し、骨が弱くなったり筋肉量が低下して疲れやすくなったりします。運動しても体重が減らなかったり、風邪をひきやすくなったりすることも。タンパク質は、私たちの体のエネルギー源なのです。

 

「美容の面でも、タンパク質はとても大切な栄養素です。お肌のハリや潤いにつながるコラーゲンはタンパク質からできていますから、不足するとカサカサでしわの多い肌になってしまう可能性があります。髪質がゴワゴワしたり爪が弱くなったりしていたら、タンパク質不足も疑ってみて、今一度自身の食生活を振り返ってみてください」

 

マイナスの体作りからプラスの体作りへ

少し前まで、ダイエットや健康志向をもつ人に注目されていたのは、糖質オフや脂質ゼロなど、もともとあるものから何かをマイナスする発想と、それを実現する商品。

 

「ところが最近では、パンやヨーグルト、コーヒーなどにタンパク質や鉄分、葉酸などの栄養分がプラスされたものが増えてきています。コンビニでもパンやお菓子のパッケージに『タンパク質10g』とか『鉄分5g』と書かれているものが目立ちます。何かを減らすのではなく、必要な栄養をプラスすることに、注目が集まっているのでしょう。

栄養を付加した食品としてよく売れているのは、やはりお菓子類で、何か口にしたいなという際の選択肢として普通のチョコレートではなく、プロテインバーにしてみよう、鉄分が多い菓子パンにしようとしている方も増えています。おいしい商品が多く、手軽にとれて無理もしなくていいので、リピートしやすいですよね」

 

プロテインダイエット、成功の秘訣は?

運動嫌いで面倒くさがりを公言しているプロテインひろこさんがダイエットに成功したのは、やはりプロテインのおかげだそう。でも、運動をしていないのにプロテインをとると太らないのでしょうか?

 

「プロテインダイエットには2つのコツがあります。ひとつめは、食べるものをプロテインに置き換えるということ。普段ポテトチップスを食べていたところをプロテインバーに置き換えたり、朝ごはんのパンをプロテインヨーグルトに切り替えたりします。タンパク質量が十分にとれ、カロリーも低くなりますよね。

もうひとつは、食事前に粉末のプロテインを溶かして飲むこと。お腹に溜まって空腹感が満たされるので、必然的に食べる量が減りました。この習慣がうまく体になじんだことで、体重を落とせたのだと思います。私はこれを守ったことで栄養を摂りつつカロリーオフすることができ、シワっぽいやつれた痩せ方ではなく、健康的に痩せることができました」

 

どんなプロテイン食品を選べばいい? 選ぶ際の注意点

プロテイン食品を選ぶ上でまず気をつけたいのが、“タンパク質が何g含まれているか”です。

 

「プロテイン食品には、『タンパク質が00g以上入っていると“プロテイン入り”と表示できる』というようなルールがありません。まずはその食品に何gのタンパク質が入っているか、パッケージを確認してみましょう。食事でとるタンパク質の代わりにしたいわけですから、やはり10g以上は入っているものがおすすめです。

また、“アミノ酸スコア”も気にしていただきたい数値です。これは、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、体内で生成できない“必須アミノ酸”がどのくらいバランスよく入っているかを示した数字。9種類ある必須アミノ酸すべてがバランスよく含まれていると、アミノ酸スコアが100になります。プロテインパウダーは100のものばかりですが、プロテインバーなどではさまざまな商品がありますからチェックしてみてください」

 

栄養はチームワーク! バランスよくこまめに摂取がおすすめ

プロテインを取り入れたい! と思ったら、一日のうちにどのくらいのタンパク質量を補わなくてはならないか計算してみます。食事ではほとんどきちんと摂れていないなら、一日のなかで少しずつプロテイン食品を取り入れてみましょう。

 

【朝食】「フルーツやパンなどを食べている方は、そこにプロテイン入りヨーグルトや飲料を足してみましょう」

【昼食】「定食などでお肉や魚をしっかり摂り、間食にはお菓子の代わりにプロテイン入りの甘い飲料やプロテインバーをとります」

【夕食】「夕食の前にお腹が空いたときは粉末のプロテインを溶かして飲み、お腹を満たしておきましょう」

【夜食】「夕食後、寝るまでの間に小腹が減ったときは、消化にいい粉末のプロテインを飲むのがおすすめ。夜に飲むために開発された、リラックス成分配合のものもあります」

 

「ある瞬間に過剰摂取するのではなく、一日のうちに何度もとるタイミングをつくっておき、習慣化していくことが大切です。粉末のものはミルクや水で割る以外にも、豆乳やオーツミルク、アーモンドミルクで割るのもカフェメニューっぽくておすすめですよ」

 

プロテインひろこさんおすすめのプロテイン食品
パウダータイプ 5選

プロテイン食品には、牛乳由来の「ホエイプロテイン」、大豆原料の「ソイプロテイン」、えんどう豆原料の「ピープロテイン」など、さまざまな種類があります。

 

「動物性のものと大豆やえんどう豆で作られた植物性のものは、吸収時間が異なります。運動後に飲むときは、短時間で吸収できる動物性のホエイプロテインがおすすめ。一方、吸収時間が長い植物性のものは腹持ちがいいことや、イソフラボンなど大豆由来ならではの栄養を摂取できるのがメリットです」

 

1. ナチュラルフレーバーで飲みやすい

タマチャンショップ「タンパクオトメ」すこやか朝バナナ味
2759円+税(260g)

プロテインひろこさん監修のプロテインは、ミルク由来のタンパク質と大豆由来のタンパク質の両方がとれる、いいとこ取りのプロテイン。ナチュラルなバナナで味つけがされているので、自然な甘さと香りです。

「プロテインを買ったものの飲みきれない……という声は本当によく聞くので、無理なくおいしく続けられるということにこだわりました。水にも溶けやすく、ヒアルロン酸やミネラルなど美容に必要な栄養素もたっぷり入っています」

 

2. Veganの人におすすめの動物性不使用のプロテイン

ハリウッド化粧品「SOY PROTEIN beauty」
3500円+税(200g)

添加物や動物性タンパク質が苦手な方におすすめしたい、大豆由来のプロテインです。着色料、香料、人工甘味料、保存料不使用で、7種のスーパーフードと88種の植物発酵エキスの美容成分や、ウコン末・田七人参・シトルリン・ヘスペリジンが配合されています。

「老舗化粧品メーカーのハリウッド化粧品が開発したプロテインです。きなこを思わせる和風の味で、カフェメニューのような飲みやすさが気に入っています。オール植物性なので、食にこだわりのある方にはぴったり。ヴィーガンやマクロビオティックスの方にも飲んでいただけます」

 

3. 野菜が足りない人にも! えんどう豆由来のプロテイン

GRON「プロテインブレンド(抹茶オールスターズ)」
3600円+税(240g)

ナチュラル嗜好の人に飲んでほしいのが、ヴィーガン対応のこちらのプロテイン。原材料がエンドウ豆たんぱく、有機抹茶、黒糖、モリンガ葉、桑の葉、てんさい含蜜糖ととてもシンプルで、タンパク質だけでなく野菜不足の人にもおすすめです。

「抹茶味で甘みが少ないので、和食に合う味です。たとえば朝ごはんにごはんとお味噌汁とお漬物しか用意できなかったら、そこにこの抹茶プロテインを合わせるのがおすすめ。やさしい甘さながら黒糖のコクが感じられます」

 

4. ダイエット指導のカリスマが監修したしっかりプロテイン

ULTORA「ULTORA WHEY DIET PROTEIN」
3780円+税(1000g)

運動後におすすめなのが、タンパク質含有量の多いこちらのタイプ。人工甘味料や保存料不使用で、チョコレート味のほか、ココナッツチョコレートや抹茶、フルーツオレなどがあります。アミノ酸スコア100で、溶けやすいのも利点です。

「ダイエットについてのスパルタ指導が、ツイッターで話題を呼んでいるテキーラ村上さんが監修したプロテインとあって、とにかくプロテインの質がとてもいいんです。味も、チョコやココア味は甘すぎると続かないのですが、絶妙な甘さですっきりと飲めます」

 

おやつにしたいプロテイン食品

続いて、粉末状ではなく、小腹が空いたときやおやつとしてつまみたい、コンビニでも手軽に購入できるプロテイン商品を紹介します。

 

1. 持ち運びに便利だからオフィスでも飲める!

明治「(ザバス)for Woman MILK PROTEIN」
150円+税

プロテイン商品のなかでも特によく見かけるのが、「ザバス」シリーズ。プロテインひろこさんのおすすめは、ほんのり甘くておやつを食べた感じが味わえるミックスベリーだそう。

「蓋がきゅっと閉まるボトルタイプのパッケージなので、外出時にも気軽に買うことができます。味もこっくりしていいてお腹に溜まる感じがあり、ちょっとお腹が空いているときにも満足感が味わえます」

 

2. 15g含有の高タンパクカフェオレ

森永乳業「inPROTEIN」
150円+税

とりあえずプロテインを飲んでみようかな、という人におすすめなのが、カフェオレ風味で飲みやすい「inPROTEIN」。いつも飲んでいるコーヒーやカフェオレの代わりに手に取ってみると、気軽にタンパク質を補給できます。

「どんなものも続かないと意味がないので、コーヒー代わりになるこちらは日常に取り入れやすい一品です。甘さもあるのでおやつを食べなくても満足できそう。おいしいので、無理せずに栄養補給できるのがいいですよね」

 

今や栄養素がしっかり摂れていない現代人にとって、プロテインでタンパク質を補うことは必須なのかもしれません。特に疲れやすさやだるさは、つい我慢して慢性化してしまいがちです。疲労の原因が栄養バランスにないか、食事に目を向けて無理なく健康を維持したいですね。

 

【プロフィール】

プロテインマイスター / プロテインひろこ

運動しないプロテイン愛好家。今まで筋肉をつけるために飲むイメージの強かったプロテインを、きれいになる方法の一つとして提案しているInstagramは多くの女性の支持を集めている。「マツコの知らない世界」(TBS)や「林先生の初耳学」(毎日放送)などにも出演。女性向け美容プロテイン『タンパクオトメ』『プロテイン餃子』など、商品のプロデュースにも多数携わっている。
Instagram https://www.instagram.com/protein_hiroko/