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13日、米国防総省のカービー報道官は「タリバンの進軍のスピードを懸念している」と語った(国防総省)

【ワシントン=中村亮】米国防総省のカービー報道官は13日の記者会見で、アフガニスタンで攻勢を強める反政府武装勢力タリバンの作戦をめぐり「(首都)カブールの孤立が狙いだ」と指摘した。米CNNテレビによると、在カブール米大使館では機密性の高い書類などを廃棄する方針が決まった。カブール陥落に備えているとみられる。

ホワイトハウスによるとバイデン大統領は13日、安全保障担当の高官から在カブール大使館で働く外交官の退避状況について説明を受けた。バイデン氏は12日、治安悪化を受けて大使館員の削減を指示していた。退避支援を目的に派遣を決めた約3000人の米兵の大半が週末中にカブールの国際空港に到着する見通しだ。

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カービー氏は「タリバンの進軍のスピードを懸念している」と語った。米メディアなどによると、タリバンは34州都のうち18州都を制圧した。カンダハルや北部クンドゥズと合わせて幹線道路が通る要衝を相次いで支配し、カブールへの物流を寸断する狙いとみられている。

カービー氏はアフガン政府の治安部隊がカブールを守る能力があるかどうかを問われて「それはアフガンの指導者が自らのために決める問題だ」と指摘。アフガン治安部隊に対して兵器提供や訓練を通じて十分な支援を行ってきたと強調し、治安部隊が結束して戦うべきだとの見方を示した。

クレイン大統領首席補佐官は13日、「タリバンが国土の掌握を激しく進めるなかでもアフガン撤収を決めたバイデン氏を支持する」と主張する退役軍人の声明をリツイートした。タリバンが攻勢を強めても、バイデン政権は8月末の撤収予定を堅持している。与党・民主党のクリス・マーフィー上院議員もツイッターで「任務そのものに欠陥があった」と書きこんで撤収を支持した。

野党・共和党のマルコ・ルビオ上院議員は「アフガン撤収は中国の急速な軍事力増強や中ロの軍事協力強化への対抗に向けて資源を再分配するものだ」とツイッターで指摘した。「だがそれはテロを完全に無視して良いということではない」と強調し、タリバンの支配下で国際テロ組織アルカイダが復活すると警鐘を鳴らした。

トランプ前大統領は12日の声明でアフガン情勢をめぐり「いま起きていることは受け入れられない」と指摘。「(撤収を)もっとうまくやるべきだった」としてバイデン氏を批判した。