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新型コロナウイルス患者の入院率が、首都圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)と京都の5都府県で10%を割り込んでいることが、厚生労働省が20日発表したデータで明らかになった。

 政府の対策分科会が示すステージ4(爆発的感染拡大)の目安となる「25%以下」となったのも、前週から3県増えて14都道府県となっている。

入院率が5・4%と最も低かった埼玉では、20人に1人しか入院できていない計算となっている。次いで京都が8・6%、東京と神奈川が9・5%、千葉が9・7%だった。新たにステージ4相当となった3県は、三重(15・4%)、熊本(22・3%)、大分(23・6%)。

人口10万人当たりの療養者数をみると、ステージ4の目安となる「30人以上」となったのは前週より9県増えて42都道府県に。人口10万人当たりの新規感染者数も、前週より9県増の43都道府県でステージ4の目安である「25人以上」を上回っている。

病床使用率はステージ3(20%以上)が19道県、ステージ4(50%以上)が28都府県と、全都道府県で医療の逼迫(ひっぱく)度合いが深刻さを増している。

「ロックダウン」的措置の検討必要 東京医科大・濱田篤郎特任教授

首都圏や沖縄県では病床がほとんど残っておらず、重症患者の使用率も神奈川や東京では9割近くに達している。PCR検査の陽性率が高い一方、感染経路不明の割合も高いところでは6〜7割となっており、実際の感染者はもっと多い可能性がある。まさに医療崩壊直前といえる状態だ。

こうした「災害レベル」の状況を受け、政府は人の流れを5割削減するとしているが、いわゆるロックダウン(都市封鎖)的な措置を考えるべき局面に来ていると思う。感染防止対策の決め手にはならないという声もあるが、人流の抑制に有効なのは事実だ。

地域の体育館などを活用して臨時の医療施設を開設し、病床を増やす取り組みを進めようという動きもあるが、一番の問題はマンパワーの不足。医師会に依頼するとしても、日常の診療業務がある。先週も指摘したが、自衛隊の災害派遣も視野に入れるべきだ。

とはいえ、ワクチン接種が対策の根本であることに変わりはない。接種率が6割に達すれば、ある程度効果が出てくるだろう。英アストラゼネカ製ワクチンの接種も一部自治体で間もなく始まるが、粛々と進めていくしかない。(談)