日本など各国がアフガニスタンから自国民などの退避作業を進める中武装勢力タリバンは、すべての退避は、アメリカ軍が撤退期限とする今月末までに終えるべきだとしてアメリカ側に改めて撤退期限を守るよう求めました。
アフガニスタンでは、今月末にアメリカ軍の撤退が迫る中、武装勢力タリバンが権力を掌握し、日本やアメリカなど各国が、自国民や協力者などの退避作業を進めています。
こうした中、アメリカ政府は、軍の撤退期限の延長を検討していますが、武装勢力タリバンの報道担当のムジャヒド氏は24日、記者会見し「すべての退避は8月末までに終えるべきだ」としてアメリカに改めて撤退期限を守るよう求めました。
また、首都カブールの空港では、24日も国外に逃れようと多くの人たちが詰めかけ、混乱が続いていて、ムジャヒド氏は「アメリカがアフガニスタン人の国外退避を促している」としアメリカを強く非難しました。
アメリカとタリバンの間の緊張が高まる中、アメリカメディアは24日、CIA=中央情報局のバーンズ長官がカブールを訪問し、タリバンのナンバー・ツーのバラダル師と極秘に会談したと伝えていて撤退期限の延長をめぐり協議したものとみられます。
日本政府に助け求めるアフガン人
この男性は5年ほど前に中国地方の国立大学に留学し、帰国後はアフガニスタン政府で働いていたため、いまはタリバンから追われる立場になっているということです。
男性は航空自衛隊の輸送機が派遣されることを知って、24日、タリバンの戦闘員に見つからないよう注意しながらカブール空港に向かったものの、空港の入り口は閉ざされ、アメリカのビザなどを持っている人以外は入れなかったと話しています。
男性はNHKの取材に対し、ほかの大勢の人々が空港の外で立往生する様子とともに「この映像は日本政府に救助を求めるための証拠です」と訴える動画を送り、助けを求めています。
ホワイトハウス報道官「予定どおりのペース」
この中でサキ報道官は「首脳会議でバイデン大統領はわれわれの任務は目標の達成状況にもとづいて完了することになると伝えた。現時点では8月31日までに終えるペースで進んでいる」として地元の協力者などの退避が撤退期限までに終わるとの見通しを示しました。
そのうえで「8月31日までに任務が完了するかは退避する人々の空港へのアクセスなどタリバンと続けている調整しだいだ。バイデン大統領は国防総省と国務省に予定どおり進まなかった場合に備えた対応策を検討するよう指示した」として、期限までに撤退が完了しない場合を想定した対応も検討しているとしています。
英首相「退避を望む人々に安全な移動の保証を」
その中でジョンソン首相は、武装勢力タリバンがアフガニスタンからの人々の退避を今月末までに終えるべきだとしている点について「G7としての第1条件は、8月31日以降も、アフガニスタンからの退避を望む人々に安全な移動を保証することだ」と述べて、退避を望む人々が安全に移動できるよう、タリバンに求めていく考えを示しました。
イギリスはこれまでにアフガニスタンから9000人を退避させたものの、首都カブールの国際空港の混乱で現在、退避が困難になっているとしています。
ドイツ外相「全員退避できない」
そのうえで、マース外相は、軍の撤退期限がすぎたあと、現地に残された人たちをどのようにして国外に退避させることができるかアメリカやイギリスとともに検討を進めているとしています。
国連「人権の尊重を」
この中で、バチェレ人権高等弁務官は「タリバンの支配下にある多くの地域で、国際人道法の重大な違反や人権侵害に関する、信頼できる報告がある」と述べて、女性が自由に移動することや、教育の機会が制限されたという報告があると指摘しました。
そのうえで「基本的なレッドラインは、タリバンが、女性や少女の移動や教育の自由を尊重するかだ」と述べ、タリバンが女性の権利を尊重するのか、注視していく考えを示しました。
人権理事会は会合で決議を採択し、この中で「女性や子ども、少数民族を含む、すべてのアフガニスタン人の人権の尊重を求める」としたうえで、人権侵害に対しては速やかな捜査と責任の追及が行われることが必要だと強調しました。