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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は緊急事態宣言の対象地域に、愛知、広島など8道県を追加する。厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード(AB)」は25日の会合で、全国の新規感染者数について「1カ月近く過去最大の水準を更新し続けている」とし、首都圏と比べてその他の地域の増加率が大きくなっていると分析。今後の見通しについて「お盆明けの社会活動の増加により、さらに感染者数が増加する可能性もある」と警鐘を鳴らす。

何が違うのか デルタ株「最強」の理由

 「感染力が高い(インド由来の)デルタ株がこれまでとは違うレベルのウイルスだという危機感を行政と市民が共有してほしい」。AB座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は会合後の記者会見でこう呼びかけ、市民が自分や家族を守るために外出をこれまでの半分以下に減らすよう求めた。

 直近1週間(18〜24日)の人口10万人当たりの新規感染者数が、感染爆発を示す「ステージ4」(25人以上)の水準に達したのは44都道府県、100人以上となったのは17都府県だった。沖縄県は314人、東京都は233人と危機的な数だ。岩手、福島、石川、鳥取を除く43都道府県で、直近1週間の新規感染者数が前週(11〜17日)よりも増えていた。感染スピードが鈍化しているようにみえる沖縄、東京について「感染者数の急増や検査陽性率が上昇している状況では、実際の感染者数が過小に評価されている」との指摘もあった。

 感染者の爆発的な増加に伴い、全国の重症者数は連日最多を更新。24日時点で1964人となり、死者の増加も懸念される。同研究所は会合で、これまで報告された死者数や中等症・重症者数から、24〜30日の死者数は1日当たり最大で全国45人、東京10人が見込まれるという予測を示した。

 東京都医学総合研究所によると、東京の主要繁華街の夜間滞留人口は、盆明けのわずか1週間で6・2%も増えており、宣言前と比べても約3割減の水準にとどまっている。

 ただ、夏休み明けの学校再開について、脇田座長は「デルタ株の流行であっても、流行を抑えるための休校や学校閉鎖は必要がない」と分析。感染対策は小中高校、大学で異なるとして、「大学ではなるべくリモート授業が必要という議論があった。部活や全国大会でもクラスター(感染者集団)が発生しており、感染状況に応じて延期や中止を検討してほしい」と語った。【金秀蓮】