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現在開催中の「東京2020オリンピック・パラリンピック」。2020年から一年、未曽有の危機に遭いながら世界中の人々と選手たちが様々な思いを抱えながら、この日へとたどり着きました。

 

世界各国の選手たちがここ日本の地で熱い競技に挑んでいます。GetNavi webでは、2019年11月から群馬県・前橋市でトレーニングを積んできた南スーダン代表選手「グエム・アブラハム」選手の半生を追ったマンガ連載「Running for peace and love」を掲載しています。

 

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南スーダンで「平和と結束」をテーマとした全国スポーツ大会、「ナショナル・ユニティ・デイ」が開催。アブラハム選手はナショナル・ユニティ・デイを通して、民族の壁を越えた平和への一歩を体感しました。同時に、自身のアスリートとしての力に自覚を持ち、さらに大きなステージを駆け上がっていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京2020オリンピック代表に選出されたアブラハム選手。今回の物語を補足する情報を追っていきましょう。

 

アブラハム選手とオリンピック

 

第1回、第2回ナショナル・ユニティ・デイ(NUD)と好成績を残したアブラハム選手は、おのずとオリンピック出場を目指すようになりました。第1回・2回NUDの結果を踏まえ、オリンピックチームが形成されてアブラハム選手以外の候補選手も集められたそうです。その後、アブラハム選手含む3名のオリンピック候補選手と1名のパラリンピック候補選手が、事前合宿で日本入りすることとなりました。その先のお話はまた次回描いていきたいと思います。

 

南スーダンとオリンピック

映画「戦火のランナー」場面写真より (C)Bill Gallagher

 

南スーダン共和国が、オリンピックに初参加したのは2016年開催のリオ・デ・ジャネイロオリンピックになります。2015年6月に南スーダン五輪委員会が設立、同年8月に国際オリンピック委員会に加盟承認されました。

 

しかし出場までの道は険しく、開催まで3か月を控えている時点で候補選手の多くがオリンピック出場資格を得ていませんでした。そのため、オリンピック出場資格を得るための国際試合への選手派遣を至急行っていくことに。そして、2016年6月の南アフリカの陸上競技会が最後のチャンスであることがわかり、選出選手たちが参加することとなったのです。結果的には、特別枠で男女1名ずつの選手参加が陸上競技で認められることになり、さらに、マラソンで国際大会に出場していた南スーダン選手の参加が認められ、計3名の出場が認められることになりました。

 

そのような経緯でリオオリンピックにて初参加となったわけですが、実は2012年のロンドンオリンピックでも「南スーダン出身」の選手が参加していたのです。2021年6月に日本でも上映されたドキュメンタリー映画『戦火のランナー』では、スーダン共和国時代に戦火の中で苦難から脱出してアメリカへ移民した「グオル・マリアル」選手が、ロンドンオリンピックに出場するまでの顛末が描かれています。

 

南スーダンの独立が2011年7月、ロンドンオリンピック開催が2012年7月と、独立して間もない1年の中で国内オリンピック委員会を設立することが叶わず、グオル選手は「南スーダン共和国代表選手」としては出場できないことになってしまったのです。しかし「スーダン共和国代表」としての出場なら叶うという状況。国を背負って走るオリンピック大会において、とても重要な決断をグオル選手はしていくわけですが、そのような背景の中で、南スーダン出身の選手がロンドンオリンピックにも出場していました。

 

そのロンドンオリンピックからリオオリンピック、そして今年の東京2020オリンピックと、南スーダンはNUDなどのスポーツ施策に注力することで着実に世界的な選手を輩出する環境を整えていっていることがわかります。

 

次回は、日本にやってきたアブラハム選手たち南スーダン代表選手団が、どのような暮らしをして、どんな思いを抱えながらオリンピックへと挑んでいくのかご期待ください。

 

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●映画『戦火のランナー』クレジット

監督・プロデューサー:ビル・ギャラガー

脚本・編集:ビル・ギャラガー、エリック・ダニエル・メッツガー

配給:ユナイテッドピープル 宣伝:スリーピン

2020年/アメリカ/英語/88分/カラー/16:9