宮城県石巻市に6月、国と県が整備した「みやぎ東日本大震災津波伝承館」が開館した。震災の記憶と教訓を伝え継ぐ展示施設のはずが、映像が見づらい、他県施設に比べ見劣りするなどと、評判はさんざんだ。展示を監修した山内宏泰さん(50)=リアス・アーク美術館長=自身が「盛大な失敗だ」と認める。なぜこんなことに?
――ガラス張りの円形の建物は、外光が注ぎ込み、中で展示をするのは不向きに思えます。
「建物をつくった国は、祈りの空間と位置づけ、式典に使うことを想定した。建物の設計が終わったところ(2017年度)で、県が伝承の展示をすることになり、あとづけで検討が始まった。そこに決定的なボタンの掛け違えがあった」
――山内さんはどう関わったのですか。
「県が展示設計のプロポーザルを募集し、その審査員を頼まれた。18年8月に審査で選ばれたのが、業界大手の乃村工芸社。建物の半周分のガラス窓を可動式のスクリーンで覆い、そこに映写するなどの提案で、私も評価していた」
「ところが県が国(所管する…
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