もっと詳しく

Roomba(ルンバ)は、明らかに世界で最も普及しているロボットの1つだが、最も賢いロボットの1つだったわけではない。とはいえ、全体的に見れば、それは大きな問題ではない。このトップセラーの掃除機は、自分のやるべきことに関しては優秀な仕事をする。それはつまり、床をきれいにするということだ。しかし、ロボット工学者の仕事に終わりはない。iRobot(アイロボット)がその注目とリソースの大半をこの分野に注いできたことには理由がある。この会社は事実上すべての時代を、非常に特殊なタスクを実行するロボットの能力を向上させることに費やしてきた。

そして今回は、搭載したセンサーを使って、家の中のエリアやレイアウト、掃除に余計に時間がかかる領域などを記憶することができるようになった。

「継続的な学習機能が有効になっているので、あなたが家の中で何かを変えると、Roombaはそれを理解します」と、iRobotのColin Angle(コリン・アングル)CEOは、TechCrunchに語った。

「今まで開けたことのないドアを開けたら、ルンバはそこを探索します。ソファを移動させれば、家の中が以前とは少し違っていることを理解し、それを承知します。収集した情報はどんどん豊かになっていきます」。

画像クレジット:iRobot

もう1つの大きな進化は、特定の物体を識別して避けるようになったことだ。同社はこれまでに何百もの物体を識別する作業を行ってきたが、まずは2つの具体的な問題領域から着手している。コードとウンチだ。理由はそれぞれ大きく異なるものの、どちらもロボット掃除機にとって大きな問題となる。どちらの場合も、手やヒザをついて後処理をしなければならなくなるのは嫌だろう。

ウンチ(poop)に関しては、iRobotはそれを頭文字とする保証を付けた。Pet Owner Official Promise(P.O.O.P.、ペット飼い主公式契約)と呼ばれるこの保証は、動物の排泄物を轢いてしまった「Roomba j7+」を交換するというものだ(本キャンペーンは、購入から1年間有効で、交換製品のみを対象とする。限られた地域でのみ実施され、追加の規約と条件が適用される。詳細はこちらをご覧いただきたい)。

「Google(グーグル)で検索すると、ロボットが動物のウンチを轢いてしまったというあまり愉快ではない例が見られます」と、iRobotで製品管理ディレクターを務めるHooman Shahidi(フーマン・シャヒディ)氏はいう。「私たちはこの問題をお客様と一緒に解決しました。動物のウンチを発見したら、それを避けて、お客様にお知らせします」。

画像クレジット:iRobot

アングル氏は次のように付け加えた。「人を家に送って何百ものウンチのモデルを作っていた頃は、ロボット工学者としての輝かしいキャリアはまったく忘れられていたかもしれません。人を送り込んで、ウンチの模造品を撮影・作成しました。何万枚のさまざまな形の模造ウンチの画像が必要だったかはわかりませんが、これは明らかにデモコードではありません。オシッコは無理です。3次元的な要素が必要ですが、しかしロボットは識別して避けることができると我々は信じています」。

3つ目の改良は、ユーザーの行動にシステムを適合させるスケジューリングだ。例えば、留守中に自動的に掃除をしたり(携帯電話の位置情報をトリガーとして利用する)、人がいる部屋は避けるようにすることができる。ロボットが家の中を移動する必要がある場合は、静かに走行し、実際に作業を開始する時間になるまで起動しない。清掃時間の目安を表示し、ユーザーに作業時間がどれだけ掛かるかを知らせることもできるようになった。

Roomba j7は、米国およびカナダでは、649ドル(約7万1000円)という価格で販売されている。Roombaが集めたゴミを収容しておけるコンパクトなクリーニングベースが付属する「j7+」は849ドル(約9万3000円)だ。欧州でも販売されており、来年には他の市場にも展開が予定されている。一方、バージョンアップしたソフトウェア「Genius 3.0」は、同社の他のコネクテッド・ロボットにOTAアップデートで提供される予定だ。

関連記事
「ルンバ」などロボット掃除機の国内出荷台数が400万台を突破、2023年までに全国普及率10%目指す
アイロボットが自動ゴミ収集機付属で10万円以下の掃除ロボ「ルンバi3」発表、数カ月はゴミ捨て不要
Swiftも学習可能、掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがプログラミングロボ「Root」で教育市場参入
画像クレジット:iRobot

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)