新型コロナウイルスの今後の感染状況について、理化学研究所などのグループが感染症のシミュレーションに天気予報などに使われている技術を組み合わせて今後の感染動向を予測する新しいシステムを開発しました。
このシステムは理化学研究所計算科学研究センターの三好建正チームリーダーらのグループが開発しました。
新型コロナウイルスなど感染症のシミュレーションではこれまで主に「数理モデル」と呼ばれる手法が使われてきました。
グループではこの手法に、コンピューターを使った天気予報などに活用されている「データ同化」という技術を組み合わせて新型コロナウイルスの今後の感染動向を予測するシステムを開発しました。
「データ同化」は、過去に出した予測値と実際の値の差を比較して、今後のシミュレーションの誤差が少なくなるよう修正し、より正しい予測を導き出す技術です。
グループではこのシステムを使って感染が増加に向かっているのか、減少に向かっているのかを表す「実効再生産数」と呼ばれる数値や入院が必要な人の数などが、対策の違いによって今後どう推移していくのかをシミュレーションしていて、結果をウェブページで公開しています。
三好チームリーダーは「天気予報の手法を使ったのは新しい取り組みだ。始めてまもない取り組みだが、システムを高度化して、参考になるデータを提供できるようにしたい」と述べました。