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今年の夏頃に初めてアートフォトを買いました。今年1月に取材したアメリカ・フィラデルフィアのお店『YOWIE』の5周年を記念して発売されていた写真です。YOWIEの元インターンであるというフォトグラファー・Marc Williams氏のプリント作品で、フィリーらしさと雰囲気がカッコいいなーと思ってポチッと購入。

 

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フィラデルフィアにあるバスケットゴールを撮った一枚。誰かの自宅の敷地なのか、それとも街中にあるのか。今後フィリーに行ったとき探してみるのも面白いかも。しかし、この写真を見ていると無性にNew BalanceのBB550履きたくなります。

「さて、どこに飾ろうか」なんて思っていたのですが、完全に失念していました。写真を飾るのには額縁が必要だということに……。写真のサイズがアメリカ規格だから既製品はあまりなく、自分で上手く額装できる自信もなかったので、額縁もオーダーメイドで作ることに。調べてみると額縁屋さんにも各々得意なフレームや素材がある模様。いくつかお店を周った結果、今回は自由が丘の『祝日堂』でフルオーダーの額縁を作ることにしました。


祝日堂(しゅくじつどう)
老舗の額縁業者で約10年働いた大畑さん夫婦が「日本でも海外のように作品を気軽に飾る文化を広げたい」という想いで、昨年自由が丘にオープンした額縁屋。場所は駅から徒歩7分ほど離れた住宅街。額縁に興味がある人が少しでも入りやすいよう、ガラス張りで店内が見えやすいような工夫も。オーダーフレームの他、セミオーダーフレームや既製品のフォトフレームなども取り扱う。

額縁のオーダーメイド。まずは素材ではなく仕様を選ぶ。

今回はオーナーの大畑拓也さんに相談。「初めての額縁選び」ということを伝え、イチから教わりながら額縁を作っていきます。

祝日堂がメインに取り扱っているのは額縁のフルオーダーメイド。作品のイメージや飾る場所に合うように、木材や額装方法などをひとつずつ丁寧に打ち合わせしながら決めていくそう。

作品のサイズは28cm×35.5cm(11×14インチ)。

まずは作品のサイズを採寸し、額装方法を選ぶところから。

「例えばポスターだと直接額をつけてアクリル板をペタンと載せるというやり方もあります。ただ、今回のようなプリント作品だとアクリルがくっついたり、湿気ると濡れ跡みたいになったりするので、基本的にはマットを入れてアクリルの板とプリントが当たらないようにします」。

この段階でマットの色も選択できる。今回は一番ベーシックなアイボリー。「ちょっと古い版画やヴィンテージのプリントで紙が焼けてる場合は、クリーンなアイボリーと作品の相性が悪いので違う色を選びますが、今回のような綺麗なプリントはアイボリーがおすすめです」

作品の雰囲気と飾る場所を考えながら、素材を決める。

額装方法が決まったら、メインともいえる額の素材とカラー選び。作品の雰囲気だけでなく、飾る場所にも左右されるため、事前に飾る場所は決めておくのがベター。

「モダンなインテリアが多かったらポプラ材の黒など木目が少ないもの、ウッド調の家具が多かったら木目のある方が馴染みやすいです。この段階ではイメージしづらいですが、木目があるかないかの僅かな差で結構印象が変わります」

実際に作品とフレーム、カラーを合わせながら選んでいく。今回は作品のモダンな印象に合わせて、木目の出ないポプラ材の黒で作ることに。
祝日堂が得意としているのは、プレーンな細めの木材。モダンな作品に合うオーク材や、温かみのあるポプラ、アッシュなど、様々な木材を取り揃える。また他にアンティークフレームやミラーフレームの取り扱いもあり。

最後に仕上がり寸を決めて、微調整。

素材を選んだら終わり!……ではなく、ここからはさらに細かいところ詰めていきます。素材を決めたら、次は作品にどうマットをかけるか。ある意味ここからが既製品では味わえない、オーダーメイドの醍醐味かも。

「ここでは写真の余白をどう出すかを決めます。マットと写真の間を数ミリ空けることもできますし、逆に余白を出さないようにしてもいいです」

最終的には好みだけど、数ミリの余白を出してマットをかけるのが一般的らしい。例外として、余白部分に作家のサインなどが入っている作品などは数センチ余白を出すことも。

今回は均等に3mmあけてマットをかける。「細かいところまで選べるのがオーダーメイド。だから、こだわっちゃう人は結構ハマっちゃうみたいです。逆にいろいろ言い過ぎると決まらなくなっちゃうなっていうお客様にはここまでご案内はしません(笑)」と大畑さん。

次はマットの大きさ。ここで仕上がり寸という最終的な額の大きさが決まります。

「マットは写真から幅を取らずに小さくすることも、幅を取って大きくすることもできます。一般的には写真から5cm、広くも狭くもないくらいにすることが多いです」

再びサイズを測ってもらい、微調整していく。
飾る部屋の大きさと作品の雰囲気を考慮して、今回は4.5cm幅に微調整。最終的な仕上がり寸は440cm。「額縁が黒の場合は作品との幅が狭いと干渉してしまうので、多少距離を取る方がおすすめです」。

マットだけでなく、額縁の幅も調整可能。見本で置いてあるフレームのサイズはオーソドックスな15mmだけど、仕上がり寸と木材の強度を見て、さらに細くすることもOKとのこと。

「このサイズなら木材の強度的に10mmまで細くできます。作品の雰囲気に合わせるなら最細の10mmまでいってもいいかなと思いますね」

見本で置いてあるサイズは15mm。今回は大畑さんのおすすめの10mmに変更。
裏ネジ止めの仕様も変更可。今回は祝日堂ではオーソドックスだという仕様に決定。「裏のネジ止めをここ(右手人差し指で指している部分)につける業者さんも多いんですけど、ここにつけると金具がちょっとお辞儀するので、うちではピタっとかけられるようこの仕様にしています」

最後にお会計。今回はフレーム材はポプラ材の黒、仕上がり寸は440cmで10,430円(税抜)でした。作品を預けて、仕上がりまで約2週間待ちます。


2週間後、再びお店に伺い、完成したフレームと額装された作品をチェック! 作品の雰囲気と額縁がイメージ通りに仕上がっていて、テンション上がります。あと当たり前だけどプロである大畑さんが額装してくれているから、綺麗な仕上がり。既製品の額縁を買って自分で額装していたらこんな風に仕上がらなかっただろうな……と思うと、本当に今回はオーダーメイドで正解でした。

せっかくなので祝日堂さんの壁にかけさせて写真撮影。モダンで良い仕上がりです。白壁と合う!

家に持ち帰り、飾る場所を決めていくのもまた楽しい作業。日常の中にアートがあるという状況がすごく新鮮です。一度買ってハードルも下がったので今後も気に入った作品を買って、額縁屋さんでオーダーメイドというコースを楽しみたいところ。もちろん自分が買える価格の作品に限る、ですが……。

そういえば、恵比寿のSALT & PEPPERの取材後に田中さんと「ZINEを買うとアートを買うハードルが下がる」なんてお話をしていたのですが、今回の購入はまさにそれでした。興味はあるけどまだハードルを感じるという人はZINEから買ってみるのもいいかも。

祝日堂
住所:東京都 目黒区自由が丘1-19-24 七福ビル 1F
営業:11:00 – 19:00(不定休)
電話:03-5726-9612
https://shukujitsu.com/