もっと詳しく

「セキュリティオペレーションのコンシェルジュサービス」を提供するサイバーセキュリティ管理企業のArctic Wolf Networks(アークティック・ウルフ・ネットワーク)は、セキュリティに関するトレーニングとアウェアネス(意識向上)のためのコンテンツプラットフォームであるHabitu8(ハビッツエイト)を買収した。

Arctic WolfがシリーズF投資ラウンドで1億5000万ドル(約167億円)の資金を確保してから、わずか2カ月後に行われたこの買収の条件は明らかにされていないものの、この件に詳しい人物がTechCrunchに語ったところによると、買収は現金と株式の組み合わせで支払われたとのこと。Arctic Wolfは、この買収によって60から70の顧客を獲得するだろうと、この関係者は語っている。

Habitu8は、Sony Pictures Entertainment(ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント)、Walt Disney(ウォルト・ディズニー)、Activision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)でセキュリティトレーニングの取り組みを主導した経験を持つJason Hoenich(ジェイソン・ホーニッヒ)氏らが、2017年に共同で設立した企業だ。これまでに3回の資金調達を完了しているこのスタートアップは「ハリウッドスタイル」で制作された実写ドラマ形式の映像を使ってサイバーセキュリティ意識を高めるアプローチを取っている。この方法はセキュリティにおける人間的要素を強化するのに効果的であることが実証されていると、同社では主張している。

今回の買収により、Habitu8の学習プラットフォームと、Arctic Wolfが提供する「Managed Security Awareness(マネージド・セキュリティ・アウェアネス)」プログラム(同社によると、2021年5月のリリース以来「数百」の顧客に提供されているという)を組み合わせることで、業界初となるコンシェルジュ・サービスとしてのセキュリティアウェアネス / トレーニングのプログラムが誕生する。

「サイバーリスクをなくすためには、トレーニングとアウェアネスのプログラムが重要であることを、人々は知っています」と、Arctic Wolfの社長兼CEOであるNick Schneider(ニック・シュナイダー)氏は語っている。「しかし残念ながら、ほとんどのセキュリティ・プログラムで提供されているコンテンツは、低品質で退屈なものが多く、結局のところ、Netflix(ネットフリックス)のようなオンデマンドで高品質な体験を求める現代のユーザーのニーズに、効果的に応えることはできません」。

「Arctic WolfのプラットフォームにHabitu8が加わることで、現代的で高品質なセキュリティアウェアネス / トレーニングのプログラムをマネージドサービスとして提供し、それを当社の専門家によるコンシェルジュ指導と組み合わせることで、顧客のセキュリティ・オペレーション全体を大幅に強化することができます」。

ホーニッヒ氏はサービスデリバリー担当副社長としてArctic Wolfチームに参加し、セキュリティアウェアネスの管理と提供を主導することになる。

「データによると、人間がトレーニングのコンセプトを保持し、共感するためには、継続的で魅力的で記憶に残るコンテンツが必要だと言われています」と、ホーニッヒ氏はいう。「Arctic Wolf Managed Security AwarenessとArctic Wolfのプラットフォームに、私たちのハリウッドスタイルのコンテンツを組み合わせれば、あらゆる規模の顧客に向いた、市場で最も効果的で求められるソリューションになると、私は確信しています」。

Arctic WolfによるHabitu8の買収は、同社のロードマップに計画されている数多くの買収で、最初のものになる可能性が高い。同社は7月にTechCrunchの取材に対し、今後の12カ月間で「5~10件の買収」を行う予定であると述べていた。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)