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 可用性とは、機器故障などの障害が発生した場合でもシステムを継続稼働できるかどうかを意味する。企業が可用性を追求するに当たり重要なのは、自社でどのようなアプリケーションを使っているのかを考え、アプリケーションに適した形でシステムを運用することだ。

 まずIT担当者は可用性管理についてしっかり理解することが欠かせない。ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめた書籍群「Information Technology Infrastructure Library」(ITIL)を使って可用性のポリシーを定めることが、安定したシステム稼働への第一歩になる。

 可用性管理は、システム稼働を停止させないための一連のプロセス、ツール、計画、指標を含む。システムのダウンタイム(システムが稼働しない時間)は発生するものだと考えなければならない。100%の稼働率を目指すことは現実的ではない。ダウンタイムをゼロにするのではなく、“最小限に抑える”ことが可用性管理の鍵を握る。

 行き過ぎた可用性の追求は、高コストを招いてしまう。稼働率の目標が100%に近くなると、その達成のためのコストは急激に上昇するからだ。システムの稼働率を「96%から97%に上げる」場合と「95%から96%に上げる」場合を比べると、前者は後者の最大5倍のコストを生む可能性がある。賢い可用性管理とは、なるべく稼働率を高めるためのコストと、ダウンタイムによる損失のコストをてんびんに掛けてバランスを取ることだ。

 一言でダウンタイムといっても、システムが社内向けなのか顧客向けなのかなどによってビジネスへの影響が異なる。それを考慮して、停止するとビジネスへの影響が大きいシステムの可用性を優先的に高めるべきだ。そのために企業は自社システムについて詳細に把握し、それに合わせた可用性管理のポリシーを定めることが重要だ。


 後編は、企業が可用性管理の取り組むための体制づくりを紹介する。

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