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岸田文雄首相が8日に行った初の所信表明演説に対し、与党からは新型コロナウイルス対応や経済対策の推進に全力を尽くす意向を強調したことを高く評価する声が相次いだ。

 一方、野党は一斉に批判し、間近に迫る衆院選を前に対決姿勢を強めた。

「首相の思いが込められた演説だ。今の時代が求めている課題について手順を含めて説明された」

自民党の甘利明幹事長は演説をこう称賛した。公明党の山口那津男代表も「力強く、気迫を込めた立派な演説だった」と歓迎。首相が「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」とのアフリカのことわざを引用したことについて「これが岸田政権の姿勢だと象徴的に示した」と述べた。

ただ、演説には首相が訴える「令和版所得倍増計画」などへの言及はなく、「いろいろなところに気を使って角も芯も取れてしまった印象だ。自分の内閣なのだから、もっと言いたいことを言ってもいい」(ベテラン)との声もあった。

立憲民主党の枝野幸男代表は「美辞麗句を並べるだけで、具体的にどうするかの中身がなかった」と批判した。岸田内閣の支持率は野党が危惧したほど伸びていないが、野党の支持率も相変わらず低迷。枝野氏は11日の代表質問で具体的な政策を示し、首相との違いをアピールする構えだ。

共産党の志位和夫委員長は「新しい資本主義というキーワードが出てきたが、中身はアベノミクスの3番煎じだ」と語り、国民民主党の玉木雄一郎代表は「中身が薄く、鶏肉の入っていない親子丼という感じだ」と酷評。日本維新の会の馬場伸幸幹事長も「改革という言葉がまったく出てこない」と訴えた。