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木工で使う切断工具には切り屑、粉じんの飛散はつきもの。どんな工房でも掃除は欠かせない。しかし、今回紹介する集じん機を導入すれば、切り屑、粉じんを自動的に集めることができ、周辺をきれいに保って、作業空間をクリーンにすることができる。

 

集じん機を取り入れて快適木工作業

家庭用電気掃除機は工具から出る切り屑を吸い込んで集められれば集じん機として使うことができるので、工具との接続やホースの設置方法を工夫すれば、実用的な集じん機として利用できる。とりあえず今家庭にある電気掃除機を集じん機として使って、その便利さを体感してみるのもいいだろう。市販の電動工具には別売部品として、集じんホース接続用パーツが用意されているので、それらを使えばホースとの接続は確実に行なえる。

リョービ製トリマーのベースプレートに取りつけられた、集じんホース用アタッチメントとホース

 

リョービ製トリマーのベースプレートに取りつけられた、集じんホース用アタッチメントとホース

 

小型の集じん機として利用できる家庭用電気掃除機だが、本格的に連続利用するには、集じんの量とパワーが少々不足気味だ。家庭用電気掃除機のパック容量は大きくても12〜15L程度で、構造上吸引するモーターが集じんパックの後ろにあるため、パックが一杯になってくると、それにふさがれて吸い込み能力も落ちてくる。

家庭用電気掃除機でも工具に取りつけられれば集じん機として利用することができる

 

家庭用電気掃除機が採用する集じん方法の例。粉じんはホースからパックに入る。モーターはパックの後部にあり吸い込む

 

この吸い込み能力を維持しながら集じん容量も確保するために、工具メーカー製の集じん機は本体を円筒形にして、吸引する空気の流れが内部で旋回するようにしたタイプが多い。モーターを本体上部に設定し、集じん機内部で空気が上に吸い込まれ、切り屑は下に落ちるようにして、切り屑の堆積で吸引能力が下がらないように工夫している。

プロやベテラン木工家が使う木工用集じん機に広く採用されているのがサイクロン式集じんだ。サイクロン式は一部家庭用電気掃除機にも採用されて、能力の高さが話題になったシステムで、サイクロン容器の中で切り屑を旋回させ、空気の流れと切り屑を分離する仕組みになっている。容器の中で分離した空気は上部に流れ、フィルターを介して排出されたり、外付けの掃除機に吸い込まれ、一方切り屑は下方の集じんバッグやバケツに落下して集められる。このため集じん容量を多く取りながら、集じん能力が低下することもない。

吸い込んだ切り屑による影響を受けにくいように上部(フタ部分)にモーターを設置した工具メーカー製集じん機の例

 

吸い込まれた切り屑が内壁に沿って旋回するよう工夫された、工具メーカー製集じん機の集じんホース接続部

 

サイクロン集じんのバリエーション

手作りサイクロン集じん機

手作りサイクロン集じん機を使った作業例。工具から出て集じんホースを通った切り屑はサイクロン集じん機で分離され下のダストバケツに落ちる。吸引には家庭用電気掃除機を使用

 

ダストバケツに集じんされた切り屑

 

吸引に使った家庭用電気掃除機には細かな粉じんだけが少量集じんされる。このため長い時間使用しても、吸引パワーの低下がない

 

Oneidaダストデピュティー

Oneidaダストデピュティー(サイクロン集じん機)を使った集じんのシステム。円錐形のサイクロン集じん機横から出る集じんホースを工具に接続し、本体上に出るホースを掃除機(写真はコンドルバキュームクリーナー)に接続して吸引する仕組み。サイクロンとなることで集じん能力がアップし、切り屑が下のバケツに分離されて溜まるので、メンテナンスも楽になる

 

マイコレクターMY-75X

サイクロンドラム機能を搭載したムラコシのマイコレクターMY-75X。68ℓのポリ袋に集じんする、100V電源で使用できる工房向きサイクロン式集じん機。運転中の高さは約2m

 

オプションのアルミ丸型集じんフード

 

キャスターつきなので、作業場所の近くで集じんすることができる

 

天板全面に集じん穴のあいたフードつき作業台に接続することも可能

 

ダストコレクター

tritonのダストコレクターも集じんした切り屑と空気をコレクター内で分離する方式。家庭用電気掃除機を使うことができる

 

集じんホースからダストコレクター内に入った切り屑は下に落ち、空気は上に吸引される

*掲載データは2016年8月時のものです。