最初のWindows 11はDevチャネルへの配信だけで、ISOファイルの配信はありませんでした。
それでもクリーンインストールしたWindows 11を使ってみたい場合は、ここで説明する方法で正規のWindows 11 Insider Previewにすることができます。
Windows 11のISOファイル
2021年6月28日、Devチャネルにアップデートとして最初のWindows 11が配信されました。残念ながらこのビルドでISOファイルは提供されませんでした。
Windows 11の配信状況はこちらのサイトで確認することができます。
- Flight Hub(Microsoft)
今回配信されたWindows 11はアップデートという形式のため、アップデート後のWindows 11は、Windows 10とWindows 11が混ざった状態となってしまいます。
この混ざったWindows 11は、本来はWindows 11ではオプション扱いとなるライブラリーなどがインストールされた状態となり、本来のWindows 11を評価するには好ましい環境とは言えません。
一方、Windows 11には発表前にリークしたISOファイルも存在します。最初の流出は新しいWindowsの画像だけでしたが、最終的にISOファイルもリークしたことにより、誰でもWindows 11をインストールして使うことができるようになってしまいました。
このISOファイルはBuild 21996.1で、正規に配信されたBuild 22000.51より古いものです。一部のユーザーインターフェースがWindows 10のままであることから、Insider Previewとして公開する前のカナリーチャネルのようです。
画像が掲載されたサイトやISOファイルの配布サイトが中国やロシアであったこと、Windows 11で動作するAndroidアプリとして、前政権で禁止されたTikTokであったこと、これらから何となくMicrosoftが意図的に流出させたような気もします。
しかし、このリークしたISOファイルをインストールするという行為が、Microsoftのライセンス規定に抵触すると騒いでいる人たちもいます。
これらの問題を解決するには正規のISOファイルでクリーンインストールすることが最善ですが、現時点ではWindows 11のISOファイルは提供されていません。そのためここでは、別の方法でクリーンインストールした状態と同じ状態にする手順について説明します。
また、配信されているファイルを合成して、ISOファイルにするスクリプトについても説明します。
なお、仮想PC以外では、UEFI、Secure Boot、TPM 2.0の制限がありますので注意してください。
1.「PCのリセット」による方法
「PCのリセット」はWindowsの機能として提供されている方法なので、ライセンスの問題はありません。その代わりに作業にたいへん時間がかかります。
1.1 Windows 10のクリーンインストール
こちらのサイトのメディア作成ツールでUSBメディアかISOファイルを作成して、Windows 10をクリーンインストールします。
- Windows 10のダウンロード(Microsoft)
手持ちのインストールメディアを使用してもよいのですが、回復パーティションが無駄に作成されないように、最新バージョンをインストールした方がよいでしょう。
インストールする場合の注意点として、プライバシー設定はデフォルトのまま変更しないでください。変更する項目によってはInsider Programに参加できない場合があります。
アカウントはできればローカルアカウントとしてください。そうすることで、同じMicrosoftアカウントでサインインしているWindowsパソコンに、影響が出ないようにすることができます。
1.2 Windows Insider Programへの参加
「設定」アプリを開いて「更新とセキュリティ」の「Windows Insider Program」を選択して、「開始する」をクリックします。
「+」をクリックします。
紐付けるMicrosoftアカウントの種類を選択、Microsoftアカウントでサインインしている場合はそのアカウントを選択して「続行」をクリックします。
「Microsoftアカウント」を入力して「続行」をクリックします。
「パスワード」を入力して「サインイン」をクリックします。
ここではパスワードでの認証としていますが、「サインインするための他の方法」をクリックしてMicrosoft Authenticationアプリなど、いつもの方法でサインインしても構いません。
「このデバイスではそこでもこのアカウントを使用する」という画面では「Microsoftアプリのみ」をクリックします。そうすることでWindows Insider Programに参加しても、ローカルアカウントを使い続けることができます。
Windows 11が配信されている「Devチャネル」を選択して「確認」をクリックします。
「すべての人に、より良いWindowsを」という画面で「Windows Insider Program規約」に同意する場合は「確認」をクリックします。
他のアプリが起動していないことを確認してから、「今すぐ再起動」をクリックして再起動します。
再起動したら「設定」アプリを開いて「更新とセキュリティ」の「Windows Insider Program」を選択して「Devチャネル」として登録されていることを確認します。
1.3 Windows 11へアップグレード
「設定」アプリを開いて「更新とセキュリティ」の「Windows Update」を選択して「更新プログラムのチェック」をクリックします。
「Windows 11 Insider Preview」が配信されてきていることを確認します。配信されていない場合は暫く経ってから再度「更新プログラムのチェック」をクリックします。
現状のバージョンの更新プログラムも配信されますが、
何もしなくてもWindows 11 Insider Previewがインストールされる段階になると、Windows 10の更新プログラムはリストから消えます。
他のアプリが起動していないことを確認して、「今すぐ再起動」をクリックして再起動します。Windows 11へのアップグレードが完了するのを待ちます。
1.4 Windows 11のリセット
Windows 11では「設定」アプリ内の多くの項目の場所が変更されています。
Windows 11にサインインしたら「設定」アプリを開いて左側で「システム」をクリックします。右側の項目をスクロールさせて「回復」をクリックします。
「このPCをリセット」という部分の「PCをリセットする」をクリックします。
クリーンインストールと同じ状態にするのが目的ですので、「すべて削除する」をクリックします。
「Windowsを再インストールする方法を選択します」という画面で「ローカル再インストール」をクリックします。
「クラウドからダウンロード」を選択すると、累積アップデートなどが適用されていない少し古い状態でインストールすることになります。そのため通常は「ローカル再インストール」を選択します。
「追加の設定」という画面で「次へ」をクリックします。
個人情報を完全に消す必要はありませんので、ドライブのクリーニングは必要ありません。
「最新の更新」という画面で「次へ」をクリックします。
他のアプリが起動していないことを確認して、「このPCをリセットする準備ができました」という画面で「リセット」をクリックします。
リセット作業が始まりますので完了するのを待ちます。かかる時間はパソコンの性能にもよりますが、最近のパソコンでも1時間程度はかかるでしょう。
パソコンをそのままにして離れても構いませんが、リセットが完了してからあまり時間が経つとパソコンがスリープ状態になる場合があります。マウスを動かしたり[Shift]キーを押してもスリープ状態から復帰しない場合は、電源ボタンを長押しして一度強制シャットダウンさせてから、再度電源を入れてください。
1.5 Windows 11の初期設定
Windows 11のリセットが完了するとこの画面になります。以降はWindows 10の場合と同様に設定していきます。
地域を設定します。
キーボードレイアウトと入力方式を設定します。
ここではオフラインでの設定とします。(この時点で既にWindows Defenderは動作していますのでそれほど危険はありませんが、定義ファイルが古いためゼロデイ攻撃や、不具合のあるドライバーへの自動更新など問題が起きないともかぎりません)
「インターネットに接続していません」をクリックします。
「制限された設定で続行」をクリックすると、ローカルアカウントを使用することができます。
ライセンス契約に同意する場合は「同意」をクリックします。
ライセンス契約は2021年6月のものに更新されています。同意しない場合は、Windows 10のようにチェックボックスはありませんので、パソコンの電源を切るしかありません。
ローカルアカウントを設定していきます。
セキュリティの質問はこれらの中から選択できます。
プライバシー設定を行い、「次へ」をクリックすると最終設定が始まります。
この画面が表示されれば、クリーンインストールした場合と同じ状態にする作業は完了です。
2.合成ISOファイルによる方法
Windows Insider Programで配信される更新プログラムはMicrosoftのサーバーから配信されています。その更新プログラムを直接Microsoftからダウンロードしてパッケージングツールを使って合成してISOファイルを作ってしまおうというサイトがあります。
サイトで配布されているのは合成ISOファイルを作成するためのスクリプトパッケージで、スクリプトを実行するとMicrosoftのサーバーから必要なファイルがダウンロードされる仕組みです。
ただし、更新プログラムはMicrosoftからダウンロードしているので、更新プログラムの信頼性自体は問題ありません。しかし、本来Devチャネルに登録したパソコンだけが入手できるパッケージを、誰でも作成できてしまうためライセンス契約に関しては限りなくブラックに近いグレーでしょう。
作成されたISOファイルでインストールした場合は、Windows 11のライセンス契約画面は表示されないそうです。
こちらのサイトにアクセスします。
画面をスクロールさせるとリストがありますので、Windows 11を探します。Devチャネルで配布している最新版のISOファイルを作成する場合は、「Latest Dev Channel build」の右の「x64」をクリックします。
リストされたビルドをクリックします。
Languageで「Japanese」を選択して「Next」をクリックします。
ISOファイルに含めるEditionにチェックを入れて「Next」をクリックします。
このページでは既定のまま「Create download package」をクリックすると、パッケージが作成されてダウンロードが始まります。
ダウンロードされたパッケージを、ISOファイルを作成するフォルダーに展開します。
展開するフォルダーはISOファイルを作成するのに十分な空き容量が必要です。
展開したフォルダーにある「uup_download_windows.cmd」をダブルクリックして実行します。
コマンドプロンプトウィンドウが開いてスクリプトが実行されます。必要なパッケージのダウンロードに失敗した場合は、スクリプトがエラーで停止します。ダウンロードできないのはMicrosoftのサーバーの問題であることもありますので、時間帯をずらして実行してみてください。
この画面まで進んだら「0」キーを押して終了させます。
フォルダーにはISOファイルができているはずです。
画面の色について
Windows 11では、色の設定で「ライト」モードの場合にはスタートメニューやタスクバーにアクセントカラーを設定することができません。そのため、画面が明るすぎて見辛いかもしてません。
しかし「ダーク」モードに設定するとすべてが濃いグレーとなり、味気ないものがあります。
これを解決するには以下の様に設定します。
「設定」アプリを開き、「個人用設定」の「色」をクリックして、
- 色を選択する:カスタム
- 既定のWindowsモードを選択してください:ダーク
- 既定のアプリモードを選択してください:ライト
- 透明効果:オン
- アクセントカラー:手動
- 色:青(任意の色)
- Show accent color on Start and taskbar:オン
- タイトルバーとウィンドウ枠線にアクセントカラーを付ける:オン
と設定すると、このような配色になります。画面が白すぎて変えたい場合は試してみてください。
まとめ
Windows 11では「設定」アプリが大きく変わっています。また、多くのUWPアプリがオプション扱いとなりプリインストールされていません。
クリーンインストールした環境でないと分からないことはたくさんありますので、ISOファイルが配信されるまでは、ここで説明した方法を試してみてください。
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