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新型コロナウイルス対策と新しい資本主義担当の山際大志郎経済再生担当相(53)が17日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜日午前7時30分~8時55分)に出演した。大臣就任後、テレビ番組に生出演するのは初めて。
山際大臣はコロナ対策をめぐり、政府が緊急事態宣言解除後1カ月をめどに実施している飲食店の営業時間短縮要請などについて、新規感染者数の減少トレンドが続くことを前提に、「早ければ11月には何の制限もなく、さまざまな生活が送れるようになる」との見通しを明らかにした。
有効なワクチン接種証明を持っている海外からの入国者に対し、検査での陰性結果を条件に自宅待機を10日間に短縮している措置に関し、山際大臣は「緩和する方向で準備している。早急にしたい」と述べ、さらに緩和する考えを示した。
飲食店や旅行会社などが、ワクチン接種証明や陰性証明を提示しない客の入店やツアー参加を拒否することを認めるかどうかについて、山際大臣は「民間でやることに極力制限をかけないことは基本だ。自社と他社とをどう差別化するかは民間の中での工夫だ。われわれとして止める手だてはない」と述べ、容認する考えを打ち出した。菅前政権の閣僚らは、差別につながる可能性を指摘して慎重姿勢を示していた。
新型コロナ病床として申告、補助金を受け取りながら、実際には患者を受け入れていない「幽霊病床」について、山際大臣は「個別の病院名まで出した方がいいということであれば、やるべきだ」と前向きな姿勢を示した。一方で、補助金の返還を求めることは現時点で難しいとし、今後補助金システムを見直す考えを明らかにした。
半導体大手の台湾の「TSMC」の熊本での工場新設に関連し、山際大臣は「次はおそらくアメリカと組むことになる。次世代の最先端の半導体を研究開発し、日本で製造できるような状況まで持っていかないと、経済安全保障上サプライチェーンが途切れるリスクが大きくなってくる」と述べた。
そのうえで、成長戦略の一環として、人工知能(AI)や量子技術、バイオ、ロボットなどの最先端技術を育成するため、1,000億円規模の基金を創設する考えも明らかにした。「科学技術を基盤、核にして産業構造を変えていかなければ、日本経済が成長路線に乗ることはない。民と官の両方が一生懸命頑張ろうということだ。メインプレーヤーの民の皆さんがじゅうぶんに研究開発をしてビジネスにつなげられるような環境整備を国としてきちんとサポートする」と強調した。
以下、番組での主なやりとり。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
現在、地域によっては、緊急事態宣言が明けても小規模店含めて(制限の)全面緩和に至っていない状況だ。全面的緩和にはどういう条件が整う必要があるのか。
山際大志郎経済再生相:
緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も解除された。さらに新規感染者数が増えなければ、(制限は)全て解除される方向に行く。早ければ11月になんの制限もなく、さまざまな生活が送れるようになる。今の状況、トレンドが続けば。
橋下徹氏(元大阪市長、弁護士、番組レギュラーコメンテーター):
視聴者アンケートでもワクチン接種証明書の提示を求める店を求める声がすごく大きい。やはり安全性、安心感ということだ。政府の立場としては、ワクチンの強制しない、あくまでもワクチンは任意だと言わざるを得ないだろう。では、店や旅行代理店などの民間事業者がワクチン接種証明書を持っている人しか参加させないとして、客に接種証明書の提示を義務づけることを政府は認めるか。
山際経済再生相:
民間でやることに極力制限をかけないのは基本だ。ビジネスで自社と他社とをどう差別化するかは民間の中での工夫だ。ワクチンを打った人以外はお断りだと仮に民間がやった時に、われわれとして止める手だてもなければ、それを勧める手だてもない。
橋下氏:
菅前政権の幹部に同じ質問をした時には「差別につながり得る」と。ワクチンを打っている人、打ってない人で差別につながり得るからと消極的な考え方だった。山際さんは「積極的に勧めはしないが、止めもしない」と。店や旅行代理店が自分たちの営業を守るためにワクチン接種証明書提示を条件化すること、民間がやることはもう止められないということでいいか。
山際経済再生相:
基本的には、それを止める権限が法律としてあるかと言ったらない。
橋下氏:
行政指導を政府がやると民間が萎縮する。指導まではやらないということでいいか。
山際経済再生相:
今の段階では考えていない。だからこそ、ワクチン・検査パッケージということを言っている。ワクチン接種と直前の検査を同等に扱うということだ。それを民間でもうまく利活用していただく。
橋下氏:
行政指導はないということでいいか。
山際経済再生相:
今のところは考えていない。
松山キャスター:
日本も海外からの入国者、これまで停留14日間としていたのを、ワクチン接種証明があれば10日間に縮め緩和した。ビジネスマンの海外渡航もある。経済を開いていくためにさらに緩和するか。
山際経済再生相:
もちろん緩和する方向で今準備をしている。
松山キャスター:
10日間よりもさらに停留期間を短くするということか。
山際経済再生相:
そうでなければ緩和の方向にはならない。そうなるように早急にしたい。しかし、さまざまな調整が必要で、いつまでにとはまだ言える状況ではないが、その事はしっかり考えている。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
山際大臣は「新しい資本主義実現会議」の仕切り役。経済対策についても伺う。日本の半導体不足が問題になる中、台湾の半導体製造大手TSMCが来年、熊本に新工場を建設し、2024年の生産開始を目指す。政府は数千億円規模の補助金で支援する方針を出している。
松山キャスター:
先端半導体が世界的に不足する中、最先端のTSMCの工場が日本にできることがかなり注目されている。こうした先端成長分野を海外から取り込んでいくことを成長戦略として、今後、考えていくということになるのか。
山際経済再生相:
はい、半導体に関しては相当長期な戦略を練っている。今、台湾のTSMCのパーツがどうしても必要だということで、今回このような形になった。日本は半導体製造装置や半導体製造インフラはいまも世界一だ。ただし、ブランニューではなく、少し古いものになってしまっている。それにさらに磨きをかけることにTSMCというピースが必要だということ。当然そこで終わりではない。次におそらくアメリカと組むことになる。次世代の最先端半導体を研究開発して、わが国できちんと製造できるような状況まで持って行かないと、(経済)安全保障上の問題でサプライチェーンがどこかで途切れるリスクが大きくなってくる。そういう非常に大きな絵図、戦略の中の1つ、第1歩と理解してもらえればいい。
松山キャスター:
政府が技術育成基金として1,000億円規模で人工知能(AI)や量子技術、バイオ、ロボットなどの先端分野で基金創設を検討しているのは事実か。
山際経済再生相:
事実だ。これから科学技術を基盤、核にして産業構造をどんどん変えていかなければ、日本経済が成長路線に乗っていくことはない。これは民と官と両方が一生懸命頑張ろうということだ。メインプレーヤーは民だ。その皆さんがじゅうぶんに研究開発をしてビジネスにつなげられる環境整備を国としてきちんとサポートする。そこに予算を割く。
梅津キャスター:
政府がまとめたコロナ対策について。第6波に備えて、感染力2倍でも対応できる医療提供体制の整備を図るという。注目は「幽霊病床」の実態把握と解消。これにより、感染拡大時の確保病床稼働率8割以上に引き上げるというもの。幽霊病床をめぐっては、国立病院のコロナ患者1人あたり平均944万円の補助金に対して、1人あたり補助金が6,000万円近くにのぼる病院があり、問題視されている。ただ、国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「ベッドが空いていても、コロナに対応できる医療スタッフが足りていないので、やむを得ず患者を受け入れられないケースもある」と指摘している。
松山キャスター:
コロナ患者受け入れ可能と申告していながら、実際には使われていないという「幽霊病床」だが、岸田新政権は「見える化」を図っていく方針。実際の病床使用率も含めて、医療機関名を公表することはできるのか。
山際経済再生相:
これについては現在、厚生労働大臣の下で作業をやっている。総理から全体像を示せとの指示が下りたので、今まで何が起きていて、何がボトルネックになっているかというのをきちんと見ていかなければならない。その中の1つに、この俗に言う「幽霊病床」問題がある。厚労省のほうで適切にやる。
橋下氏:
これは、全体で見える化ということなのか、個別病院名まで明らかにする見える化なのか。
山際経済再生相:
目的が何になるかによると思うが、これから先の準備をするためにどういうシステムを組むかという時に、個別の病院名まで出した方がいいということであれば、私はそれをやるべきだと思う。