昨年9月のトロント映画祭で史上最長のスタンディングオベーションを得た、という話題作。
『ムーンライト』(16)、『レディ・バード』(17)、『ヘレディタリー/継承』(18)のスタジオA24による青春映画『WAVES/ウェイブス』。
米アカデミー賞はじめ数々の映画賞を獲得した映画を手掛け、ハリウッドに新風を吹きこむ気鋭の製作会社の新作をご紹介します。
映画のあらすじと出演者、みどころをまるっと暗記して公開に備えよう!
ネタバレ注意!
映画『WAVES/ウェイブス』の基本情報
引用:https://twitter.com/WAVES_jp
監督:トレイ・エドワード・シュルツ
脚本:トレイ・エドワード・シュルツ
撮影:ドリュー・ダニエルズ
美術:エリオット・ホステッター
衣装:レイチェル・ダイナー=ベスト
音楽:トレント・レズナー、アッティカス・ロス
製作:スタジオA24
映画『WAVES/ウェイブス』の予告動画
映画『WAVES/ウェイブス』の予告動画をご紹介します。
ハリウッド批評家協会賞はじめ各映画賞で絶賛された青春映画。
SNSでの心無い中傷に苦しむエミリー。
家族を襲った兄の栄光と挫折。
自身に訪れる恋の予感に徐々に心を開いていく…。
31曲もの名曲とともに綴られるプレイリスト・ムービー。
映画『WAVES/ウェイブス』に出演する登場人物キャストは?
引用:https://twitter.com/WAVES_jp
- タイラー・ウィリアムズ役…ケルヴィン・ハリソン・ジュニア
- エミリー・ウィリアムズ役…テイラー・ラッセル
- ロナルド・ウィリアムズ役…スターリング・K・ブラウン
- キャサリン・ウィリアムズ役…レネー・エリス・ゴールズベリー
- ルーク役…ルーカス・ヘッジズ
- アレクシス役…アレクサ・デミー
映画『WAVES/ウェイブス』のあらすじは?
引用:https://twitter.com/WAVES_jp
厳格な父親と優しい母親を持つ高校生タイラーは、レスリング部の成績優秀なエリート選手。
美しい恋人のアレクシスもいる。
父親ロナルドとの間には確執がありながらも、円満な家庭に育ち、何の不足もない生活をしていた。
ところが肩の負傷でMRI検査を受けたところ、医師から選手生命の危機を告げられ、穏やかな日々は一変する。
恋人の妊娠も発覚し、徐々に人生の歯車が狂い始めたタイラーは、自分を見失っていく。
そしてある夜、家族の運命を変える決定的な悲劇が起こる。
一方で一年後、妹エミリーの前に、家族の事情を知りつつ好意を寄せるルークが現れる。
ルークの優しさに触れ、やがて二人は恋に落ちるがルークもある事情を抱えていた。
そんな二人はお互いの将来のため、ある行動に出るが・・・。
映画『WAVES/ウェイブス』をネタバレ!
引用:https://twitter.com/WAVES_jp
では、さっそく映画『WAVES/ウェイブス』についてのネタバレ内容をご紹介します。
まだ見てないし内容を知りたくない!!という方は完全ネタバレになりますので、この先は絶対に見ないでくださいね!
『waves/ウェイブス』のあらすじ。見どころは?
黒人のウィリアムズ家は、良い暮らしを得るために真面目に働き、子ども達もそれに答えるように優秀に育った。
しかし、そんなウィリアムズ家も秘密と苦悩を抱えていた。
「タイラーはレスリングの選手で、成績も優秀。恋人のアレクシスに夢中だ。
しかし、アイデンティティを形成する繊細な時期に、勉強もスポーツもすべての分野で頑張るように父親からプレッシャーを与えられて、自分の弱さを誰にさらけ出せばいいのかわからない。
そして、悲劇的な展開を迎えるんだ。」
とシュルツ監督。
後半はタイラーの妹・エミリーの視点で描かれる。
映画は2部構成で描かれ、エミリーのパートでは、破錠してしまった家族の愛と再生、癒しが観る者の心をとらえる。
徐々に心を開いてゆくエミリーが、恋人を得ることによって、新しい価値を見出していくところに注目だ。
お手本は『恋する惑星』?2部構成の映画
監督&脚本のシュルツは10年近く『WAVES/ウェイブス』の企画の構想を練っていた。
2つのパートに分かれているこの物語は、ウィリアムズ家の兄妹を描いたものだ。
エリートの兄の栄光と挫折。妹の恋愛と再生。
この大胆な構成について、シュルツはこう説明する。
「ウォン・カーウァイ監督の94年の香港映画『恋する惑星』を観て、2つのパートに分けようと思いついたんだ。
前半ではタイラー、後半ではエミリーにフォーカスしてそれぞれのカップルを描き、二人の両親が2つの物語を結びつけている。」
斬新なカメラワークとアスペクト比
カメラマンのドリュー・ダニエルスは、シュルツと何度もタッグを組んでいる。
彼は、現代若者の落ち着かない心理状態に沿うように、自由なカメラワークを駆使してキャラクターの心情を描きだした。
「キャラクターの頭の中で何が起こっているかを忠実に再現することが大事だ。
物語の冒頭、タイラーは人生は前途洋々だと感じている。
彼は自由で恋をしていて開放的な気分なんだ。
だから画面のアスペクト比は1:85という広さになっている。
でも、状況が悪くなるとアスペクト比は狭くなる。
タイラーの心理状態の変化に伴って、カメラワークやアスペクト比を変えることで人生の浮き沈みを表現している。」
とシュルツ監督。
その言葉どおり、エミリーのパートでは画面のアスペクト比が1:33で始まり、彼女がルークと出会って恋愛関係になり、明るい未来を予想させる展開になるとアスペクト比も広がっていく。
ストーリーを彩る豪華な音楽に注目!
シュルツ監督は、当初から『WAVES/ウェイブス』を音楽が重要な意味を持つ物語だと考えていた。
ケンドリック・ラマー、フランク・オーシャン、レディオヘッド、アニマル・コレクティヴなど、豪華なミュージシャンの曲がサントラに使われている。
とくにフランク・オーシャンは劇中5曲も使用されている、シュルツのお気に入りのアーティストだ。
フランク・オーシャンからの影響は、反抗心を抱いたタイラーが、オーシャンと同じように髪を白く染める行動からも見て取れる。
そして、この作品でキャスト達が驚いたのは、シュルツから受け取った脚本がかなり型破りなものだったことだ。
台本にはサントラに使われた曲のリンクが記されていて、場面場面のキャラクターの心情を端的に表現させていた。
さらに、オリジナル・スコアはアカデミー賞受賞のコンビ、トレント・レズナーとアッティカス・ロスが担当。
レズナーとロスは、映画に登場する効果音や役者の音声をサンプリングし、それをもとに独創的なサウンドを制作している。
あえてメロディーを強調しないことで、登場人物の感情の動きを巧みに浮かび上がらせた。
挫折を乗り越えた先に…
『WAVES/ウェイブス』は無数の愛の形を通じて、愛がどのように人々を引き離し、そして引き寄せるか、さざ波のように描き出す。
そして、破滅寸前まで追いやられた家族が、愛や絆を通して復活する様を描き出していく。
「愛が持つ癒しと破壊的な側面。
愛は人生を前向きにしてくれるけど、愛も人生もそんなに単純じゃない。
この映画は、恋人や家族に対する愛の起伏や、何かに情熱を持つことの意味、
そして、すべてが崩壊した時に何が起こるかを描いている。」
シュルツは映像と音楽の見事なコラボレーションを通じて、愛と喪失がどれほど深く人生に影響を与えるかを語る。
そして、心の傷を負った兄と妹は、それぞれの道を歩む。
「彼らは痛みを乗り越えるだろう。
それがこの物語の核心であり、伝えたかったことだ。
大人になるに従って、人生は最悪の状態で終わるわけではないことに気づく。
人生は続く。
そして、自分や自分が愛する人はともに成長して、お互いを癒すことができるんだ。」
映画『WAVES/ウェイブス』を見た視聴者の評価や感想は?
引用:https://twitter.com/WAVES_jp
今回上映された映画『WAVES/ウェイブス』を見た視聴者からの評価や感想をまとめてみました。
誰もが生きていく中で辛い時期もあるでしょう。
でもその先に小さな光や希望があるかもしれないと思うのです。
本作を観て、そんなことをものすごく感じ、僕自身も明るくなれました。
アニマル・コレクティブほか選曲のセンスが抜群で、360°カメラなどを使用した没入感がハマる映像スタイル。
まさに「今」の映画ですが、内容は普遍的な十代の焦燥感を描く大好物系でした。
兄妹の青春と葛藤を 至極のカラーとサウンドで織りなす 『WAVES/#ウェイブス』 -この映画を見たときになぜか、『アメリカン・グラフィティ』を思い出してしまった。
→音楽が主体となってストーリーが展開して行く共通点!
登場人物の溢れ出す感情を音楽で紡いだ青春映画。
主人公の挫折をきっかけに家族の崩壊と再生が描かれる。
冒頭から目を惹くスタイリッシュな映像美、狭まっていく世界、それぞれが抱える痛み。
ラストの切なさと爽快感に胸が締め付けられる。
傷は癒えなくても、きっと希望の波は押し寄せる
めちゃくちゃ良かった
カサヴェテスやウォン・カーウァイの作品を観た時のような映画体感の更新
視覚と聴覚にビリビリくる
現代アメリカの青春の蹉跌劇場で体感してこそ
ルーカス・ヘッジズが
とってもいいわー
映画『WAVES/ウェイブス』の個人的な感想と評価をまとめてみた!
引用:https://twitter.com/WAVES_jp
映画『WAVES/ウェイブス』の個人的な感想と評価を主観的目線でご紹介します。
映画『WAVES/ウェイブス』。その特徴は、まるでミュージック・ビデオのように音楽にこだわったところ。
ミュージカルを超えたプレイリスト・ムービーとも言われている。
また、撮影方法もカメラアングルやアスペクト比等斬新な試みがなされていて新鮮だ。
ストーリーは、よくある青春の光と影を描いているが、監督・脚本のトレイ・エドワード・シュルツの手腕によって単なる若者の苦悩と再生というテーマから普遍的な愛の物語へと昇華している。
人によっては撮影方法や音楽の使い方が多少うるさく感じるかもしれない。
だがたまの休日、おしゃれな映画を観て心の洗濯をしたいのならば、おススメの一本。
心が満たされること請け合いだ。
個人的にはサントラが非常に気になった。
音楽についてはまた別途記述するが、登場人物たちの心情とリンクする歌詞に注目だ。
ヴァニティフェア誌等マスコミで特に注目された本作。
W・カーウァイ監督『恋する惑星』に着想を得た、という2部構想も見どころの一つだ。
青春映画に新たなジャンルを樹立した、と言っても過言ではない出来栄えに仕上がっている。
映画『WAVES/ウェイブス』の個人的な評価は?
オシャレで斬新。
音楽と映像の見事なコラボレーション。
素晴らしいが、ストーリーがやや古臭い印象。
入っていきやすいという利点はあるが、もっと複雑な展開も観てみたかった気もする。
全般的には意欲的なアプローチが成功している印象だが、人によっては受け付けない可能性もあり。
実験的に観てみるなら良いかもしれない。
いつの時代も青春映画は時代を映す鏡でもある。
本作を通じて現代のアメリカが抱える問題を考えるのも良いかもしれない。
またエリート層として黒人の家庭を描いており、これまで最下層として黒人社会をとらえてきたハリウッドが、より現実的な描写をしているのもポイントだ。
現代的な視点で本作は作られているようである。
今回のまとめ!
引用:https://twitter.com/WAVES_jp
映画『WAVES/ウェイブス』は、この春4/10に公開。
MVを観ているかのような映像体験は、私たちを必ずや幸福感で満たしてくれるだろう。
ストーリー、音楽、映像の三つ巴でみどころが満載のこの映画、『Krisha』(14)、『イット・カムズ・アット・ナイト』(17)に続く監督の代表作とも言える作品に仕上がっている。
ぜひ劇場でご覧あれ。
それでは、記事を最後まで読んで下さり、ありがとうございました。