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Find X3 Proカメラ
カメラ部分の曲面が印象的なクアッドカメラスマホ「Find X3 Pro」。青いのは青空を反射してるから。めちゃつやつやしたボディーなのだ

 OPPOのフラグシップシリーズ「Find X」シリーズの最新モデルが「Find X3 Pro」である。これがまた実に面白いのだ。

 ちなみに正面からの写真じゃないのは、ボディーがあまりに光を反射するキラキラテカテカっぷりだから。正面からちゃんと撮るにはそれなりの機材や設備が必要なので早々に諦めて斜めから、青空を反射させてみた。

 で、このデザイン、多くのスマホがカメラ部分を無粋に……わざとカメラユニットと本体が分離してるかのように出っ張らせているのに対し、曲面でシームレスに出っ張らせているのはちょっと新しい。

デュアルフラグシップカメラは最高である

 ではまず、正面からの写真をどうぞ。

 この純正ケースはなかなかよい。カメラ回りが滑らかに飛び出てるとこもうまく表現してる。

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正面から。純正ケースを付けると、また質感が使って持ちやすいし指紋も付かないし、見た目も悪くないしでいいのである

 一見、普通の「超広角・広角・望遠・マクロ」の四眼カメラかと思いきや、さすがフラグシップというユニークな構成となっている。その内訳はこんな感じ。注目は、超広角と広角カメラの径が同じなこと。さらに3つ目の大きなカメラは「顕微鏡」カメラであること。そして4つ目の小さなカメラが2倍の望遠カメラだ。

Find X3 Proカメラ
クアッドカメラの内訳。顕微鏡カメラが気になる!

 一般的な複眼のスマホはメインカメラとなる広角カメラにサイズが大きくて高画素な「一番いい」イメージセンサーを用いて画質を上げ、使用頻度が低い他の2つと差別化している。

 でも、Find X3 Proは「デュアルフラグシップカメラ」と称して超広角カメラと広角カメラの両方に「1/1.56」型の5000万画素センサー(ソニーのIMX766)を搭載したのである。超広角と広角で同じ画質が担保されたのだ。

 一般的に超広角カメラは広角カメラよりセンサーサイズが小さくレンズ性能も抑えられているために、夜景や室内など条件がよくない環境では画質に差が出たり、同じ場所で撮ってもちょっと発色がずれたりしがちだけど、Find X3 Proはそれがないのである。これは素晴らしい。しかも、基本画質もめちゃ高い。

Find X3 Proカメラ
カメラアプリのデザインは従来と同様。AIをオンにしておくといろいろと楽しいし、見栄えのする写真を撮ってくれる


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いつものガスタンク。階調は柔らかめで爽やかな良い画質。拡大して見るとディテールもちゃんと出ていて感心するのである

 5000万画素のセンサーから1200万画素の絵を作っているのだけど、レンズ性能もいいのか、ディテールまですごくきっちり写っているのだ。色もすごくきれいに出ているし。

 さらに超広角。

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超広角カメラの写りが広角カメラと同等ってのはいい。画質も同じで色や階調にズレがない(中にはカメラを変えると写りが変わっちゃう端末もあるから)

 望遠はカメラアプリには2xと5xのボタンが用意されているけれども、望遠カメラ自身は2x。5xの方はデジタルズームとなる(でも撮ってみるとけっこう遜色なく使えそうだ)。

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2倍の望遠カメラ。他に比べるとセンサーサイズは小さいが、ディテールの描写を見ると悪くない写り


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さらに5倍のハイブリッドズーム。これがまた予想以上によい。拡大してディテールをガン見しない限り気にならない

 超広角と広角のクオリティーが変わらないっていいよね。室内で超広角で撮りたいときも画質は落ちないし。

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1959年築の区役所の中で。間もなく建て替えられるので、その前に記念撮影

 遠近を強調した写真を撮りたいときも。明暗差が激しい構図なのに(何しろ鉄橋の下だ)、橋の下もちゃんと描写されているし青空も飛んでいない。HDRが働いている。

Find X3 Proカメラ
こんなに爽やかな場所だったっけ、と思うくらいの写り。爽やか番長と呼びたいくらい

 背景を広く遠近を強く撮りたいときにもいい。JR南武線、稲城長沼駅前の広場にそびえる「装甲騎兵ボトムズ」の「スコープドッグ」立像を。

Find X3 Proカメラ
スコープドッグを背中から超広角で。空が広くて爽やか

 せっかくのスコープドッグなので(JR南武線の稲城長沼駅前に建っているのだ)、望遠で撮ったものも1枚どうぞ。

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2倍の望遠で上半身を見上げてみた。半逆光だったがその辺をうまく処理してくれて、期待通りの写り

 さてこの超広角カメラ、カメラを切り替えるとこんな風に「超広角/マクロモード」と表示される。

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カメラを0.6xの超広角にすると「超広角/マクロモード」と表示される。その意味は?

 これはどういうことかというと、マクロカメラとしても使うのである。超広角カメラの方が近くまで寄って撮れるから。普通に1xのカメラを被写体に向けて、じわじわと近づいていくと、ある程度の距離でAIシーン認識で「マクロレンズ」に切り替わるのだ。

 こんな感じ。

Find X3 ProカメラFind X3 Proカメラ
カメラをオムライスに向けたら「料理」と認識。もっとアップで撮ろうとカメラを近づけると(画像=左)、「マクロレンズ」と表示が出てカメラが「超広角カメラ」に切り替わった(画像=右)

 超広角カメラをマクロカメラとして使うスマホは他にもあるけど、その場合、広角カメラより画質が落ちるのが気になる。Find X3 Proはデュアルフラグシップカメラなのでクオリティーは高いままなのだ。素晴らしい。

Find X3 ProカメラFind X3 Proカメラ
料理モードで撮影したオムライス。いい感じにおいしそう。もうちょっと赤みがあってもよかったかも(画像=左)。ぐぐっと近づいて超広角カメラのマクロモード(画像=右)。このクオリティーなら全然OK。さすがのデュアルフラグシップカメラだ

 さらにさらに、マクロモードよりさらにデカくとれるのが顕微鏡カメラである。



意表を突いた顕微鏡モード

 大げさではなくて、ほんとに実体顕微鏡的に使えそうなのだ。30xと60xがあり、ピントがぴしっとくる撮影距離はほんとレンズ前2〜3mm(ケースを付けている場合はそれよりちょっと短め)くらい。まず「その他」メニューから「顕微鏡」を選ぶ。

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「その他」を開くと、中に「顕微鏡」がある。

 顕微鏡モードにすると、顕微鏡カメラのレンズの周りが白く光る。

 これはギミックじゃなくて、被写体を照らすライトだ。

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顕微鏡カメラの周りが白く光る。光は弱めだけどこれで十分らしい

 レンズギリギリの距離で撮るから、どうしても端末の影になる。でもこのライトで照らすから撮れるのだ。まあ葉っぱを陽射しにかざして逆光で透けたのを撮る、とかならいらないけど、そうじゃない場合はこれが役立つ。最初は右上の「i」ボタンを押すといい。すると撮り方のコツを教えてくれる。

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顕微鏡モードのガイド。まずカメラを被写体にギリギリまで近づけ、「カメラを被写体に向けたまま、電話の底部をわずかに持ち上げて角度を調整します」とある

 角度というよりはピントがピシッとくる距離をこれで探す感じ。で、30xで撮ったのがこちら。1944×1944ピクセルで記録される。

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顕微鏡カメラで30倍で撮影。ここまで拡大してくっきりと撮れるのだ。めちゃ面白い。細かい毛がいっぱい生えているのが分かる

 これは何かというと、これです。桃。左右の端がボケているのは、桃は丸いからですな。

Find X3 ProカメラFind X3 Proカメラ
全体が分かる距離で撮影。マクロレンズになっております(画像=左)。これが全体像(画像=右)。誰が見ても桃である。桃の表面の毛を30xで見たのがさっきの写真なのだ

 いやあ、「これは何でしょう?」クイズとか簡単に作れそう。さらにみんな最初に撮りそうなのも撮ってみた。

 スマホの画面。「iPhone 12 Pro MAX」のOLEDだ。

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iPhoneのOLEDを顕微鏡モードで。赤と青と緑の配列も分かる。ディスプレイによって配列が違うので、あれこれ撮り比べると面白い

 さらに「特殊効果」を使うと万華鏡的な遊び方もできる。

Find X3 ProカメラFind X3 Proカメラ
もっと遊びたい人のために「特殊効果」も用意されている(画像=左)。iPhoneのディスプレイを使って特殊効果「渦巻」。これは楽しい(画像=右)

 きれいに撮るにはコツはいるし、誰もが日常的に使うカメラになるかは微妙だが、標準搭載の機能としては非常にトンがっており、かなり面白いのだ。標準搭載なので普段「ちょっとこれを超アップで見たい」と思ったらすぐ撮れる。石の断面でも葉っぱでも肌でも肉球でも。

 次はFind X3 Proならではの注目の機能だ。



10bitカラーで10億色はどのくらいクオリティーが上がる?

 Find X3 Proのカメラには「デュアルフラグシップカメラ」「顕微鏡カメラ」に続いて、もう1つ注目すべき新機能がある。

 それは「10bitカラー」。今、われわれが普通に使っているカメラ、あるいは日常的に見ているJPEGの写真は1画素あたり1600万色のデータを持っている。1画素あたりのデータ量はRGBそれぞれが8bitで、合計して24bit。それを10進数に直すと約1670万となる。

 それに対して、RGBそれぞれ10bitに拡張し(RGB合わせて30bit)、約10億色を表現できるようにしたのが「10bitカラー」だ。ディープカラーとも呼ばれる。設定メニューから「10ビットカラー」をオンにすると、写真モードとナイトモード時に10bitカラーで画像を撮影・処理し、記録される。

Find X3 Proカメラ
10bitカラーをオンにするとファイル形式がJPEGではなくHEIFになる


Find X3 Proカメラ
画面上に「10ビットカラー」と出るので分かりやすい

 1画素あたりの表現力が上がることで、細かく微妙なグラデーションもより滑らかに表現できる。ただ、JPEGは8bitでの記録を前提としているため、10bitでの保存はできず、ファイルは10bitに対応したHEIF形式(拡張子は.heic)となる。

 HEIF形式についてはiOSが先行して採用しており、Androidでも採用する端末が増えているが、それらは各色8bitであり、10bitはFind X3 Proが初めてかも。

 気になるのは互換性。10bitカラーのHEIF形式に対応した端末で見るときはいいが、全部が対応しているわけではない。

 macOSはiOSが対応しているのでHEIFファイルのまま問題なく見られるが、Windows 10では別途アプリを用意しなければならない。Microsoftが提供するHEIF/HEVC機能拡張を使えばHEIF形式に対応するのだが、2021年7月現在、iPhoneで撮った8bitのHEIFファイルは表示できたが、Find X3 Proで撮った10bitのHEIFファイルは開けなかった。

 HEIF形式に対応しているアプリでも、10bitには未対応のものもある。ちょっと悩ましいのである。誰かに渡すときはJPEGに変換した方がいいだろう。

Find X3 Proカメラ
Windows10のフォトアプリ。後ろに開いているのはiPhoneで撮った8bitカラーのHEIFファイル。対して、Find X3 Proで撮った10bitカラーの画像は開けなかった

 で、いろいろと撮り比べてみたが、ぱっと見て違いが分かるかといわれると、シーンによるかなあ。

Find X3 Proカメラ

 その辺は買って確かめてみてください、ということでちょっと無責任で申し訳ない。見た目では分からなくても、(ちゃんと10bitカラーに対応したアプリであれば)編集時のレタッチ耐性は強いと思う。

 実際に撮影した、ごく普通の作例も紹介する。



気持ちよい写真を撮れるすばらしいカメラ機能なのだった

Find X3 Proカメラ
Find X3 Proで写真を撮っているの図。中央の四角は水準器

 最後に普通の作例をさくっと。まあ簡単に言って、カメラの画質はよいです。予想以上にいろんなシーンでほどよく爽やかで鮮やかな写真を撮れるのだ。

 例によって人物から。陽射しが強かったのでまぶしくないよう太陽を斜め後ろに背負ってもらっているのだけど、HDRがかなりしっかり働いて顔が明るく撮れているのが分かる。

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肌は半分ほどAI美化処理をかけてある。半逆光だけど顔は明るく爽やかな写り

 こちらは2xの望遠で。彼女は日陰にいるのだけど、ここでもHDRが仕事をしてくれた。

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2xの望遠で撮影。彼女は日陰、背景は日なたという状況だけど、カメラがバランスよく写してくれた

 次は5xの望遠で。

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鉄橋をロマンスカー EXE-αが走ってきたのでとっさに5倍の望遠で撮ってみた

 続いて近距離もので、うちの猫。広角カメラと超広角カメラで。

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大して明るくはない部屋でうちの猫。室内でこの写りはいい。子猫と認識されたせいかちょっと毛がくっきり


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同じ場所で超広角で。なでたらあくびしたのでその瞬間。超広角で撮っても画質が落ちないのは室内撮りにうれしい

 夜は夜景モードで。超広角カメラでこれだけ撮れるのはすばらしい。

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超広角カメラで手持ちの夜景モード。かなり暗い場所だがきれいに撮れている

 動画は4Kまで行けるが、手ブレ補正やAI機能を使うならフルHDが一番だろう。その他、インカメラとアウトカメラで同時に撮る「アウトイン同時動画撮影」も持っている。

Find X3 Proカメラ
「アウトイン同時動画撮影」機能。窓の場所は自由に動かせるしレイアウトも変えられる

 Find X3 Proは3つもの大きな特徴があったのでそれの話ばかりになってしまったが、もちろんセルフィーもできるしポートレートモードで背景ぼかしもできる。その辺はまあ長くなりすぎたし、特筆すべきことはないので割愛。

 つまるところ、超広角カメラが広角カメラと同じセンサーを搭載した「デュアルフラグシップカメラ」と、ユニークな顕微鏡カメラの2つは実に素晴らしいのだ。望遠カメラもいいし、HDRもけっこう強めにかかるのでカメラ任せで鮮やかで印象的な写真を撮れる。

 もう画質的にも機能的にもスマホカメラのトップクラスといっていいわけで、カメラでスマホを選びたい人、カメラで遊びたい人にお勧めしたい。

(モデル:長谷川実紗)