3Dプリンターを製造するカナダのAON3Dは、2021年9月2日、投資ラウンドシリーズAで1150万ドル(約12億7000万円)調達したと発表した。同時に、月ビジネスを手掛ける米Astrobotic Technologyの「Peregrine Mission One(PM1)」に向けて同社と提携することも発表し、資金調達総額は1420万ドル(約15億7000万円)となった。
Astrobotic Technologyは、AON3Dの3Dプリンター「AON M2+」を使って月着陸船「Peregrine Lander」を製造し、3Dプリンター製の月着陸船による初の月面着陸に挑戦する。
Peregrine LanderはAON M2+で製造した数百個のパーツで構成されており、軌道上や月面まで搭載物を運搬する予定だ。3Dプリンター製のパーツを用いた月着陸船が月面着陸に成功すれば世界初となる。
Astrobotic Technologyは、着陸船製造の早い段階で、コスト低減と機体の軽量化が期待できる3Dプリンターの活用を決めた。同社が求める厳しい要求水準を満たしたのがAON3Dの3Dプリンターで、耐久性を維持したままコンパクト化を追求し、最終的にPeregrine Landerの大きさは幅2.5メートル、高さ1.9メートルとなった。
また、真空の宇宙環境では大気中より圧力が低いため、プラスチックなどの有機材料等の固体表面からガス成分が放出される。このガスを「アウトガス(揮発ガス)」と呼ぶ。アウトガスが低温下で凝縮し、機器類に付着して「汚染(コンタミネーション)」を引き起こすと、例えば、月面の湿度を検知するシステムが劣化する可能性がある。月面に到着するまでにこのような汚染が起きるのを防ぐため、Peregrine LanderにはPEEKやPEKKなどの特殊なプラスチックが使用されている。
関連リンク
AON3D Secures $11.5M & Manufactures First 3D Printed Parts for the Moon
Peregrine Lunar Lander
The First 3D Printed Parts on the Moon
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