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巨大テクノロジー企業は、自社の数兆ドル(数百億円)規模のビジネスを脅かすものがあると、それが波及して自社製品に依存している中小企業を苦しめることになる、という物語を何度も繰り返してきた。

しかし、大企業が長年にわたって展開してきた温かみのある曖昧な逸話とは裏腹に、企業経営者の中には、巨大で不透明な企業に大きく依存することに苦悩する人も多く、物事がうまくいかない時にはほとんど頼ることができない場合も多い。

このような問題を解決するために、ハイテク産業の監視団体であるAccountable Tech(アカウンタブル・テック)は「Main Street Against Big Tech(巨大テック企業に対抗する市井の中小企業)」という新たな啓蒙活動を展開している。この数十万ドル(数千万円)を投じたキャンペーンでは、今週、サンノゼの日刊紙「The Mercury News(ザ・マーキュリー・ニュース)」に全面広告を掲載する他、ソーシャルプラットフォーム上にデジタル広告を流したり、テック企業の宣伝話に背反した中小企業経営者の体験談を紹介するビデオシリーズを継続的に放映するといった活動を行っている。

このプロジェクトは「Main Street Alliance(メインストリート・アライアンス)」「Small Business Rising(スモール・ビジネス・ライジング)」「Institute for Local Self-Reliance(インスティテュート・フォー・ローカル・セルフ・リライアンス)」「American Economic Liberties Project(アメリカン・エコノミック・リバティーズ・プロジェクト)」からも支援を受けている。

Accountable Techの共同設立者であるJesse Lehrich(ジェシー・レーリック)は、TechCrunchの取材に対し「このキャンペーンは、誤解を招く信頼性の低いデータ、隠されたコスト、ルールやアルゴリズムを突然変更して会社全体に大打撃を与えながら、カスタマーサービスも受けさせないといった、巨大テック企業が小規模企業の経営者に与えている数々の害悪を浮き彫りにしています」と語っている。「起業家には、それぞれの言い分があり、声を上げる理由があるのです」。

レーリック氏は、Facebook(フェイスブック)が長年にわたって行ってきた中小企業支援のPRキャンペーンを「信じられないほど皮肉で日和見的」と評しているが、Facebookの一部の社員も同じ考えを持っているようだ。巨大テクノロジー企業のプラットフォームで事業を展開する現実は、中小企業経営者にとって必ずしもバラ色ではない。中小企業経営者は、希薄な関係性しか築けない巨大企業の気まぐれに左右されることになる。

「中小企業の経営者は、完全に大企業のなすがままになるしかなく、正当な評価基準を得ることも、カスタマーサービスを受けることもできません」と、レーリック氏はいう。「これはパートナーシップではなく、搾取です」。

民衆の感情も、無料プラットフォームとはいえ、プライバシーの犠牲や、広告のキャンバスとなるユーザー作成コンテンツの延々と続く流れなど、コストがかかることを広く認める段階に移りつつあるようだ。

小規模な企業は支配的なテクノロジー企業のツールに依存しているかもしれないが、しかし理論的には、新興の競合企業が、これらと同等かそれ以上のサービスを提供することが不可能いうわけではない。「これらの巨大テック企業やそのサービスが『不可欠』なのは、それが唯一の選択肢であることを確実なものにするために、限りない反競争的な行動に携わってきたからです。これが独占や寡占の仕組みです」と、レーリック氏はTechCrunchに語った。

インターネットビジネスが存在するはるか以前の時代に作られた法律を、どのように更新するかで議会が揉めている間にも、巨大テック企業は引き続き市場支配に傾倒し、中小企業もユーザーも現状に甘んじたままに置かれ続けるだろう。

「規制による監視を避けるために、Facebook、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)のような独占企業は、何百万ドル(数億円)もの資金を投じて、自社の企業向け製品が中小企業にとっての生命線であるかのように、議員や一般市民を説得してきましたが、実際はその逆です」と、Accountable Techの共同設立者でエグゼクティブ・ディレクターを務めるNicole Gill(ニコール・ギル)氏は述べている。

「しかし今、中小企業の経営者たちは、自分たちの生きた経験を共有し、巨大テック企業と中小企業の本当の関係を明らかにすることで反撃しているのです」。

画像クレジット:Photo by Gado/Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)