米Appleは10月25日(現地時間)、macOS Big Sur の後継にあたるOS、「macOS Monterey」を正式にリリースしました。
デザインについてはmacOS Big Sur からあまり大きな変化は見られませんが、iOSとの機能の差を縮め、親和性を高めるなどAppleユーザには嬉しい機能がたくさん盛り込まれました。
目次
- macOS Montereyの新機能
- M1を搭載したMacしか利用できない新機能
- macOS Montereyのデザイン
- 一方で「お預け」の機能も
- macOS Montereyの対応機種
- macOS Montereyの入手方法
macOS Montereyの新機能
SharePlay
「SharePlay」はFaceTimeの中で映画やテレビ番組や音楽などを共有することができる機能です。この「SharePlay」を使えば離れた場所にいる家族や友人と一緒に様々なコンテンツを楽しめます。デベロッパー向けに「Group Activities API」が公開されていますので、これからもっと多くのコンテンツを「SharePlay」で距離に囚われない新しい時間の過ごし方が期待されます。
空間オーディオ
FaceTime はさらに進化します。macOS MontereyのFaceTimeは空間オーディオをサポートし、通話に参加している一人ひとりの声が、画面に表示される位置と同じ方向から聞こえてくるように感じられるようになります。
Spatialize Stereo
どうやら、Appleはこの「Spatialize Stereo」についてはあまり告知したくないようです。
「Spatialize Stereo」は「Spatial Audio」に対応していない従来の音声データでも空間オーディオをシミュレートできる機能で、iPhoneやiPadではiOS 15 (iPadOS 15)に追加された機能です。この機能により没入感のある新しい音楽や映像体験が楽しめることが期待されます。
マイクモード
FaceTimeの「声」をもっとクリアに、もしくはもっと鮮明になります。
「声を分離」ではマイクが機械学習を利用して音を認識します。これによりマイクが拾った雑音やテレビの音を検出、消すことで、話者の声がはっきり聞こえるようになります。
また、「ワイドスペクトル」に設定すれば、FaceTimeに参加しているユーザがあなたのいる場所の音をすべて聞き取れるようにします。これらの機能をうまく使いこなすことで、さらにストレスフリーなFaceTime通話が実現できます。(ただし、2018年以降発売のMacのみ)
Windows で似たような機能といえばNVIDIA RTXシリーズのグラフィックボードを搭載したシステムで利用できるNVIDIA RTX Voiceでしょうか。
マップ
オンラインマップといえば長らくGoogle Maps が一強でしたが、Appleのマップはもっと今風に、そしてインタラクティブになりました。
テキスト認識表示
地味に面倒だった画像の中のテキストの文字起こし。これからはMacを使って、あらゆる画像内のテキストを読み取って操作できます。OCR機能を持つソフトやGoogle Driveを使っていた方には魅力的な機能かもしれませんね。ただし、現時点では英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語が対象で、日本語の読み取りはできません。
集中モード
iOS 15でも追加された「集中モード」。「集中モード」と聞けば筆者はWindows 10が浮かびますが、macOS Montereyはもうちょっと賢そうです。
例えば集中したいときに、メッセージアプリに届いたメッセージに対して「取り込み中」だということを返信してくれます。
また、どれか1つのデバイスで「集中モード」をオンにすると、すべてのデバイスが自動的に設定されます。
低電力モード
MacBook を利用しているユーザにはありがたい省電力モード。これは電力を多く消費するアプリや処理を管理できる機能で、バッテリーの駆動時間を最大限に伸ばすことができます。この機能はMacBook (Early 2016以降) とMacBook Pro (Early 2016以降)で利用できます。
そのほかにも、MacにAirPlayやクイックメモ、プライバシー保護の機能なども拡充されました。
ここまででも十分に楽しいmacOS Montereyですが、まだまだ見どころや新機能はたくさんあります。ただし、M1 Macのみ利用な機能も沢山あります。
M1を搭載したMacしか利用できない新機能
空間オーディオの一部の機能
目玉機能の一つのFaceTime上の「空間オーディオ」ですがどうやらIntel Macでは制限があるようです。
この機能を使用するとFaceTimeでビデオ通話内の通話相手の方向から声が聞こえるようになりますが、先日更新されたmacOS 12 Montereyのプレビューを紹介するページではIntel Macについてはある条件が追加されました。
M1チップを搭載したMacのモデル(2020以降)では内蔵スピーカー、有線ヘッドフォンまたはAirPodsを使用し、IntelベースのMacのノートブック(2018以降)では内蔵スピーカーまたは有線ヘッドフォンを使用し、IntelベースのiMac(2018以降)では有線ヘッドフォンを使用して利用できます。
Apple macOS Monterey
どうやら、Intel Macを利用している場合にはAirPods を利用した空間オーディオはサポートされないようです。
ポートレートモード
iPhoneではiPhone 7 Plusから利用可能だったポートレートモードのアイディアをMacに応用した機能です。これはFaceTimeなどを利用した際、背景をぼかして被写体に焦点が合う機能です。この機能はM1を搭載したMacでしか利用できません。
新しい「大都市の3D」マップ
グラフィカルなマップの機能更新はどうやらM1 Macしか恩恵がないようです。
まだ対応するスポットは限られるものの、大都市や観光名所は3D表示されます。ただ、この機能はM1 Macのみサポートされます。
インタラクティブな地球儀
こちらも同様です。Appleによると雄大な山脈、砂漠、森林、海などの情報が、より詳しく表示される機能ですが、この機能もM1を搭載したMacのみがサポートされます。
その他、M1チップのNeural Engineを大いに活用したSiriの「ニューラルテキスト読み上げ音声」やオフラインでも音声入力を機械学習で蓄積したモデルを活用し利用できる「デバイス上の音声入力」はM1 Macのみ利用できるとのことです。
macOS Montereyのデザイン
魅力いっぱいの機能もIntel MacとM1 Macで利用可能な機能には差がありますが、もちろんデザインは一緒です。
macOS Monterey のデザインについてはmacOS Big Sur と近いものになりますが、Safariのデザインは「Big Surのタブの間に間隔が空くデザイン」と「旧来のデザイン」を環境設定から選べるようになりました。
既定では「旧来のデザイン」に戻っています。これは、タブとタブの間に隙間が空くデザインになったせいで現在アクティブなタブとそうでないタブの区別が付きづらいというユーザーからのフィードバックがあった為です。
またiWorkのアイコンなどの一新と、ウインドウタイトルアイコンの常時表示を有効にできるオプションの追加など、Big Surで刷新したデザインの見直しも含め、パワーアップしたmacOSを楽しめそうです。
一方で「お預け」の機能も
しかし、そんなmacOS Montereyもインストール後、すべての機能がすぐには利用できるわけでもありません。
例えば、目玉機能の一つ、「ユニバーサルコントロール」はしばらくお預けのようです。
先ほどご紹介したように、このユニバーサルコントロールはiPadとMac間をまるで一つのデバイスのように操作可能になる機能で、iPadとMac間でファイルをドラック&ドロップをしたり、MacBookのトラックパッドでiPadのジェスチャーを利用することも可能です。iPadをMacのサブディスプレイとして使用できる「Sidecar」とはまた違う、この便利な機能は後日(今年の秋に使えるようになります、とのこと)利用可能になるそうです。
また、「SharePlay」もすぐには利用できません。この時勢もあり、目玉機能とも呼べる楽し気な機能なので、解禁が待ち遠しいです。
さらに、「メールを非公開」もすぐには利用できません。この「メールを非公開」は、主にiCloud+のサブスクリプションに組み込まれた機能で個人のメールアドレスのプライバシーを守るサービスです。この機能も2021年後半に利用できるようになる、とのことです。
macOS Montereyの対応機種
こんな新しいmacOSが利用できるデバイスは以下の通りです。
- MacBook Air Early 2015以降
- MacBook Early 2016以降
- MacBook Pro Early 2015以降
- iMac Late 2015以降
- iMac Pro 2017以降
- Mac mini Late 2014以降
- Mac Pro Late 2013以降
iOSとは対照的にmacOSのサポートはシビアですね。
なお、macOS Montereyのインストール対象外になってしまったMacを利用されている方は、非公式ながらOpenCore Legacy Patcherを使用すればあなたのMacにも最新のmacOS Montereyをインストールできるかもしれません。
OpenCore Legacy Patcherを使ってmacOS Monterey をインストールする方法はこちらです。(2021年10月27日公開予定です。)
macOS Big Surまで対応された機種で macOS Monterey に対応しない機種
macOS Big Surと今回のmacOS Montereyのサポートされる機種の比較です。
下記にある機種はmacOS Big Sur はサポートしていたものの、macOS Montereyには対応しない機種の一覧です。
MacBook
- MacBook (Retina, 12-inch, Early 2015)
MacBook Air
- MacBook Air (13-inch, Mid 2013)
- MacBook Air (11-inch, Mid 2013)
MacBook Pro
- MacBook Pro (Retina, 15-inch, Mid 2014)
- MacBook Pro (Retina, 13-inch, Mid 2014)
- MacBook Pro (Retina, 15-inch, Late 2013)
- MacBook Pro (Retina, 13-inch, Late 2013)
iMac
- iMac (Retina 5K, 27-inch, Mid 2015)
- iMac (Retina 5K, 27-inch, Late 2014)
- iMac (21.5-inch, Mid 2014)
iMac Pro
- 該当なし
Mac mini
- 該当なし
Mac Pro
- 該当なし
macOS Montereyの入手方法
macOS Montereyのインストールが可能なMacは画面の左上隅にある Apple メニュー から「システム環境設定」>「ソフトウェア・アップデート」を更新を確認するか、App Storeの検索ボックスに「macOS Monterey」と検索をかけ、「入手」をクリックするとインストーラをダウンロードできます。
ダウンロードが終わると、インストーラが自動的に立ち上がりますので「続ける」をクリックして、画面上の案内に従って進めます。
最後にちょっとだけ
いかがでしたでしょうか?新しいmacOS MontereyはBig Surの大革新を見直しつつも、さらに魅力的な機能を追加したような元気いっぱいのOSに仕上がったような印象を受けます。
ただしAppleは徐々にIntel包囲網を強固にし、Intelとの決別を改めて表明した格好にも受け取れ、今後さらにM1 Macとの機能差をつけていくような印象も受けました。ただし、当初macOS Montereyのプレビューページには「テキスト認識表示」機能は「M1チップを搭載したMacコンピュータで利用できます。」という表示がされていたものの、macOS Monterey Beta 4ではIntel Macでも利用可能になり、「M1チップを~」という表記も削除されました。このように一度利用できないとされた機能の解禁もあったため、今後のAppleの動きにも注目したいところです。
ちなみに、macOS Monterey。読み方は「モントレー」です。アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるセントラル コースト沿岸に位置する都市の名前です。一時はAppleが過去に商標登録を行った「Mammoth」などが候補にあがりましたが、最終的には有力候補であった「Monterey」が正解だったようです。前の「Big Sur」もカルフォルニア州のセントラルコーストの海岸に沿った地域の名前ですね。
なお、macOS Montereyがインストールできない機種にmacOS Montereyをインストールする方法はこちらをご覧ください。
当ブログではmacOS Montereyの情報を引き続き発信していきます。
なお、当サイトではこんな記事もおすすめです。
2021.10.26 11:00 「macOS Montereyの入手方法」にスクリーンショットを追加しました。