アルプスアルパインは2021年10月25日、絶縁型DC-DCコンバータ回路技術として、絶縁型「TriMagiC Converter」を開発したと発表した。
車載用DC-DCコンバータやサーバー、基地局向け電源といった用途が見込まれる。冒頭の画像は、同技術の機能性評価用DC-DCコンバータ試作機となっている。
既存の絶縁型DC-DCコンバータは、小電力、小型で部品点数が少ないON-OFF型と、大電力、大型で部品点数が多いON-ON型に大別される。車載用で用いられるON-ON型の小型化にあたっては、動作周波数を上げる必要がある一方で、電力変換効率が低下する点が課題となっていた。
絶縁型TriMagiC Converterは、トランスと共振コイルの磁性体部品として、同社が独自開発した磁性材料「リカロイ」をフェライトの代わりに採用した。ON-ON&ON-OFF型動作モードの回路に用いることで、電力3.3kW、ピーク時96.8%の変換効率を達成したほか、磁性体部品総サイズを230.0×115.0×30.0mmに小型化した。
同回路は、同じ特性のトランス2つとZVS(ゼロボルトスイッチング)用の共振コイルで構成される。トランジスタからの電流を入力することで、トランス2つが交互にON-ONとON-OFFの動作を繰り返す。これにより、ON-ON時、ON-OFF時ともに、トランスが入力側からのエネルギーを出力すると同時に蓄える動作も行うため、磁束密度の上昇が通常のON-OFF型の約半分となる。
蓄える動作が整流も担うため、平滑コイルが不要となる。また、リカロイの高飽和磁束密度特性により小型化が可能となった。さらに、磁束密度の変化量が少ないことにより、電力3.3kW、ピーク時96.8%の変換効率を達成している。
同社は、リカロイを用いた磁性体部品のサンプル供給を2022年4月に開始し、市場調査や性能評価などを経て、2023年10月を目途にリカロイを用いた磁性体コアやトランス、共振コイルなどの各種コンポーネントの販売を目指す。また、2022年3~4月には、絶縁型TriMagiC Converterの機能性評価用のリファレンスボードを供給する予定となっている。
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