勢い止まらず 少量生産モデルやレストモッド大人気
2014年まで存在したスポーツカーメーカー、ヴィーズマン(Wiesmann)の遺伝子を持つBMW Z4が、184,900ユーロ(約2,440万円)の価格をつけた! ボールドメン(Boldmen)ブランドで、BMW Z4をベースにした、400馬力以上のレトロな外観のロードスターが製作されることになった。その全情報
少量生産シリーズモデルのメーカーや、あらゆる種類のレストモッドの市場が活況を呈していて、ブームが勢いを増しつつある。
電気自動車やSUVが続々と発表される中、多くの自動車愛好家やファンが他とは違うものを求めているため、独自の作品を持って、市場に参入する企業が増えている。
ドイツの若いブランドである、ボールドメンが、応じたいのは、まさにこの個性的な欲求だ!
ボールドメンのミッションステートメントは、「大胆で象徴的なデザインと最大限のドライビングプレジャーの融合」、だ。
2020年に設立されたばかりのこの会社の頭脳は、ハラルド ケスとミヒャエル ケス、そしてフリードヘルム ヴィーズマンだ。
後者は、象徴的なブランドであるヴィーズマンの共同設立者として、自動車ファンにはお馴染みだろうが、ボールドメンの開発・生産責任者である、ミヒャエル カースも自動車業界では知らない人はいない。
例えばアルピナで活躍していた時代もあり、数年前からは、現在は販売されていない「BMW 2シリーズ コンバーチブル」をベースにした、「ETA 02エブリタイマー」の開発に携わってきた。
「勇猛果敢な男たち=Boldmen」を意味するこの新ブランドから、2021年末までには、この手造りのロードスターが発表され、生産される予定だ。
「CR4」とは、カーボン(C)、ロードスター(R)、400馬力以上(4)、というシンプルな名前である。
基本的なレシピは、ヴィーズマン時代からおなじみのもので、BMWのテクノロジーを搭載した、レトロな外観のスポーティロードスターだ。
ボールドメンは、「CR4」にBMWの技術を採用するだけでなく、プラットフォーム全体も採用している。
つまり「CR4」は現世代の「BMW Z4 G29」をベースにしているということになる。
しかし、このバイエルン製ロードスターのボディは、精巧な手作業で、カーボンから完全にモデルチェンジされており、最終的にはその関係性が最もはっきりとわかるプロフィールになっている。
その一方で、フロントとリアのセクションは完全に新しくなっている。
「CR4」は、縦型の支柱と、「Boldmen」のロゴが入った六角形のラジエーターグリルを装着している。
特に印象的なのは、3次元的にデザインされたヘッドライトで、そのスパイダールックは、2015年に発表された「アルファロメオ4C」のローンチエディションを髣髴とさせるものだ。
リアも同様で、テールライトはヘッドライトに似ており、レトロな外観とヴィーズマンのモデルに似ていることは否めない。
しかし、ボールドメンは、このクルマは過去の成功例のコピーではなく、独自のカスタムメイドロードスターとして仕立て上げることを目指している。
直6エンジンを搭載し、408馬力を発揮するボールドメンCR4
そして、BMWのチューニングスペシャリストである、ダーラー(Dähler Design & Technik GmbH)が、技術的に手を貸している。
「Z4 M40i」の3リッター直列6気筒に改良を加え、標準の340馬力、500Nmを、408馬力と610Nmにまでパワーアップさせている。
その結果、「CR4」は、0から100km/hまで、3.9秒という驚異的な速さを実現し、「Z4」よりもコンマ6秒も速いという。
なお、このロードスターの最高速度は250km/hに制限されている。
185,000ユーロ(約2,440万円)というベースプライスは大きな数字だ
「CR4」はまだレンダリングとしてしか存在していないが、すべてがうまくいけば、正式なワールドプレミアは、2021年中に行われるはずだ。
少量生産シリーズのスタート時には、ナンバリングされた、特別モデル、「ファーストサーティ(First Thirty)」が用意される。
その「ファーストサーティ」の30台のカスタマービークルのうち、最初の1台は、2021年末までに納車される予定だ。
2022年には、さらに最大80台を手作業で製作する予定だ。
「BMW Z4 M40i(62,700ユーロ=約825万円~)」の約3倍に相当する184,900ユーロ(約2,440万円)以上を、このクルマに支払えるお客様がいらっしゃれば、という条件付きだが・・・。
ドイツ製の手造りと個性の必要性は、決して安いものではないということだ。
このクルマが、今流行しているレストモッドかどうかは判断に悩む部分ではあるが、こういう特別な、言ってみれば自分だけという自動車が欲しいという気持ちは理解できる。ただし文中にも書いてある通り、トータルで、110台を生産するという企画は、その価格と、全体的な内容(とびぬけて格好が良いわけでも、特別な自動車という雰囲気にもかけると思う)からすると、ちょっと楽観的すぎるのではないだろうか、というのが正直な感想である。
それでもこういうスペシャルなクルマがまだ登場する余地があるということ、そして、まだまだ、そのオマージュになるべく元ネタが自動車の世界にはあふれているという点は自動車好きにはうれしい点だ。次はどんなレストモッドを見られるのだろうか。
Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Boldmen