今回の声明文ではどうなったかというと、「一時的と予想される要因」(factors that are expected to be transitory)という表現に微妙に修正してきました。
一般の人には小さな違いにしか感じないかもしれませんが、金融市場ではこうした細かな表現の違いが時としてインパクトを与えることもあります。
こういう、ことばの微妙な使い回し、日銀もよく使い、「日銀文学」とも呼ばれています。私たち金融を担当する記者はその違いを見つけ、解釈し、日銀のメッセージを読み取ろうとします。今回はさしずめ「FRB文学」といったところでしょうか。
さて、今回のFOMCの声明文について、市場関係者からは、「インフレの加速が『一時的』では無くなった時に備え、幅を持たせた表現に変えてきたのではないか」との分析も聞こえてきました。
確かにアメリカでは物価上昇率がFRBの目安とする2%を大きく上回り、5%台で推移しています。国内でインフレが加速すれば、FRBとしては利上げに踏み切るかどうかの判断に迫られます。
このため「一時的」という認識なのかどうかは、市場にとって非常に重要な表現なわけですが、いきなりこの文言を削ると、利上げが近いという観測を招いて、金利が跳ね上がるリスクもはらみます。
一方、表現を据え置くと、「これでまだ一時的?本当ですか?」という違和感を与えてしまいそうです。