ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社は、親会社であるUnityがWeta Digital買収(具体的には、アーティストツール、コアパイプライン、知的財産そして受賞歴をもつエンジニアの人財)の最終合意に達したことを発表した。Unityはリアルタイム 3D(RT3D)コンテンツを制作して運用するための、世界をリードするプラットフォーム。この買収はWeta独自の高度なビジュアルエフェクト(VFX)ツール群を、世界中のクリエイターとアーティストに届け、さらにツール群がUnityプラットフォームに統合された際には、次世代のRT3Dを生み出し、メタバースの未来を形作ることを目的としたもの。
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■概要
Weta DigitalはUnityのクリエイト・ソリューションズ(Create Solutions)部門に加わり、Manuka、Lumberjack、Loki、Squid、Barbershop、HighDef、CityBuilderを始めとするWeta Digitalの所有する数々のグラフィックツール、VFX ツールの機能向上に努めていく。将来的には、RT3Dに対するUnityの高度な知見を用いて、これら世界的なアーティスト用ツールがクラウドベースのワークフローで利用可能になるという。
アカデミー賞受賞で知られるWeta Digital VFXチームは、WetaFXの名称で独立会社として存続し、メディアおよびエンターテインメント業界におけるUnity最大の顧客となることが予測されている。WetaFXは引き続きSir Peter Jacksonが株式の過半数を所有し、Prem Akkaraju が CEOを務める。
Weta Digital会長兼共同創業者のSir Peter Jacksonは次のように述べた。「Weta Digital のツール群は私たちの想像の中にしか存在していなかった世界と生き物に息を吹き込むうえで無限の可能性をもたらしてくれました。UnityとWeta Digitalが力を合わせることで、あらゆる業界のあらゆるアーティストが Weta Digital のクリエイティブで強力なツールを生かせるようにするための道を切り開けるでしょう。躍進を目指すクリエイターたちにWeta Digitalのテクノロジーを提供することは、まさに世界を変えます。そして Unity こそが、そのビジョンを実現する企業に他なりません」。
Unity社長兼最高経営責任者(CEO)John Riccitiello は「Weta Digitalの業界をリードするツールを幅広く利用可能にし、Sir Peter Jackson氏の才能と Weta 社のエンジニアリング能力を全世界のアーティストのもとに届けられることが楽しみでなりません」と述べ、次のように続ける。「Unityと『アバター』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ワンダーウーマン』を始めとする世界最高峰の映画作品のキャラクターと舞台を生み出した Weta Digital のツールとテクノロジーが組み合わさることで、目を見張るような RT3D コンテンツを構築、編集、配信する全く新しい世代のクリエイターも出てくることでしょう」。
Weta Digitalはビジュアルエフェクトとアニメーションの第一級のクリエイターにしてイノベーター。芸術的ビジョンを追求する中で可能性の地平線を押し広げ、『アバター』、『ブラック・ウィドウ』、『ゲーム・オブ・スローンズ』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『PLANET OF THE APES/猿の惑星』、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を始めとする、数々の受賞歴を誇る幅広い映画作品やテレビ作品のために高品質かつ極めてリアルな人物、オブジェクト、世界の描写を実現してきた。Weta Digitalは世界的なVFXアーティストとエンジニアのチームの力を借りて、この偉業を達成している。チームは非常に高度なアーティストパイプラインとツールセットの構築に貢献し、フェイシャルキャプチャとマニピュレーション、解剖学的モデリング、アドバンスドシミュレーション、移動物体のデフォーメーション、髪の毛と毛皮のプロシージャルモデリングを始めとする数々の技術を実現してきた。それらは20年以上にわたり、数千ものショットの何百というプロップにインスピレーションを受け、開発され、磨き上げられてきたものだ。
「世界的なツールとテクノロジーをクリエイターに届けるうえでUnityに勝るものはない。Unityと力を合わせることで、高い評価を受けているWeta Digitalの比類なきハイエンドアーティストパイプラインとツールを、これまでよりも遥かに幅広いアーティスト層に届ける機会が得られます」とWeta DigitalのCEO、Prem Akkarajuは述べる。「Wetaは常に次世代のクリエイターに刺激と意欲を与えることを目標にしてきました。その役目が Unity に引き継がれることは喜ばしいことです。私には、今後さらに多くのコンテンツが『アバター』や『ゲーム・オブ・スローンズ』と同等のリアルなビジュアルを持つ未来が見えています。Unity はこの未来へと私たちを導いてくれる理想的な企業です」。
この合意によりUnityは以下を取得する。
・Weta Digital のツール群とコアパイプラインの設計、構築、保守管理を手掛ける Weta の世界的なエンジニアリング人材275名
・Weta の誇る制作パイプラインにシームレスに組み込まれたManuka、Gazebo、Barbershop、Lumberjack、Loki、Squid、Koruを始めとする業界最先端のツール群
・数百名のアーティストによるシームレスな共同作業を容易にする、連携性を備えた3Dアート制作のための基礎的データプラットフォーム
・今後の WetaFX チームによる世界的な VFX の制作を通じてさらに拡充される膨大な高品質アセットライブラリ
「一つの統合されたパイプラインをベースに数十のツールが作られているという点に、Weta Digitalの優れた設計が表れています。それぞれ単独でも比べるものがないほど強力なツールですが、一つの完成されたプラットフォームを構成することで弊社の能力が飛躍的に向上し、アーティストが想像力を形にし、連携して仕事をすることがかつてないほど容易になります」とシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー(Unity クリエイト・ソリューションズ(Create Solutions)担当)のMarc Whittenは述べる。「私たちのコンテンツクリエイターのためのパイプラインをさらに進化させていく中で、これらのツールが可能にするアートの地平線を押し広げ続け、その能力を VFX、エンターテインメント、やがてはゲームやその他の分野のアーティストの手にもたらすため、WetaFX と密接な取り組みができることに喜びを隠せません」。
UnityとWeta Digitalは、高度なコンテンツ制作ツールとクラウドベースのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)サブスクリプションモデルにより、増え続けるゲーム開発者、アーティスト、そして数百万の潜在的なコンシューマークリエイターを支援していく。この極めてリアルな表現を実現するツールとアセットをクラウド化することで、UnityとWeta Digitalは、既に慣れ親しんだ制作環境はそのままに、驚くほど強力なアーティスト用ツール、プロシージャルなビルディングブロック、スケーラブルなコンテンツにアクセスできる新たな可能性をクリエイターにもたらす。クリエイターは安定的かつ信頼できる成果物により品質を向上させると同時に、制作プロセスの改善と単純化を実現し、やがてはメタバースに自身の一画を創り上げることができるだろう。
合意文書に基づき、Unityは現金と株式を合わせた16億2500万米ドルをもってWeta Digitalを買収する。Wetaの商用クラウドサービスの生みの親にして、2020年初めにCEOとしてWeta Digitalに加わったPrem AkkarajuはWetaFXの最高経営責任者(CEO)に留任する。Wetaの最高技術責任者 Joe MarksはWeta Digitalの最高技術責任者としてUnityに加わる。本買収提案は、慣習的な買収完了条件を満たした後、Unityの2021年度第4四半期に完了する見込みだ。
The Raine GroupがWeta Digitalの専属財務顧問を務めた。