最大規模の経済対策 分配重視も財源議論乏しく 官邸キャップ解説
政府は、55兆7000億円程度の財政支出となる過去最大規模の経済対策について閣議決定しました。政権の狙いについて、政治部官邸キャップの室井記者です。
過去最大規模になった要因は、コロナで影響を受けた世帯や企業への給付金が積み上がったことや、介護士や看護師への賃上げなど、特に「分配」を重視したからだといえます。中でも「18歳以下への10万円相当の給付」をめぐる所得制限のあり方については、自民党の幹部から公然と「不公平だ」との声があがりました。
ただ、岸田総理は「スピードを優先する」として、方針を変えることはありませんでした。その背景には、目に見える実績を作り、一刻も早く経済を立て直したいという思いがあります。ある政権幹部は、「いまなら国民の理解を得られる」「国民の関心は経済再生だ」などと話しています。
一方で、財源の議論は乏しく、岸田総理も「赤字国債をはじめ、あらゆるものを動員する」と述べるにとどめています。この過去最大の経済対策を今後、「成長戦略」につなげられるかは岸田総理の手腕にかかっています。