自民党の岸田文雄総裁は30日、党役員人事と新内閣発足に向けた選定を進め、党四役を固めた。幹事長に甘利明税制調査会長(72)、総務会長に福田達夫衆院議員(54)、政調会長に高市早苗・前総務相(60)、選挙対策委員長に遠藤利明・元五輪相(71)を内定した。麻生副総理兼財務相は副総裁に充てる。10月1日に決定する。
閣僚人事では、官房長官に松野博一・元文部科学相(59)を起用する方針だ。
甘利氏は安倍前首相や麻生氏に近く、安倍政権の中枢を担った。3人の頭文字を取って「3A」とも称される。総裁選では、岸田氏支持をいち早く打ち出し、選対本部の顧問を務めた。
福田氏は福田康夫・元首相の長男で、当選3回。衆院当選3回以下を中心とする派閥横断の「党風一新の会」の代表世話人に就き、総裁選で党改革を求めていた。当選3回以下の総務会長就任は初めて。岸田氏は総裁選で若手の登用を掲げており、抜てきとなった。
高市氏は総裁選に立候補し、第1回投票で国会議員票では2位となった。決選投票では、安倍氏ら高市氏の陣営の多くが岸田氏支持に回った。
岸田氏は30日、麻生氏と東京都内のホテルで会談し、人事について意見交換した。岸田氏は、最大派閥の細田派、第2派閥の麻生派の議員を主要ポストにつけることで、政権基盤を安定させる狙いがあるとみられる。
党役員人事ではほかに、総裁選を戦った河野太郎行政・規制改革相(58)を広報本部長、小渕優子・元経済産業相(47)を組織運動本部長、高木毅衆院議院運営委員長(65)を国会対策委員長に内定した。幹事長代行には梶山弘志経産相(65)を起用する。
新内閣の閣僚人事で、官房長官に内定した松野氏は細田派の事務総長を務め、他派閥との人脈も深い。政策決定が首相官邸主導で進む「政高党低」に党内の不満が高まっていることから、党との調整役として適任だと判断したとみられる。
岸田氏は、10月4日召集の臨時国会で行われる首相指名選挙で首相に選ばれる。同日中に岸田新内閣が発足する見通しだ。