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 岸田首相(自民党総裁)は1日午前、自民、公明両党の与党で過半数を維持した衆院選の結果を受けて、第2次岸田内閣の発足に向けて始動した。政府・与党は、首相指名選挙を行う特別国会を10日に召集する方針で、首相は同日中に第2次内閣を発足させる。自民党は公示前の276議席から減らしたが、国会を安定的に運営できる絶対安定多数(261)を確保した。

 首相は1日午前、党本部で臨時の党役員会に出席した。これに先立ち、党本部で記者団に「政権選択選挙で与党が過半数を獲得できた。大変心強く思っている。政権運営、国会運営にしっかりと生かしていきたい」と述べた。

 小選挙区で落選し、辞意を首相に伝えた甘利幹事長の処遇については、「よく話をする。最後は私が決める」と語った。首相は、1日中にも最終判断する。後任人事によっては、他の党役員らの変更が生じる可能性がある。閣僚については、第1次岸田内閣が10月4日に発足したばかりであることから、全員を基本的に再任する意向だ。

 首相は1日午後に公明党の山口代表と党首会談を行い、自公連立政権の継続を確認する。首相はこの後、党本部で記者会見に臨み、衆院選の総括や今後の政権運営の基本方針を説明する。

 自民党の遠藤利明選挙対策委員長は1日午前、党本部で記者団に「正直、そこまで(議席を伸ばせる)とは思っていなかった。かなりいい形での政権運営ができる」と語った。自民党が得た絶対安定多数は、衆院の全17常任委員長を独占した上で、全委員会で委員数の過半数を確保できる数だ。

 一方、自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長は1日午後に国会内で会談し、特別国会の10日召集について野党と調整を進めることを確認する予定だ。

 首相は2日午前には、就任後の初外遊として、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席するため、英国に向けて出発する。首相は首脳級会合で演説し、世界の気候変動対策を主導する決意などを表明する。ジョンソン英首相との会談を調整しており、首脳外交を本格化させる。

 首相は今月中旬に経済対策を取りまとめ、この内容を反映した2021年度補正予算案の年内成立を目指す。経済対策の柱は、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた事業者や、困窮した家計への給付金支給となる見通しだ。内閣の最優先課題と位置付けるコロナ対策では、今冬に懸念される「第6波」への備えを万全にするため、病床確保などを確実にする「取り組みの全体像」を近く提示する。