広い都市部で、生身ひとつで巨大なクリーチャーと戦うことを魅力とする『地球防衛軍』シリーズ。2003年に「SIMPLE 2000」シリーズとしてリリースされて以来、シンプルにして豪快、そして戦略性あるゲームプレイの魅力を発揮し続けており、ついにPS5にて『地球防衛軍6』が上陸します。
本作は東京ゲームショウ2021(以下、TGS2021)のオフライン会場にてデモが展示されており、(入場者は)新たな戦いの模様をゲームプレイで体感することができます。そこには変わらない魅力が……というより、むしろどんどん進化する周囲のAAAタイトルをよそに、あんまり変わらないがゆえの本質的なゲームの良さを感じさせるものとなっていました。
前作から3年。人類のつかの間の平和から、新たな戦いが始まる
前作『地球防衛軍5』 における、地球の侵略者「プライマー」との戦いが終結した2024年。地球に平和が戻りました。しかし戦いの傷は深く、地球人口はなんと一割にまで減少。文明崩壊の危機に直面していました。
それから3年の月日が流れた2027年。以前の戦いで、プライマーが使役していた多くのエイリアンは、実は地球に置き去りされていたのです。
彼らは生き延びるために集団を作って街を占拠。人類との衝突を繰り返し、互いは疲弊していくばかりでした。さらには侵略生物が地球で繁殖を続けており……。
そうした危機的な状況なのもあり、『地球防衛軍6』ではまるで『北斗の拳』や『AKIRA』のような荒廃した都市が初めて舞台となっています。
『地球防衛軍』シリーズといえば、かつてPS2が処理落ちするほどの膨大な巨大なアリとの戦いによって、プレイヤーに「これ本当に勝てるのか?」と絶望を感じさせたものでした。しかし今回はじわじわ疲弊し、朽ちていく世界という絶望も加わっているのです。
海外TPSにフィーリングを近づけたアクション
EDF隊員のアクションムーブも若干の変化がありました。悲壮感が漂う世界観に合わせているのか、今まではあまり導入してこなかった海外TPSみたいなムーブが追加されています。瓦礫の町を飛び越えたり、登ったりする細やかなムーブが行われるようになり、ある意味で崩壊していく世界観の手触りを感じさせるようになっております。
基本となる歩兵「レンジャー」をはじめ、空飛ぶ兵士「ウイングダイバー」、装甲を固めた「フェンサー」といったクラスが引き続き登場します。絶望的な状況下で他の隊員たちとの交信も健在ながら、どこか終わりゆく世界を感じさせる空気感が増していると言えるでしょう。
とはいえSIMPLEの魂は変わらない
さて、ここまでは「朽ちていく世界観」「海外TPSを思わせるムーブ」と、まさかの『地球防衛軍』まで無暗にシリアスになってしまったのか!? と思うかも知れませんが、ホッとするのは、いい意味でSIMPLEシリーズ時代から続く、B級のシンプルさが残ってくれていることですね。
巨大な敵を遠距離からミサイルを使って戦う基本は、今回も健在。ビルをぶっ壊しながら敵と距離を取り、いかにチクチクと撃破していくかという緊張感は変わりありません。
なにより『地球防衛軍』にうっすらと存在する “絶望的な展開が行きすぎて、シリアスな笑いになる”感覚がすごく良いです。先述した終わりゆく世界のムードと相反する、どこかズレた感じといいますか。
たとえば夕焼けの向こう側で、朽ちゆくビルの奥に待ち構えるエイリアンが変な体型の巨大カエルというのは、筆者にとっては『地球防衛軍』ならではの絵面だったりします。独特のズレや奇妙さがすこし笑いを誘う感覚があり、本作のゲームプレイは過去作よりも絶望感があるのだけど、どこかB級映画を観るような喜びに満ちています。
『地球防衛軍6』はPS5/PS4にて、2022年にリリースを予定しています。