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クライシス・ギア 緋剣のエージェント・九重 慎 (集英社スーパーダッシュ文庫)クライシス・ギア 緋剣のエージェント・九重 慎 (集英社スーパーダッシュ文庫) [文庫]
著者:三上 康明
出版:集英社
(2013-05-24)

日本刀バトルアクション。

クライシス・ギアと呼ばれる人類の発明品が一般的に使われる世界を舞台に、主人公の九重慎が政府機関「特防」のエージェントとして、本来は人命を守る道具である「クライシス・ギア」を使った犯罪に立ち向かっていく。

一言で言うなら王道だろうか。とにかく格好良い主人公に格好良い武器とアクション、特防を始めとして財閥とクライシス・ギアのスタイリッシュな設定。一人の女の子を守るため、自らを犠牲にしてでも、大人を敵に回してでも、全力でぶつかっていく男の子。

もうとにかく格好良いですし、世界観と設定がワクワクさせてくれる。ただ、だからこその理不尽さに納得が出来なかった。

慎は確かに子供であるから大人の存在は必要なのだけれど、大人たちの行動理由や信念がよく分からない。例えば緋扇を警護していたエージェントのオジサンだったり、慎を任務から外そうとしたお姉さん。慎の視点から見ているからかもしれないが、本当に理不尽に見える。何より、エリート集団であるはずの特防が20人ほど殺されているのにも関わらず、本気にならない大人たちが理解できずに気持ち悪い。

今回。敵として登場するセブンというキャラクターはそれだけ強いのに、野放しにする理由が分からないですし、たまたま単独だったからいいものの、組織はあるのだろうから、放置するという選択に違和感を覚える。特務機関とはいえ、特防の威信がかかっているのだから早期解決のために最強を送り込んできてもいいくらいに思えた。むしろ、本当に特防ってのはエリート集団で強いのかと疑問にも感じる。

登場したキャラクターには容赦なく死んでもらう気概は好きになれるのだけれど、それにしても一巻はキャラクターが多かった印象。世界観の説明には様々な組織と機関を登場させなければいけないのは分かるけれど、それを説明するために本当にここで登場させる必要があるキャラクターだったのかは疑問が残った。

紗々良と慎の関係はニヤニヤして読めましたし、格好良さは伝わってくるのだけれど、展開の繋ぎが粗いのか、描写が足りずに場面が飛んだ印象を受けることがままある。文章が読みやすいだけに、目立ってしまいその度に集中が切れてしまう。

一巻は序章という雰囲気で、展開も王道らしいので、流れは読みやすいので先回りして展開を想像しながら読むと楽しめるのかもしれません。

おすすめ度:★★

Presented by Minai.
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