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東芝は2021年10月29日、次世代パワー半導体を制御するドライバーICの性能向上に向け、アナログとデジタルを融合した高機能回路のワンチップ化に世界で初めて成功したと発表した。同社は技術開発を進め、2025年の実用化を目指す。

パワー半導体は電圧や電流の制御を行う半導体で、モーター駆動や、直流と交流の変換など電力変換に使用されている。カーボンニュートラルの実現に向けた技術革新の中で、パワー半導体の小型化や高効率化が求められているが、従来の制御方法では、電力損失を低減しようとするとノイズが発生しやすくなるという課題があった。

東芝が開発したICは、アナログ回路とデジタル回路を混載しており、パワー半導体素子の電圧や電流をアナログ回路で検知した後、検知結果に応じてデジタル回路で制御方法を切り替える。これによって、多くの部品を使用することなくワンチップで最適な制御を可能にした。

制御時は、低速なデジタル回路と高速なアナログ回路を組み合わせた分解能向上回路によって、高速な制御が必要な部分だけアナログを利用することで、きめ細かく制御を行う。また、同社はパワー半導体の高速な電圧や電流の波形から、制御や事故の検知に必要な特徴量を抽出するアナログ波形の前処理技術を開発。低速なアナログ/デジタル変換器で故障を検知できるようにした。これによって、マイコンなどを経由せずに短絡などの事故状態を検知し、即座にパワー半導体を保護できる。

こうした技術によって、2マイクロ秒以下の超高速でパワー半導体の電圧や電流の状態を検知し、きめ細かな制御によって発生するノイズを最大51%低減することが可能となった。

東芝は、少ない部品でドライバーICを製造でき、ノイズも低減できる今回の技術について、「次世代パワー半導体の性能を最大限に引き出す」ものとしており、EVや産業機器、スマートグリッドなどに使われるモーター駆動回路や直流交流変換器の小型化や高効率化、高信頼化につながるとしている。

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プレスリリース

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