ちょうどいいので入国禁止措置の制度のおさらい。
- 早稲田ゆき議員「在留外国人の再入国停止」ツイート削除
- 立憲民主党「オミクロン株が確認された全ての外国人の再入国を禁止」
- 岸田政権「全世界からの新規入国を原則停止する方針」とあるが…
- 従前の日本政府も「変異株流行国・地域」からの再入国禁止が可能
- 国家主権の領域の話であり、人権侵害と主張することは苦しいし、人種差別ではない
- 立憲民主党は不法滞在不良外国人の強制退去処分を進めてはどうか?
早稲田ゆき議員「在留外国人の再入国停止」ツイート削除
立憲民主党の早稲田ゆき議員が「在留外国人の再入国停止を政府に要請した」とするツイートを削除しました。
ツイートの字面だけ見ると、オミクロン株の確認された地域とか関係無しに、一般的に在留資格のある外国人の再入国の停止をするように読め、また、特別永住者なども一緒くたにしているように見えるものであるため、批判が相次いでいました。
では、立憲民主党はどういう主張をしていたのか?
立憲民主党「オミクロン株が確認された全ての外国人の再入国を禁止」
長妻昭厚生労働部会長らは29日、新型コロナウイルス・オミクロン株の海外での感染を受け、厚労省に緊急要請を行いました。
全世界からの新規入国禁止
オミクロン株の感染が確認された国からの再入国禁止
日本人入国者は10日間政府が用意したホテルで隔離、定期的にPCR検査https://t.co/iIwmpss4Jo— 立憲民主党 政策情報 (@CDPPOLICY) 2021年11月29日
南アフリカなどからの入国禁止等を厚生労働省に緊急要請 2021年11月29日
1.世界での急速なオミクロン株の感染拡大に鑑み、オミクロン株の日本への流入を防ぐため、全世界からの新規入国を禁止したうえ、南アフリカなどオミクロン株の感染が確認された国及びアフリカ南部からの再入国については、再入国の禁止措置をおこなうこと。すべての国からの日本人の入国者に関しては、少なくとも10日間、政府が用意したホテルなどで隔離し、定期的にPCR検査を実施すること。
2.万が一オミクロン株が日本に流入した場合に備えて、感染防止対策強化、検査体制を強化した上でのオミクロン株の検出体制の整備をおこなうこと。
- 全世界からの新規入国を禁止
- オミクロン株の感染が確認された国及びアフリカ南部からの再入国については、再入国の禁止措置
11月29日の16時30分にUPされた立憲民主党のページにはこのように書かれており、再入国については「オミクロン株の感染が確認された国・地域」に限定している以外は早稲田議員と変わらない主張に見えます。
では、これは今回の岸田政権の政策と従前の政府の対応とどう違うのか?
岸田政権「全世界からの新規入国を原則停止する方針」とあるが…
令和3年11月29日 オミクロン株に関する水際対策等についての会見 | 令和3年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ
首相、新規入国停止を表明 記者団とのやりとり全文: 日本経済新聞2021年11月29日 15:22
11月29日の午後13時20分頃に示された岸田政権の方針として「全世界からの新規入国を原則停止する方針」と主張されていますが、「上陸拒否対象国・地域」を指定して「特段の事情」がない限り上陸を拒否することとしているのは令和2年12月26日以来変わりありません。
新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について|外務省(令和3年11月30日版魚拓)
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否等について | 出入国在留管理庁
水際対策強化に係る新たな措置(20)(オミクロン株に対する水際措置の強化)令和3年11月30日(魚拓)
1.オミクロン株(B.1.1.529 系統の変異株)に対する指定国・地域
水際対策上特に対応すべき新たな変異株のうちオミクロン株(B.1.1.529 系統の変異株)については、本措置に基づき「オミクロン株(B.1.1.529 系統の変異株)に対する指定国・地域」として別途の指定を行う。2.外国人の新規入国停止
「水際対策強化に係る新たな措置(19)」(令和3年 11 月5日)(以下「措置(19)」という。)2.に基づく、外国人の新規入国に係る、受入責任者から業所管省庁への申請の受付及び当該業所管省庁の帰国・入国前の事前の審査を、本年 12 月 31 日までの間停止し、業所管省庁から受入責任者に対する新たな審査済証の交付を行わないこととする。本年 11 月 30 日以降、本年12 月 31 日までの間、この仕組みによる外国人の新規入国を拒否する。
「措置(19)」とは以下のこと。
外国人の新規入国制限の見直し
現在原則として一時停止している外国人の新規入国について、日本国内の受入責任者から業所管省庁へ提出した誓約書及び活動計画書を含む申請書式が事前に業所管省庁の審査を受けたことを条件に、商用・就労目的の短期間(3月以下)の滞在者及び長期の滞在者の新規入国を原則として認めることとします。
ワクチン接種証明書保持者に対する入国後の行動制限及び外国人の新規入国制限の見直し(要旨)
- 昨年12月26日から「全世界からの新規入国は原則として停止」と表現
- ただし、指定された国と地域のみ
- また、指定国・地域からでも特段の事情があれば入国可能だった
- 11月5日からはワクチン接種済みなど一定の条件を揃えていれば新規入国が可能に
- 11月30日からは11月5日の措置が停止された
要するに、岸田政権の今回の対応は、11月5日からの緩和措置(条件が付いてるので緩和と表現するのが適切かはともかくそう書かれているので)に対するものです。
言葉の字面だけで想像すると実態と異なる認識になってしまうので気を付ける所です。
では、「再入国」はどうか?
従前の日本政府も「変異株流行国・地域」からの再入国禁止が可能
新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について|外務省(令和3年11月30日版魚拓)
2 一部の「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」からの再入国禁止
一部の「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」に、本邦への上陸申請日前14日以内に滞在歴のある在留資格保持者の再入国は、当分の間、拒否されます。
<措置対象国・地域>
なし
(注1)該当する国・地域は、外務省及び厚生労働省において確認の都度、所定の書式で指定し公表します。令和3年9月18日以降に指定された国・地域からの在留資格保持者の再入国禁止措置は、指定日の2日後の日の午前0時から実施します。また、今後、再入国の原則拒否に係る指定内容の変更及び指定の解除は公表日の2日後の日の午前0時から実施します。
(注2)指定日の翌日までに再入国許可をもって出国した「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有する者が、同措置の対象国・地域から再入国する場合は、原則として、特段の事情があるものとされます。なお、「特別永住者」については、今回の再入国拒否対象とはなりません。
なお、上記措置に準じ、令和2年8月31日までに再入国許可をもって現在上陸拒否の対象地域に指定されている国・地域に出国した者であって、その国・地域が上陸拒否の対象地域に指定された後、再入国許可の有効期間が満了し、その期間内に再入国することができなかったとして新たに在留資格認定証明書を取得し査証の発給を受けたもののうち、同措置の対象国・地域に本邦への上陸申請日14日以内に滞在歴のあるものについては、当分の間、原則として上陸拒否されます。
現時点では対象国はありませんが、過去には対象国・地域がありました。
この措置は令和3年5月14日の時点でデルタ株の流行を受けて特定国からの外国人の再入国を禁止したことから続いています。
インド、パキスタン及びネパールからの再入国禁止(NEW)
インド、パキスタン及びネパールの3か国に、本邦への上陸申請日前14日以内に滞在歴のある在留資格保持者の再入国は、令和3年5月14日から当分の間、拒否されます。
(注1)5月13日までに再入国許可をもって出国した「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、又は「定住者」の在留資格を有する者が、これら3か国から再入国する場合は、特段の事情があるものとされます。なお、「特別永住者」については、今回の再入国拒否対象とはなりません。
(注2)上記に基づく措置は、5月14日午前0時(日本時間)前にこれら3か国を出発し、同時刻以降に日本に到着した者は対象となりません。
なお、令和3年5月14日以降、上記措置に準じ、令和2年8月31日までに再入国許可をもって現在上陸拒否の対象地域に指定されている国・地域に出国した者であって、その国・地域が上陸拒否の対象地域に指定された後、再入国許可の有効期間が満了し、その期間内に再入国することができなかったとして新たに在留資格認定証明書を取得し査証の発給を受けたもののうち,インド、パキスタン又はネパールに本邦への上陸申請日14日以内に滞在歴のあるものについては、当分の間、原則として上陸拒否されます。
令和3年4月23日版ではこのような「再入国禁止」はありませんので、この時期から「本邦への上陸申請日前14日以内に(流行地域の)滞在歴のある在留資格保持者」に限って再入国禁止措置を採ることが可能になっていたということ。
水際対策強化に係る新たな措置(20)(オミクロン株に対する水際措置の強化)令和3年11月30日(魚拓)
つまり、立憲民主党が要請した「オミクロン株の感染が確認された国・地域」からの再入国禁止措置は、既に日本政府が示した方針と変わりが無いように映ります。
また、「全世界からの新規入国を禁止」についても「特段の事情」がある場合には認めているものの「原則として新規入国を停止」しているので、これも従前の日本政府の方針と変わりが無いか、特段の事情すら許さないように要請したと映ります。
ツイート削除後の早稲田議員の釈明ツイートでは拒否対象に特別永住者は含まず日本人の配偶者等は特段の事情があるとする考えだとありますが…
さて、立憲民主党がどう考えているのかは正直どうでもいいので、立憲民主党や早稲田議員に対して「人種差別だ」とか「人権侵害だ」と主張されていたことについて一言。
国家主権の領域の話であり、人権侵害と主張することは苦しいし、人種差別ではない
- 外国人には再入国の権利・自由は無い
- 査証の発給は国家主権の行使であり発給するか否かの判断に違法となる余地は無い(入管法逐条解説)
これが大前提。
次に関連しそうな条文
入管法
(再入国の許可)
第二十六条
7 出入国在留管理庁長官は、再入国の許可を受けている外国人に対し、引き続き当該許可を与えておくことが適当でないと認める場合には【その者が本邦にある間において】当該許可を取り消すことができる
在留外国人が再入国を予定して出国する際には再入国許可が出されます。みなし再入国許可もあります。「許可」は特許とは異なり権利を与えるのではなく不作為義務の除去のみです。再入国許可は査証の発行等の新規入国の際の手続を簡略化するためのものであり、それ自体で何か外国人に権利を与えるものではありません。
従前から採られている「再入国の禁止」は「再入国許可の取り消し」ではなく、【日本上陸前14日以内に「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」に滞在歴のある在留資格保持者】を対象にしているにすぎないため、日本政府の採っている措置はこの規定の問題にはなりません。禁止条件に引っかかるか否かは外国人の振る舞い次第ということです。
これが「既に再入国許可を受けていて出国している凡そすべての外国人」を対象にしていたならば、実質的な許可取り消しになり「人権侵害」の話として論じるのも有りですが、騒いでる人たちは立憲民主党はどういう考えなのか聞いてみては?
次に人種差別撤廃条約上の「人種差別」は国籍を理由にした合理的な別異取扱いは含まないため、今回の話を人種差別の話にするのは的外れ。
ということで、立憲民主党の発信が稚拙であるにしろ、短絡的に人権侵害だの人種差別だのと叩くのは、現行の日本政府をも叩いていることになり得るので要注意。
「ウイルスは国籍を選ばないのだから分ける合理性はない」という論がありますが、そうした科学的合理性で考える人権ベースの思考、いつまでも抜けない人が多いですね。新型コロナ禍で何を見てきたんだろう?国家主権の領域です。日本国を統治するために何がベスト・ベターかという話。
立憲民主党は不法滞在不良外国人の強制退去処分を進めてはどうか?
立憲民主党や早稲田議員に言いたいのは、「再入国禁止」をこれだけ訴えるなら、不法滞在をしている不良外国人の入管での扱いをどうたらこうたら喚くのではなく、強制退去処分を進めたらどうか?ということ。
入管で死亡した女性の件で騒いでましたけど、あれも出身国や家族が受け入れ拒否していたくせに死亡したらシャシャリ出て被害者面していました。それを持ちあげ利用しようとしていた立憲共産党らにも責任があるでしょう。
以上:はてなブックマーク・ブログ・note等でご紹介頂けると嬉しいです。