9月1日は「防災の日」です。
ことしの政府の総合防災訓練は首都直下地震を想定して行われ、甚大な被害が出る中での初動対応や連携の手順を確認しました。
ことしの政府の総合防災訓練は、午前7時すぎに東京23区を震源とするマグニチュード7.3の大地震が発生し、東京都心を含む関東南部が震度7や6強の激しい揺れに襲われたという想定で行われました。
訓練では、総理大臣官邸と各省庁をインターネットで結び、オンラインによる「緊急災害対策本部」を設置して被害状況の把握や対応の方針などについて検討しました。
また、大きな被害が想定される横浜市との間でテレビ会議を行い、被害状況を共有し、必要な支援などの報告を受けて対応を確認しました。
午前9時からは菅総理大臣が訓練のための記者会見を行い、政府の対応状況について説明したほか、国民に対して安全な場所に避難し、落ち着いた行動を取るよう呼びかけました。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、閣僚が参加する「緊急災害対策本部会議」は今回、初めてオンラインで開催されたほか、政府の訓練は人数を減らして行われました。
首都中枢機能への影響 特に大きい地震を想定
専門家などで作る国の検討会は平成25年に最大クラスの地震による被害想定と、対策の方向性を公表しました。
首都の直下で起きる地震にはさまざまなタイプがありますが、被害想定はこのうち、陸のプレートの下に沈み込む「フィリピン海プレート」の内部で発生し、首都中枢機能への影響が特に大きいマグニチュード7.3の「都心南部直下」というタイプの大地震で考えられています。
具体的な想定は
被害が最も大きくなると考えられているのが、風の強い「冬の夕方」に地震が発生するケースで、住宅や飲食店で火を使う機会が最も多く、全壊または焼失する建物は61万棟に上り、このうち、火災によって41万2000棟が焼失するとされています。
死者はおよそ2万3000人に上り、その7割にあたるおよそ1万6000人は火災が原因でとしています。
また、けが人は12万3000人、救助が必要な人は5万8000人、避難者は最大で720万人に達すると想定されています。
ライフライン 交通 経済への影響も
都心の一般道は激しい交通渋滞が数週間継続し、鉄道は1週間から1か月程度運行できない状態が続くおそれがあるほか、食料や水、ガソリンなどの燃料も不足した状態が続きます。
経済的な被害は、建物などの直接的な被害と企業の生産活動やサービスの低下による間接的な被害を合わせて95兆円余りに達すると想定されています。