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<p>新機軸の「弾丸」飛行機、ビジネス航空業界に革命起こすか – ライブドアニュース</p><p>【型破りな外観】新機軸の「弾丸」飛行機、ビジネス航空業界に革命起こすか 「セレラ500L」は2018年に初飛行に成功。現時点の最高速度は時速約400キロ、最高高度は5000メートル強にすぎないが、間もなくより強力なエンジンが搭載される予定だという。</p><p>弾丸を思わせる形状で他の航空機と一線を画す「オットー・セレラ500L」/Brad Adkins/Otto Aviation(CNN)卵か、飛行船か、はたまた弾丸か。何に見えるかは人それぞれだが、オットー・セレラ500Lが他の飛</p><p>(CNN)卵か、飛行船か、はたまた弾丸か。何に見えるかは人それぞれだが、オットー・セレラ500Lが他の飛行機と違う形をしているのには訳がある。それは独特の空気力学だ。 セレラの形状は、空気が機体の表面を非常にスムーズに流れるようにすることにより、空気抵抗を大幅に減らす設計になっている。それにより機体の消費するエネルギーが減り、燃費が向上する。 「これにより燃費効率は他のターボプロップ機の4~5倍、ジェット機の7~8倍になる」とオットー・アビエーションの最高経営責任者(CEO)ウイリアム・オットー・ジュニア氏は語る。 機体の数が増えれば、運航コストは同じ大きさの事業用飛行機に比べ大幅に下がる。オットー・アビエーションによると、1時間の飛行に要するコストは一般の飛行機が2100ドル(約24万円)であるのに対し、セレラはわずか328ドル(約3万7000円)で、燃費は一般の飛行機が1ガロン(約3.8リットル)当たり2~3マイル(約3.2~4.8キロ)であるのに対し、セレラは大型のスポーツ用多目的車(SUV)並みの18~25マイルだという。 しかも、セレラの客室は6人が乗っても十分な広さがあり、さらに速度は時速約740キロ、航続距離も約7200キロと大型旅客機並みだ。 スムーズな空気の流れセレラ500Lの形状は、「層流」と呼ばれる概念に基づいて設計された。 層流は、空気などの流体の層が乱れることなく平行に流れる状態を指す。これに対して乱流は、流れが交差したり、雑然とした状態を指す。 卵形のセレラ500Lの形状は、層流が機体の表面で発生するように設計されており、それにより飛行機が空気の中をよりスムーズに進めるようになる。 オットー・アビエーションによると、この形状のおかげで、同等の大きさの飛行機と比べて空気抵抗が59%も抑えられ、その結果、燃料消費量や二酸化炭素(CO2)排出量の大幅な削減につながるという。 しかし、層流がそれほど効果的なら、なぜ全ての飛行機をこの形にしないのか。 この点についてオットー氏は「層流を維持するには形が曲がったり、たわんだり、ゆがんだりしない構造を作る必要がある」とし、「金属でこれを行うのは不可能で、複合材料(の使用)が唯一の方法だ」と付け加えた。 層流は氷や虫の付着といった微細かつ一時的な障害物でも崩れる可能性があり、航空機の大きさまで拡大するのは極めて難しい。またオットー氏は、燃料価格の安さも飛行機の設計者たちが層流を避け、よりシンプルなエンジニアリングを選択する要因になった可能性があると指摘する。 ディーゼルエンジン層流は飛行機の動力消費を減らす効果があるため、セレラ500Lは機体の後部にドイツのメーカーREDが設計したV型12気筒(V12)ディーゼルエンジンを1基搭載している。 「我々の見つけ出した最も効率性の高いエンジンであり、空気力学を応用した最も効率性の高い機体にはうってつけだった」(オットー氏) 近い将来、セレラ500LのCO2排出量をゼロにするために、ディーゼルエンジンの代わりに電気エンジンか水素エンジンを導入する可能性もあるが、オットー氏によると、現時点でもセレラ500Lの乗客1人当たりの炭素排出量は、競合機に比べ80%も少ないという。 セレラ500Lは2018年に初飛行に成功し、その後約50回の試験飛行を行った。現時点の最高速度は時速約400キロ、最高高度は5000メートル強にすぎないが、間もなくより強力なエンジンが搭載される予定で、実現すれば速度、高度ともに向上する。最高高度は1万2000メートル近くに達する見込みだ。 いずれ、セレラ500Lの機体に窓も追加される予定だ(現在、窓は一切付いていない)。オットー氏は、2025年までの発売を見込んでいる。 大型モデルの開発計画もセレラ500Lの機体の形状を見てもわかる通り、キャビンはピラタスPC-12やビーチクラフト・キングエアといった同等の飛行機よりも広々としている。 「キャビンは約188センチの高さがあるので歩いて搭乗できる。立った状態で利用可能な洗面所も備えており、中型ビジネス用ジェット機と同レベルの飛行機だ」(オットー氏) しかし、セレラ500Lの型破りな外観は一部の客にとってネックになる可能性もある。 この点についてオットー氏は「(セレラ500Lは)ガルフストリーム製のプライベートジェットで移動している企業幹部らの興味は引かないかもしれないが、民間航空会社や空港のセキュリティーで長時間列に並ばされることに不満を感じている人は大勢いる」と語る。 発売当初は、500万ドル(約5億7000万円)近い価格で個人の客に販売されるが、地域ジェット機と競合可能な19人乗りと40人乗りの2つの大型モデルを開発する計画がある。オットー氏によると、現在、大手航空会社との商談が進んでいるという。</p>