バングラデシュをはじめ、多くのアジアの国々で活躍する三輪自動車。庶民の交通手段として広く利用されている一方、自動車の普及とともに安全面の課題が浮き彫りになっている。バングラデシュの英字紙デイリースターは、11月11日付の社説でこの問題を採り上げた。
緩速車両が事故の原因に
社説によると、バングラデシュ政府はこのほど、「ナシマン」「カリマン」と呼ばれる三輪自動車や、電池で走行する簡易なバイクなどが国道や高速道路の通行を規制する法案を起草した。これらの車両が国道などを通行するためには、特別な許可や登録が必要になるほか、これらの車両の運転手には、今後、免許の取得が義務付けられるという。社説はこの規制について、「このような車両が減れば、渋滞や交通事故の減少につながるだろう」と、歓迎している。
社説は、三輪自動車など走行速度が遅い車両は、国道や高速道路で交通事故を引き起こす大きな要因になっているとした上で、こうした車両を規制する対策はこれまで十分にとられてこなかった、と指摘する。2015年には22の主要国道でナシマンとカリマンの通行が禁止されたものの、現在はなし崩しの状態だという。
「禁止が徹底していないために、高速道路での交通事故は、ここ数年、増加している。警察の発表によれば、今年7月までの間に3259件の交通事故が発生し、3095人が死亡した。この数は、昨年の同じ時期に比べ4割も多くなっている。専門家の分析によれば、その原因の多くが、高速道路を走行する緩速車両が原因だという」
安価な交通手段、代替策を
社説は、今回の通行規制の法案を歓迎する一方、「こうした三輪車両が庶民にとって安価で利用しやすい乗り物であることも忘れてはならない」と指摘し、「こうした車両の走行を禁止するなら、同じような価格帯の代替交通を整備するか、緩速車両の専用レーンを設け運転免許取得者にのみ走行を許可すべきだ」と、提言する。加えて、法案に対してパブリックコメントを募集し、国民の意見を反映すべきだと指摘する。
かつてはバイクや自転車が多かった途上国でも、近年になって四輪車が急増している。しかし、こうした国々では、車両が増えても運転免許制度や車両の安全管理制度が整っていないことが多く、交通事故も急速に増えている。また、社説が指摘するように、三輪自動車は、長く庶民の交通手段として愛用されてきた乗り物で、ある日突然、道路から一気に消えるわけではない。交通政策は、複数の施策を同時に進めなければならないため、複雑かつ大規模だ。交通事故で貴重な命が奪われる前に、政府と産業界が連携して、安全対策に多面的に取り組んでほしい。
(原文https://www.thedailystar.net/views/editorial/news/draft-guideline-regulate-three-wheelers-encouraging-2226796)
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