9月2日、AppleはApp Storeで配信されている各種リーダーアプリに対して、自社サイトへの誘導リンクのアプリ内設置を容認すると発表した。
これまでは、アプリ内に自社ウェブサイトへの誘導リンクを埋め込み、アプリ内課金を回避することは禁じられていたが、今回の規約変更によってアプリ外課金への誘導がしやすくなる。
対象サービスは、デジタル版の雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、ビデオの購入済みコンテンツおよびサブスクリプションコンテンツ。KindleやNetflixなど、多くのユーザーが利用するサービスが対象となる。
リーダーアプリ、自社ウェブサイトへの誘導リンク設置が可能に
今回の規約変更は日本の公正取引委員会(JFTC)との間で行われていたApp Storeにおける反競争的行為に関する調査の結果、合意に至ったものであるとのこと。
もともと AppleはApp Storeで購入するアプリケーションやアプリ内課金に対して、販売額の15〜30%の手数料を徴収していたが、この高い手数料負担に対して世界の開発者やアプリ提供会社からは不満の声が上がっており、日本でも公正取引委員会が調査を行なっていた。
前述のとおり今回の規約変更では、これまで禁止されていた各サービス自社サイトへの誘導リンク設置が可能になり、アプリ開発者はアプリ内課金によって生じる手数料の支払いを回避できるように。
自社ウェブサイトのリンク設置個数は1個までに制限されるものの、アプリ内課金を回避できるようになれば、デベロッパーはAppleへの支払い手数料を支払う必要がなく、収益率を高めたり、コンテンツの価格を引き下げることも可能になるだろう。
また、ユーザーにとってもコンテンツを購入しやすくなったり、サブスクサービス加入への導線がわかりやすくなるなど、利便性も向上しそうだ。
この規約変更は、2022年初めに全世界で行われる。なお、Appleは現地時間8月26日に、米国デベロッパーが提起していた集団訴訟を解決するため、メールなどのコミュニケーションを使ってアプリ外決済に誘導することも容認すると発表している。
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