連載開始から22年、TVアニメは20周年を迎え、そしてイベントやミュージカルなど今もなお幅広く展開されている人気作品『テニスの王子様』(通称、『テニプリ』)の新作映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』が2021年9月3日より全国公開!
原作の許斐 剛先生が製作総指揮を務め、『テニプリ』シリーズ初の3DCG劇場作品に! リョーマが父、南次郎の現役時代にタイムスリップする物語に、朴璐美さん演じる新キャラクターのエメラルドの謎、杉田智和さん、武内駿輔さん、竹内良太さんのテニスギャングとリョーマのラップバトル、一部シーンが2パターンある仕掛けなど見どころ盛りだくさんな作品です!
映画の公開を記念して許斐先生と越前リョーマ役を演じる皆川純子さんによる対談が実現! 3DCG化しようと思った理由やストーリーなど気になる部分について語っていただきました。
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初めて触れる方も楽しめるように3DCG映画に。ファンに納得してもらえるようにモデリングのリセットも!?
――まず許斐先生が3DCGで劇場版を製作がしようと思われた経緯をお聞かせください。
原作・製作総指揮 許斐 剛さん(以下、許斐):この映画を作ろうと思った時は2Dという選択肢はありませんでした。ある映画関係者の方とお話しさせていただく機会があって、夢を尋ねられた時、「3Dの映画を作りたいんです」と。そうしたら「その夢をお手伝いさせてください」というお言葉をいただき、そこからこの映画がスタートしました。
2Dのアニメーションで作ったとしても今までの経験から充分面白いものは作れると思うのですが、『テニプリ』は20年続いている作品なので、新たに『テニプリ』に興味をもってくださった方には敷居が高い気がしていました。だから『テニプリ』ではなく、1人のテニス少年の物語を見てもらいたくて、原点に立ち返ったのが今回の『リョーマ!』です。ファンの方だけではなく、『テニプリ』を見たことがない人にも、そして全人類が見て、楽しんでもらえる映画を作ろうというのが今回のコンセプトです。
「3DCGは2Dよりも表情が乏しい」とか「人形のようだ」と見られる傾向もありますが、それを打破したいという想いがありました。今回お願いした神志那(弘志)監督の演出力、間の取り方などがすごくて。カメラに心があるなと感じられるほどです。またキャラクターの表情も微細なところまで描かれていて、「ちゃんと生きている!」と思えました。また、今作ではたくさんの劇中歌のシーンも入っていますが、キャラクターが歌っている時の口の動きや表情も自然で感動しました。
そして、今回はキャラクターを原作にできるだけ近づけてもらっています。最初に見せていただいたモデリングでは、リョーマの等身が少し低かったんです。FILAの帽子をかぶり、青学のジャージを着て、赤いテニスラケットを持っていれば、リョーマに見えるかもしれませんが、今まで応援してくださった方に「これはリョーマじゃない!」と思われたらいけないので、監督には申し訳なかったのですが、「もう一度やり直していただけますか」とお願いして、今のモデルが出来上がりました。そんな紆余曲折もありましたが、最終的にはファンの皆さんが見ても納得してもらえる原作に近い3DCG映画が出来上がったと思います。
――皆川さんが今作のストーリーや台本を読まれた感想をお聞かせください。
越前リョーマ役 皆川純子さん(以下、皆川):桜乃ちゃんとの冒険的なお話になるとお聞きしたので、先生はかなり攻めたなと。
許斐:私にとっても冒険でした(笑)。
皆川:でもリョーマと桜乃ちゃんの物語を描くのならば先生以外はできない、他の人には触れないだろうし、先生が今回描くのならそのタイミングだったんだろうなと思いました。
そして台本を読み、実際に演じていくうちに、おもしろいものになる!と確信しました。中学生らしいキュンポイントはあるので、ラブストーリーに見えなくもない。でもそうではない見方もできる桜乃との関係性になっていたので、先生は本当にギリギリのラインを攻めたんだなと。そして物語の軸は、ハラハラドキドキワクワク!といったストーリー展開なので、先生の描くテニプリは本当におもしろいと思いました。なので私は、いままで通り、でもとても新鮮にリョーマを演じることができました。
映画が3DCGと知った時は、先生はまたすごい挑戦をしたなと思いました。聞いた時は楽しみ半分、今まで2Dの『テニプリ』に慣れ親しんだファンの方たちからは反対意見もあるんだろうなとも思いました。
許斐:そんな方にも「観てよかった」と思ってもらいたいという気持ちで作りました。
皆川:私自身も不安はありましたけど、映像を見てみたら「すごくいいじゃん!」と。2Dには2Dの良さがあるけど、3Dは立体感やリアル感を生み出すので、今までよりリョーマたちが現実味を帯びていたり、身近に感じられました。先生やスタッフさんたちが苦労された甲斐があったと思うし、「こんなテニプリ見たことないけど、みんなが思っているよりもずっとテニプリだよ!」と伝えたいし、この映画を見て感じてほしいです。
(C)許斐 剛/集英社 (C)新生劇場版テニスの王子様製作委員会