新型コロナウイルスの影響により、ビデオ通話やリモート会議の利用率は飛躍的に高まりました。
そして最近、それらリモートシステムの進化版が開発されました。
アメリカのスタートアップ企業「PORTL Inc」が、全身ホログラムを投影するボックス「PORTL」を発表したのです。
まるで本物みたいな「奥行きのあるホログラム」を投影できるため、「どこでもドア」のように、世界中の人と「会って話をする」ことができます。
目次
- 全身ホログラムを投影する「PORTL」なら、リモートでも実際に会った感覚に!
- PORTLの設置はハードル高め。ただし将来性に期待できる!
全身ホログラムを投影する「PORTL」なら、リモートでも実際に会った感覚に!
ビデオ通話システムは便利ですが、たいていの場合、映る範囲が限られており、映像も薄っぺらいものです。
当然、実際に会って話しているような臨場感は得られません。
対してARやVRのような技術では、奥行きが再現されるためリアル感が増しますが、ゴーグルやヘッドセットが欠かせません。
新しく開発されたPORTLは、ボックスの中に全身ホログラムをリアルタイムで投影できます。
そのためボックスを設置すれば、周囲の誰もがゴーグルなしで投影された人物を見ることが可能。
音声もつながっているので、実際に会って対話しているような臨場感を体験できます。
10月に行われたデモンストレーションでは、アメリカ・ロサンゼルスのスタジオにいる人が、東京のアパートに設置されたPORTLを通して、息子たちと「会って」会話を楽しみました。
PORTL IncのCEOであるデビッド・ヌスバウム氏によると、「現在の遅延時間は1秒以下であり、将来的には0.1秒以下にすることが目標」とのこと。
スタジオから世界中のPORTLに瞬時に現れることができるので、普及すればどこでもドアに近い感覚で利用できるかもしれません。
PORTLの設置はハードル高め。ただし将来性に期待できる!
PORTLの重量は約180kgであり、サイズは高さ2.1m、幅1.5m、奥行き0.6mとなっています。
標準的な電気コンセントとインターネット接続があれば、通常の利用が可能とのこと。
つまりPORTLさえ設置すれば、簡単に投影された人物に会えるのです。
一方、PORTLに自分を投影するためには、少し環境を整えなければいけません。
LED照明、三脚、4Kカメラ、マイク、通話相手を映すモニター、白い背景など、簡易スタジオが必要となってくるのです。
1st lk at PORTL’s brand new museum quality, human sized, patent pending, 4k resolution, completely self contained, hologram projection machine. pic.twitter.com/8PUIplbgMo
— PORTL Inc. (@PORTLhologram) February 23, 2020
さて、ヘッドセットがなくてもリアルで奥行きのある映像を楽しめるのはなぜでしょうか?
PORTL Incはそのメカニズムのすべてを明らかにしていませんが、いくらかは教えてくれています。
まず、PORTL内は上下左右に埋め込まれたLEDで均一に照らされています。
そしてPORTLの枠から12cmほど奥に、特注サイズの液晶タッチパネルを配置。
LEDによる影と反射、またパネル位置を調整することで、見る人の脳に奥行きを感じさせているのです。
実際に相手と会っているような臨場感があるため、普及するなら迅速で円滑なコミュニケーションの助けとなるでしょう。
海外に住む家族や友人と密接なコミュニケーションを楽しんだり、会社のプレゼンテーションに役立てたりできます。
またヌスバウム氏によると、バーチャルファッションショー、美術品の展示イベント、商品の宣伝、エンジニアによる技術講習などにも利用できるとのこと。
現在、PORTLの価格は6万ドル(約690万円)とかなり高いですが、低価格なレンタルも可能です。
そして近い将来、安価な小型版「PORTL Mini」も販売予定なので、今後普及していく可能性はあります。
もしかしたら遠い将来では、実際に誰かと会うことの方が稀なイベントになっているかもしれませんね。
参考文献
Hologram-in-a-Box Can Teleport You Anywhere
https://spectrum.ieee.org/hologram-booth